AI類似図面検索システム11製品|導入メリット・仕組み・選定ポイントを解説
日々膨大な図面データと向き合う設計部門にとって、過去の設計資産をいかに効率よく活用できるかは、生産性と品質の両立に直結する重要なテーマです。
そこで注目されているのが、「AI類似図面検索システム」です。形状や寸法、特徴量といった設計図面の“見た目”や“構造的な類似性”をAIが瞬時に解析し、過去の類似図面を自動で抽出してくれる革新的なソリューションです。
本記事では、AIによる検索の仕組みや従来システムとの違い、導入による具体的なメリット、さらに代表的な11製品の特徴と選定時のポイントまでを、設計現場の視点でわかりやすく解説します。
このような方におすすめの記事です
- 過去図面の再利用を効率化したい方
- 設計業務の属人化を解消したい方
- 部品や構造の標準化を進めたい方
- 図面管理の手間や時間を削減したい方
目次[非表示]
- ・AI類似図面検索の基礎知識
- ・従来の図面管理システムとの違い
- ・AI類似図面検索の仕組み
- ・AI類似図面検索システム導入のメリット
- ・おすすめAI類似図面検索システム3選
- ・その他注目システムとサービス
- ・SellBOT(REVOX)
- ・AI類似図面検索(テクノア)
- ・匠フォース(匠技研工業)
- ・ズメーン(FactBase)
- ・Hi-PerBT 図面検索AI(日立ソリューションズ西日本)
- ・AI類似図面検索システム AI Drawing Search(高志インテック)
- ・図面検索システム(アクティブクリエイト)
- ・類似画像検索(ワイ・エス・エス)
- ・導入時の比較ポイントと注意点
- ・検索可能な図面形式・ファイル拡張子
- ・クラウド型かオンプレミス型か
- ・サポート体制と導入コスト
- ・AI類似図面検索の導入ステップ
- ・1. システム選定と活用目的の明確化
- ・2. データ移行とAI学習の流れ
- ・3. 運用開始後のチューニングと保守
- ・AI類似図面検索ならABKSSへ
- ・おわりに
AI類似図面検索の基礎知識
AI類似図面検索とは?
AI類似図面検索は、ディープラーニングや機械学習を用いて図面の形状や特徴を自動で解析し、類似度を算出して検索結果として提示する仕組みです。
従来の単純な文字情報による検索と違い、図面の形状やパーツ構造を総合的に判断し、直感的に『似ている』と感じる図面を高速かつ正確に抽出します。
これにより、担当者に依存していたノウハウをシステムに蓄積し、短時間で必要な資料を取り出すことが可能になります。
類似図面検索が注目される背景
製造業では製品開発のスピードアップと多品種化が進んでいます。こうした中、過去の図面を効果的に再利用できれば、設計時間の短縮とコスト削減につながります。
しかし従来は、フォルダやファイル名による管理が一般的で、膨大な図面の中から必要なものを探すのは非常に手間のかかる作業でした。
そこで注目されているのが「AI類似図面検索」です。形状や特徴を自動認識し、似た図面を瞬時に見つけることができ、図面管理の常識が大きく変わってきています。
従来の図面管理システムとの違い
図面から形状特徴を抽出
AI類似図面検索では、膨大な図面から形状・構造・パーツの特徴量を自動で抽出し、データベース化します。図面のアップロードだけで解析が始まり、タグ付けなど人手の作業は不要です。
これにより検索漏れや人的エラーを防ぎ、属人化も抑制できます。抽出の精度が上がるほど、図面の再活用や設計効率の向上につながります。
AIで形状の類似性を比較
これまで図面の比較は担当者の目視に頼っていましたが、AIを使えば短時間で候補を自動抽出でき、相違点の可視化も可能です。
検索方法も直感的で、設計の重複を避けながら、開発や改良をよりスピーディーに進められます。
視覚的な類似で検索
AIは文字情報では見分けづらい微妙な形状の違いや曲線も捉え、視覚的に近い図面を高精度で抽出します。
これにより、担当者の経験や勘に頼っていた作業も再現性のあるプロセスとなり、設計全体の品質向上や属人化の解消が期待できます。
AI類似図面検索の仕組み
AI類似図面検索は、膨大な図面データの中から“形が似ている図面”を瞬時に見つけ出す仕組みです。こちらではその技術について、簡潔にご紹介します。
1.図面データを読み込んでAI処理に最適化
CAD(2D/3D)やPDFなどの図面データを取り込み、AIが理解しやすい形式へ自動変換します。寸法・構造の情報を保持したまま、各種フォーマットに柔軟に対応します。
2.AIが形状の特徴を深く学習・抽出
AI(ディープラーニング)を用いて、輪郭・寸法・部品配置などの形状的特徴を自動的に抽出します。従来のルールベースでは見落とされがちな微細な差異も、AIが高精度に数値化します。
3.類似図面を定量的に比較・判定
抽出した特徴をもとに、データベース内の図面と一括比較します。複数の視点で類似度を計算し、客観的な判定スコアを導き出します。
4.類似図面を視覚的にランキング表示
類似度が高い図面を上位から一覧表示します。サムネイル+要素情報により、設計意図の近い図面を直感的に比較・選定できます。
検索精度を高めるポイント
検索精度を高めるには、まず図面データの解像度やスケール情報を適切に保つことが重要です。
寸法が曖昧な図面や余計な注記が多いと、AIが正確な特徴を捉えにくくなります。また、部品名や属性情報を正しく入力することで、形状だけでなく意味的な類似性の判断も可能になります。
さらに、検索対象となる図面データベースの分類・整理を行い、用途や構造でグルーピングしておくことで、類似性判定の精度と検索効率が大幅に向上します。
AI類似図面検索システム導入のメリット
過去図面を効率的に再利用できる
AI類似図面検索システムを導入することで、過去に作成された膨大な図面データの中から、設計対象に形状や構造が似た図面を即座に抽出できます。これにより「類似案件を一から設計し直す」といった非効率を防ぎ、既存データを土台とした設計の再利用が可能になります。
設計ノウハウや過去の仕様を活かすことで、精度の高い設計を短時間で実現でき、属人化の解消やナレッジの有効活用にもつながります。
見積り・設計の作業時間短縮と精度向上
類似図面の検索結果から仕様やコストの傾向を把握できるため、初期段階の見積りや設計の目安をすばやく立てることが可能になります。過去事例に基づいた提案や構想がスムーズになり、手戻りや検討時間の削減にも貢献します。
さらに、AIによる高精度な形状比較が可能なため、設計の抜け漏れや不整合を事前に検出しやすくなり、結果として品質の安定や提案の信頼性向上が期待できます。
人為的ミスの削減と情報共有の活性化
設計者個人の記憶や経験に頼ることなく、客観的な類似性に基づいた図面検索ができるため、「見落とし」「取り違え」といった人為的ミスのリスクが低減します。
また、検索結果はチーム全体で共有できるため、属人化した情報の見える化が進み、設計部内でのナレッジ共有や意思決定がスムーズになります。設計標準の浸透や、新人教育の効率化にも寄与し、組織的な設計力の底上げが可能です。
図面管理のペーパーレス化促進
AI図面検索を導入することで、紙図面を探して物理的に比較する必要がなくなり、図面管理のデジタル化が加速します。検索や比較がすべてシステム上で完結するため、設計作業の合間に即座に必要な図面にアクセス可能です。
さらに、データとしての一元管理が可能になることで、保管スペースの削減や検索漏れの防止、バックアップ体制の強化にもつながります。ペーパーレス化は作業環境の改善と情報資産の有効活用を両立させます。
おすすめAI類似図面検索システム3選
図面バンク(New Innovations)
「図面バンク」は、製造業向けのクラウド型図面管理システムです。
AIによる図面解析と類似形状検索機能を備え、過去の図面データを資産として活用できます。PDFやCADファイルなど多様な形式に対応し、3Dプレビューや関連資料の紐付け管理も可能です。
CADやPDFなど多様な図面形式に対応し、AIが形状を解析して類似図面を自動で検索します。3Dデータのプレビューや関連資料の紐付けも可能で、図面の再利用性と検索性を大幅に向上させます。
対応ファイル形式 |
PDF、TIFF、JPEG、DXF、DWG、STEPほか |
提供形態 |
クラウド |
料金:月額 48,000円(税別) ※ユーザー数 / 図面保管数:無制限
CADDi Drawer(キャディ)
「CADDi DRAWER(キャディ ドロワー)」は、独自画像解析アルゴリズムを用いたクラウドベースの図面データ管理ツールです。
製造業の重要データである2D図面を自動で解析し、構造化されたデータに変換して蓄積します。高精度の類似図面検索機能を提供し、設計、調達、生産部門のコスト削減と効率性向上を実現します。
機能としては、2D図面を自動で解析し、属性情報や形状を構造化データとして蓄積可能です。高精度な類似図面検索により、過去図面の活用を飛躍的に効率化します。
さらに、図面と発注実績を自動で紐付けることで、見積もりや設計判断の根拠を“見える化”を実現します。
対応ファイル形式 |
PDF、PNG、TIFF、3DCADデータ |
提供形態 |
クラウド |
料金:要問い合わせ
D-QUICK7(アイサイト)
「D-QUICK7」は、図面や文書を一元管理できるシステムで、検索性・セキュリティ・運用のしやすさが特長です。標準機能に加え、オプションでAI類似図面検索にも対応しています。
ファイル名や属性だけでなく、図面の形状から類似データを自動抽出でき、検索精度と再利用性が大幅に向上します。設計や見積もりの効率化に貢献する機能です。
対応ファイル形式 |
PDF・TIFFなど(AI類似図面検索オプションの場合) |
提供形態 |
クラウド/オンプレミス |
料金:要問い合わせ
その他注目システムとサービス
こちらでは導入実績が多く、業種やニーズに対応しやすい類似図面検索システムを厳選し、特徴を簡潔に紹介します。
自社に最適な製品を選定するには、専門業者に依頼することが安心であり、時間の節約にもなります。製品選定のアドバイスは40年以上の実績を誇るエービーケーエスエスにお任せください。
SellBOT(REVOX)
「SellBOT」は、2次元図面をAIが解析し、過去の実績に基づいて自動で見積もりを算出できるシステムです。
従来は熟練者の勘や経験に頼っていた見積もり業務を誰でも短時間で対応可能にし、熱処理などの付帯加工や数量割引にも対応できるのが特長です。
対応ファイル形式:PDF、TIFF(2D図面)
提供形態:クラウド
料金:要問い合わせ
参照:https://www.sellbot.jp/index.html
AI類似図面検索(テクノア)
テクノアの「AI類似図面検索」は、取り扱う図面に特化した形状認識AIを構築し、迅速な図面検索を実現します。
運用中のファイルサーバーと簡単に連携し、保存された図面は自動で検索データベースに取り込まれるため、ファイルサーバーの運用を変えることなくそのまま導入可能です。
- 対応ファイル形式:DWG、XDW、DXF、PDF、PNG、TIFF、BMP、JPG
- 提供形態:クラウド/オンプレミス
- 料金:要問い合わせ
参照:https://www.techs-s.com/product/ai-ruiji
匠フォース(匠技研工業)
「匠フォース」の特徴は、AI×人による見積もり業務の効率化・見える化・標準化支援にあります。自社開発したAIにより、図面情報を読み取り、見積もりを提案します。
AIだけでなく人による集合知も活用し、より精度の高い見積もりができるようになります。
- 対応ファイル形式:2次元図面、3D CADデータ、見積データ
- 提供形態:クラウド
- 料金:要問い合わせ
参照:https://takumi-force.jp/
ズメーン(FactBase)
「ズメーン」は、シンプルで直感的な操作性が特徴で、小規模チームから大企業まで幅広い利用に適しています。
類似形状やファイル属性を基に検索することで、過去の設計データの再利用を促進し、新規設計の時間を削減します。より実務的なニーズに合わせて図面を見つけやすい点が評価されています。
- 対応ファイル形式:要問い合わせ
- 提供形態:クラウド
- 料金:要問い合わせ
参照:https://lp.zume-n.com/
Hi-PerBT 図面検索AI(日立ソリューションズ西日本)
「Hi-PerBT 図面検索AI」は、大規模組織向けに設計されており、膨大な図面データを効率的に管理することが可能です。
特徴的な機能として、高速検索機能や改訂履歴の管理機能が挙げられます。また、ユーザーごとのアクセス権限を設定できるため、セキュリティの確保も万全です。
- 対応ファイル形式:STL、TIF、PDF、PNG、JPG(2D・3D図面対応)
- 提供形態:オンプレミス、クラウド
- 料金:要問い合わせ
参照:https://www.hitachi-solutions-create.co.jp/solution/hiper_zumenkanri/
AI類似図面検索システム AI Drawing Search(高志インテック)
高志インテックの「AI類似図面検索システム AI Drawing Search」は、図面の形状を判断し、類似の図面を検索します。
検索対象はPDF、JPEG、PNG、TIFF、DXF、DWGなど、広いファイル形式から検索可能となっています。手書きによる類似検索も可能です。
- 対応ファイル形式:PDF、JPG、PNG、TIFF、DXF、DWG
- 提供形態:クラウド/オンプレミス
- 料金:要問い合わせ
参照:https://www.koushi-intec.co.jp/service/industry/ai-drawing-search.html
図面検索システム(アクティブクリエイト)
アクティブクリエイトの「図面検索システム」は、AIを使用し、図面PDFをもとにDBサーバーに保管された図面から、類似の図面を検索します。
また、受発注管理・在庫管理システムの連携も可能で、検索した図面の在庫数の確認や、発注登録が可能となっています。
- 対応ファイル形式:要問い合わせ
- 提供形態:オンプレミス
- 料金:要問い合わせ
参照:https://actcrt.jp/drawing-analysis
類似画像検索(ワイ・エス・エス)
ワイ・エス・エスの「類似画像検索」は、図面の中の形状情報を検索し、検索結果と共に0~100の数値で類似度を表すことが可能です。
また、一つの図面に複数の部品が存在する場合でも、部品ごとに検索をすることが可能です。
- 対応ファイル形式:TIFF、PNG、BMP、JPEG、GIF
- 提供形態:オンプレミス
- 料金:要問い合わせ
参照:https://actcrt.jp/drawing-analysis
導入時の比較ポイントと注意点
類似図面検索システムを選定する際に確認すべきポイントや注意点について解説します。
検索可能な図面形式・ファイル拡張子
AI図面検索システムを選ぶ際は、対応する図面形式やファイル拡張子の確認が欠かせません。
DWGやDXFなどの2D図面、STEPやIGESといった3Dデータ、PDFや画像ファイルなど、システムごとに対応範囲は異なります。自社で日常的に扱う形式に対応しているかどうかは、導入後の活用度を大きく左右します。
また、使用中のCADソフトとの互換性や、形式ごとの検索精度にも注意が必要です。対応していない形式が多い場合、変換作業が増えたり、思わぬコストが発生したりすることもあるため、導入前に実データでの動作検証を行うと安心です。
確認ポイント |
確認ポイント |
1.対応拡張子の種類 |
2D/3D/PDF/画像など、必要な形式に対応しているか |
2.形状検索対応範囲 |
PDFだけか、CADデータも解析できるか |
3.自社CADとの相性 |
変換不要で扱えるファイルが多いか |
4.実務フロー適合性 |
関連ファイル含めて連携・表示できるか |
クラウド型かオンプレミス型か
「クラウド型」はインフラの構築費用を抑えられるうえに常に最新バージョンにアップデートされる利点があります。
一方、「オンプレミス型」は社内にサーバーを置くためセキュリティ面での安心感があり、通信状況に左右されずに利用できるメリットがあります。自社のリソースやセキュリティ要件を踏まえてベストな形態を選ぶことが大切です。
サポート体制と導入コスト
AI類似図面検索システムが高性能でも、トラブル時のサポートが不十分では安定した運用が難しくなります。
ベンダーが提供する保守契約や更新プログラム、オンラインでの問い合わせ対応などを事前に確認しておきましょう。
導入コストについても、初期費用だけではなく運用費用やアップデート料を含め、総合的に判断することが重要です。
AI類似図面検索の導入ステップ
AI類似図面検索システムの導入を成功させるためには、自社の目的や課題を整理し、段階的に取り組むことが大切です。導入前の検討から運用開始まで、しっかりとした計画を立てましょう。
1. システム選定と活用目的の明確化
まずは課題を洗い出し、AI類似図面検索を導入することでどのような成果を期待するかを定義します。
製図効率の向上や管理コストの削減など、定量的な指標を設定しておくと、その後の効果測定が明確になります。
2. データ移行とAI学習の流れ
既存の図面データをシステムに移行し、AIが学習できるように環境を整備します。
学習データの質や量が検索精度を左右するため、重複データや誤ったファイル命名などを整理し、なるべくクリーンな状態でAIに取り込ませることが重要です。
3. 運用開始後のチューニングと保守
導入して終わりではなく、実際の運用状況を見ながらシステム設定やパラメータを調整し、必要に応じてAI学習を再実施します。
定期的にソフトウェアのアップデートやサポートを受けることで、常に優れた検索精度を維持し、業務の効率化を継続して図ることができます。
AI類似図面検索ならABKSSへ
AI類似図面検索は数多く存在し、選定に迷う方も多いのではないでしょうか。ABKSSでは、最適なツールの選定から導入後の運用サポートまで丁寧に支援しています。
自社に合ったツールの選定から実装後の運用サポートまで総合的にサポートしますので、新たにAI類似図面検索を導入したいと考えている方や、既存ツールの乗り換えを検討中の方は、ぜひ一度ご相談ください。
おわりに
AI類似図面検索システムは、図面管理の効率化だけでなく、設計や見積りといった上流工程のDX監視にも大きく貢献します。
自社のニーズに合ったシステムを選定し、適切な導入手順を踏むことで、過去図面の再利用やミス削減、ペーパーレス化を同時に実現できるでしょう。