製造業向け図面管理システムの人気おすすめ製品9選|メリットや選び方まで
設計部門や製造部門では、多岐にわたる図面を管理することが日常業務の一環となっています。しかし、図面の紛失や多重製図、履歴管理の不備など様々な課題があります。これらを解決するためには、効率的な図面管理が必要不可欠です。
本記事では、図面管理の現状と課題を明確にし、それを踏まえた効率化のためのシステム選びのポイントとおすすめの製品を紹介します。
このような方におすすめの記事です
- 図面管理システムの導入を検討している
- 業務全体の効率化とコスト削減を目指している
- デジタル化やクラウド保存などに対応したい
- 紙ベースや古いシステムでの管理に限界を感じる
目次[非表示]
- ・図面管理システムとは?
- ・クラウド型とオンプレミス型の違い
- ・図面管理システムでできること
- ・図面データの保存機能
- ・関連文書の保存機能
- ・検索機能
- ・共有機能
- ・バージョン管理機能
- ・承認ワークフロー機能
- ・図面比較機能
- ・図面管理システムの導入メリット
- ・デメリットとなり得る点は?
- ・図面管理システムの比較ポイント
- ・1.オンプレミスかクラウドか
- ・2.操作性とユーザーインターフェース
- ・3.類似図面検索機能への対応
- ・4.紙や画像から情報を取り込むためのOCRへの対応
- ・5.価格とコストパフォーマンス
- ・6.セキュリティ機能の充実度
- ・オンプレミス型の図面管理システム4選
- ・AI類似図面検索(株式会社テクノア)
- ・Hi-PerBT Advanced 図面管理(株式会社日立ソリューションズ西日本)
- ・楽々Document Plus(住友電工情報システム株式会社)
- ・D-QUICK7(株式会社アイサイト)
- ・クラウド型の図面管理システム5選
- ・CADDi Drawer(キャディ株式会社)
- ・ズメーン(株式会社FactBase)
- ・図面バンク(株式会社New Innovations)
- ・D-QUICK Cloud(株式会社アイサイト)
- ・Tomoraku PLM(トモラク株式会社)
- ・図面管理システムの導入ならABKSSにご相談ください
- ・おわりに
図面管理システムとは?
図面管理システムは、CADファイルやOffice(Word、Excel、PowerPoint)、PDFで作成された図面や設計書、完成図書などを一元管理するためのシステムです。
単なるデータの保管に留まらず、検索・活用や不要データの破棄、CADデータの取り込みからPDFへの変換、属性情報の抽出機能なども備え、さまざまな用途で効率的に活用できます。
クラウド型とオンプレミス型の違い
図面管理システムには、利用方法に応じて「クラウド型」と「オンプレミス型」の2つの選択肢があります。クラウド型は手軽さや柔軟性を重視する場合に、オンプレミス型はセキュリティや独自性を求める場合に適しています。どちらを選ぶべきかは、企業のニーズや状況により異なります。
クラウド型図面管理システムとは
クラウド型は、インターネットを通じてシステムを利用する方式です。初期費用を抑えられる点や、必要に応じてリソースを簡単に拡張できるスケーラビリティの高さが魅力です。たとえば、業務拡大で図面データが増加しても、クラウドなら迅速に対応可能です。
また、外出先やテレワーク中でもシステムにアクセスできるため、柔軟な働き方をサポートします。ただし、インターネット接続が必要なため、環境によってはアクセスに制約が生じる場合があります。
オンプレミス型図面管理システムとは
オンプレミス型は、自社サーバーでシステムを運用する方式です。初期費用は高めですが、データを社内で管理するためセキュリティ面で安心感があります。
また、業務に合わせた細かなカスタマイズが可能で、既存のシステムともスムーズに統合できます。このため、特に高いセキュリティが求められる医療機関や金融機関などに適しています。
図面管理システムでできること
図面データの保存機能
図面データの保存機能は、図面管理システムの中核を成す基本機能です。
図面を正確に保存し、劣化や紛失のリスクを軽減することで、プロジェクトの円滑な進行を支えます。
また、保存されたデータは後続の工程で簡単に参照可能となり、設計変更や修正にも柔軟に対応できます。これにより、データ管理の信頼性と効率が向上します。
関連文書の保存機能
図面に関連する仕様書、見積書、部品表(BOM)、工作機械用のCAMデータなどを一元管理する機能です。
設計変更が発生した際に変更履歴や仕様書を即座に確認できるため、業務効率が飛躍的に向上します。関連情報を個別に管理する必要がなくなり、必要な情報へのアクセスが迅速かつ確実になります。
検索機能
図面管理システムの検索機能により、膨大な図面データから特定のファイルを即座に見つけ出せます。例えば、プロジェクト名や図面番号をキーワードとして検索することで、関連するデータを瞬時に表示可能です。手動検索の手間が省かれ、生産性と業務スピードの向上が期待できます。
共有機能
図面の共有機能により、複数のメンバーがリアルタイムで同じデータにアクセスし、共同作業が可能です。設計変更や修正を迅速に共有できるため、プロジェクト全体の遅延を防ぎます。遠隔地にいるメンバーとも連携が取れることで、グローバルなプロジェクト運営も効率化します。
バージョン管理機能
図面の改訂履歴を管理し、最新版と過去バージョンを明確に区別する機能です。チェックイン・チェックアウトによる排他制御を行い、複数人による同時編集の衝突を防ぎます。さらに、誰がいつ変更を行ったのかが明確になるため、トレーサビリティが向上します。
承認ワークフロー機能
図面の正式な発行に必要な承認プロセスを電子化する機能です。従来の紙ベースの承認作業に代わり、PC上で効率的に承認手続きを進めることができます。これにより、承認プロセスの迅速化とペーパーレス化が実現します。
図面比較機能
変更点や追加箇所、削除箇所を視覚的に比較・表示する機能です。これにより、設計変更の影響を瞬時に把握でき、レビューや承認作業を効率化できます。特に、大規模な図面の変更点を確認する際に効果を発揮します。
図面管理システムの導入メリット
図面管理システムは、業務の効率化や情報共有の迅速化、セキュリティ強化、データの一元管理、そしてコスト削減といった多岐にわたる効果をもたらします。こちらでは図面管理システムの導入メリットについて解説します。
1.効率化による生産性向上
紙媒体で保管されている図面から必要なものを探し出すのは非常に手間がかかります。
しかし、図面をデータ化すれば、必要な情報を瞬時に見つけられるようになります。図面の検索や管理がスムーズになり、無駄な時間を削減することが可能なので、プロジェクトの進行もより効率的になります。
2.情報共有の迅速化
図面管理システムを使うことで、図面や関連資料を中央のデータベースで管理し、瞬時にアクセス可能となるため、部門間やプロジェクトチーム間での情報伝達がスムーズになります。
新しい設計変更があった場合、従来ならば関係者全員に手動で通知し、確認を求める必要がありますが、図面管理システムを導入すれば、システム内で自動通知機能を使い、全員が同時に最新の情報にアクセスできます。
3.セキュリティ強化
図面管理システムは、ユーザーごとにアクセス権限を細かく設定できるため、不正アクセスや情報漏洩を防ぐのに役立ちます。
従来のファイルサーバーや紙での管理では、閲覧権限を厳密に制限することが難しく、情報が漏れるリスクが高い傾向にありました。しかし、図面管理システムではデータを暗号化することが可能なので、外部からの不正アクセスリスクも抑えられ、安心して図面を管理できます。
また、誰がいつどの操作を行ったかが記録されるため、万が一問題が起きても原因をすぐに特定することも可能です。
4.データの一元管理とコスト削減
図面管理システムは、分散したデータを一元管理することで、情報探しやデータ照合にかかる時間と労力を削減できます。特に複数部門で同じ情報を利用する場合、一箇所にまとめることで効率が上がります。
製造業では設計部門と生産部門が同じ図面を使用しますが、これを一元管理しておくことで、誤った情報を基にした製造ミスを防ぐことができます。
デメリットとなり得る点は?
図面管理システムには多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。以下のポイントを踏まえながら、導入を検討しましょう。
導入コストや運用負担
導入には一定の費用がかかり、初期投資が必要です。
また、現場での運用を定着させるためには、システムの使い方を周知したり、運用ルールを策定したりする手間もかかります。こういった点が、効率化によるメリットを上回らないかどうか、慎重に検討する必要があります。
セキュリティリスク
図面データのデジタル化に伴い、不正コピーや外部への流出といったリスクが発生する可能性があります。
このリスクを軽減するためには、閲覧や編集の権限を細かく制御できる機能や、画面キャプチャの防止機能など、充実したセキュリティ対策を備えたシステムを選択することが重要です。
図面管理システムの比較ポイント
図面管理システムは多数ありますが、選び方を間違えると効果を最大限に発揮できません。こちらでは、図面管理システムを選ぶ際の重要な比較ポイントを解説します。
1.オンプレミスかクラウドか
図面管理システムの導入には「オンプレミス型」と「クラウド型」のどちらを選ぶかが重要な決定ポイントです。
オンプレミス型はセキュリティ面やカスタマイズ性が高い反面、初期コストや維持管理が高額になります。データが企業内のサーバーに保存されるため、情報漏えいのリスクが低く、細かなカスタマイズが可能ですが、サーバーの設置や保守が必要でコストがかかります。
一方、クラウド型は初期導入が容易でスケーラビリティがあり、運用コストも比較的低い傾向にあります。専用サーバーを持つ必要がなく、必要に応じて容量を拡張できるため、初期費用を抑えつつ導入が可能です。
2.操作性とユーザーインターフェース
図面管理システムを選ぶ際には「操作性」と「ユーザーインターフェース」もチェックしておきましょう。
操作が複雑で使いづらいと、導入後ユーザーの負担となり、結局利用されない可能性があるためです。直感的に使えるインターフェースを持つシステムなら、トレーニングにかかる時間が少なく済み、すぐに業務に活用できるため、業務効率が向上し、ユーザーの負担も軽減されます。
導入前にトライアル版を試してみると良いでしょう。
3.類似図面検索機能への対応
製品開発や設計の現場では、類似した図面や過去の設計データを素早く見つけられることが、設計時間の短縮やミスの削減に大きく貢献します。そこで役に立つのが「類似図面検索機能」です。
この機能を活用すれば、過去のプロジェクトで作成した類似図面を一瞬で見つけ出すことが可能なので、図面作成の時間を大幅に削減できます。
膨大な量の設計データの中から必要な情報を迅速にピックアップするのに役立つため、設計現場にとって非常に便利な機能になります。
4.紙や画像から情報を取り込むためのOCRへの対応
図面管理システムを選ぶ際には、OCR(光学文字認識)への対応も確認しておくと良いです。
多くの企業がいまだに紙ベースの図面やスキャンした画像データを使用しているため、それらの情報をデジタルデータとして取り込む際に、OCR技術が必須です。
古い図面を電子化する際に、OCR機能があれば手動で入力する手間を大幅に削減でき、正確なデータを迅速に取り込むことが可能です。
5.価格とコストパフォーマンス
図面管理システムの導入では、費用対効果を確認することが重要です。初期費用や運用コストだけでなく、提供される機能やサービスの質を総合的に評価しましょう。
たとえば、初期費用が安くても運用費が高額なシステムや、初期費用が高めでも長期的に安定するシステムがあります。多機能で高価なものより、自社に必要な機能が揃った適正価格のシステムを選ぶのがおすすめです。
6.セキュリティ機能の充実度
図面管理システムの選定にはセキュリティ機能の充実度についても確認しておく必要があります。
図面データは企業の知的財産であり、外部への流出や不正アクセスから守る必要があるためです。強力な暗号化技術や二要素認証、アクセス制限機能などが搭載されていると安心です。
オンプレミス型の図面管理システム4選
AI類似図面検索(株式会社テクノア)
AI類似図面検索は、株式会社テクノアが提供する図面管理システムです。
AI技術を活用して類似図面を自動的に検索できる点が最大の特徴です。従来、手動で探すのが困難だった類似データを瞬時に見つけ出し、設計効率を大幅に向上させます。
特に製造業の部品設計において効果を発揮し、重複設計を削減することでコスト削減にもつながります。オンプレ型でセキュリティも確保されており、企業内部での安心運用が可能です。
Hi-PerBT Advanced 図面管理(株式会社日立ソリューションズ西日本)
Hi-PerBT Advanced 図面管理は、株式会社日立ソリューションズ西日本が提供する図面管理システムです。
大規模組織向けに設計されており、膨大な図面データを効率的に管理することが可能です。特徴的な機能として、高速検索機能や改訂履歴の管理機能が挙げられます。
また、ユーザーごとのアクセス権限を設定できるため、セキュリティの確保も万全です。オンプレ型として自社サーバー内で安全に運用可能で、企業独自のニーズにも柔軟に対応します。
楽々Document Plus(住友電工情報システム株式会社)
楽々Document Plusは、住友電工情報システム株式会社が提供するオンプレ型の図面管理ソリューションです。
操作のしやすさに重点を置き、ユーザーが直感的に使えるインターフェースを採用しています。図面データの保存、検索、共有といった基本機能に加え、プロジェクトごとの履歴管理や承認ワークフローも搭載されています。
中小規模の企業から大規模組織まで幅広く対応し、業務効率化を強力にサポート可能です。
D-QUICK7(株式会社アイサイト)
D-QUICK7は、株式会社アイサイトが開発したオンプレ型の図面管理システムで、設計・製造業務における図面の効率的な管理を実現するために作られました。
特に、図面の改訂履歴やバージョン管理機能が優れており、変更履歴を明確に追跡できます。
さらに、業務プロセス全体を可視化し、設計データの一元管理をサポートします。高い拡張性を備え、企業独自の要件にも対応可能です。
クラウド型の図面管理システム5選
CADDi Drawer(キャディ株式会社)
CADDi Drawerは、キャディ株式会社が提供するクラウド型図面管理システムです。
製造業を中心に多くの企業で採用されており、図面データをクラウド上で一元管理できます。AIによる高度な検索機能や、シンプルなインターフェースが特徴です。
また、クラウド型のため、どこからでもアクセス可能で、プロジェクトメンバー間の迅速な情報共有が実現します。
ズメーン(株式会社FactBase)
ズメーンは、株式会社FactBaseが開発した図面管理特化型のクラウドサービスです。
シンプルで直感的な操作性が特徴で、小規模チームから大企業まで幅広い利用に適しています。
類似形状やファイル属性を基に検索することで、過去の設計データの再利用を促進し、新規設計の時間を削減します。
また、図面データの一元管理により、属人化を防ぎ、業務効率の向上を実現します。設計プロセスの改善により、コスト削減やリードタイム短縮に貢献します。
図面バンク(株式会社New Innovations)
図面バンクは、株式会社New Innovationsが提供するクラウド型図面管理システムです。
このサービスの特長は、コストパフォーマンスの高さです。ユーザー数や図面の保管数に関係なく、2025年1月時点で月額48,000円の定額料金で利用できます(※保存容量によっては利用金額が変動しうるケースがあるので図面が5万枚以上の場合は確認が必要です)
必要最低限のシンプルな機能を備えており、高度な機能は不要だけれどコストを抑えたいという方に最適です。また、登録初月は無料で全機能を試せる体験版も提供されています。
D-QUICK Cloud(株式会社アイサイト)
D-QUICK Cloudは、株式会社アイサイトが提供するクラウド型図面管理ソリューションです。
オンプレ型で人気のD-QUICKシリーズの利便性をクラウド環境で再現しています。特に、リアルタイムのデータ共有や、高速な検索機能が魅力です。どこからでもアクセス可能な柔軟性に加え、強固なセキュリティ体制でデータ保護も万全。
多拠点でのプロジェクト運営を効率化し、企業全体の業務推進を支援します。
Tomoraku PLM(トモラク株式会社)
Tomoraku PLMは、トモラク株式会社が提供するクラウド型の製品ライフサイクル管理(PLM)システムです。
主な機能には、図面や関連資料の検索・管理、品番管理、階層型BOM(部品表)の作成と管理、承認ワークフローの自動化、デジタル押印、協力会社へのデータ配布管理、高度なアクセス権限設定などがあります。これにより、設計業務での手戻りやミスを減らし、設計プロセス全体の効率を向上させます。
図面管理システムの導入ならABKSSにご相談ください
図面管理システムは、業務の効率化や情報共有の迅速化、セキュリティ強化、データの一元管理、そしてコスト削減といった多岐にわたる効果をもたらします。その一方で、選び方を間違えると効果を最大限に発揮できません。
選ぶポイントは先述した通りですが、重要なのは具体的なニーズに合った機能や操作性、将来の拡張性を見極めることです。
ABKSSでは、これらのポイントをしっかり押さえた最適なソリューションを提案いたします。図面管理システムの導入をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
おわりに
本記事では、図面管理システムの基本から導入メリット、選び方のポイント、さらに具体的なおすすめ製品までを詳しく解説しました。
設計部門や製造部門では、日々多くの図面を管理する必要がありますが、図面の紛失、多重製図、履歴管理の不備など、さまざまな課題が発生しがちです。こうした問題を解決するには、効率的な図面管理が欠かせません。
図面管理システムを導入することで、業務効率の向上、情報共有の迅速化、セキュリティ強化、データの一元管理、さらにはコスト削減といった効果が期待できます。自社のニーズに合ったシステムを選定し、最大限の導入効果を実現しましょう。