製造業の「リードタイム」とは?意味や短縮方法をわかりやすく解説
リードタイムとは、製造現場で作業を始めてから全ての工程が終わるまでの必要時間を意味します。リードタイムを短縮することは、販売機会を増やし、顧客満足度を高めることにつながるため、改善に努めることが重要です。
この記事では、製造業におけるリードタイムの基本から、リードタイム短縮がもたらすメリット、実現する方法をわかりやすく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
このような方におすすめの記事です
- リードタイムを短縮したい
- 納期遅延をなくしたい
- 開発部門の生産性をアップさせたい
- 調達部門の生産性をアップさせたい
目次[非表示]
リードタイムとは
リードタイム(Lead time)とは、工程や作業の始めから終わりまでにかかる所要時間を指します。重要な要素として、「開発リードタイム」「調達リードタイム」「生産リードタイム」「物流リードタイム」があり、これらを合わせた時間を「トータルリードタイム」と呼びます。
製造工程の時間だけでなく、工程間の滞留時間も含まれ、仕掛在庫が増加するとリードタイムも増加します。短縮するためには、ムダの排除と各段階のタイムマネジメントが重要です。
また、リードタイムは物流業界や製造業などで広く使用され、業種や作業内容によって範囲が異なります。
開発リードタイム
開発リードタイムとは、新製品や新技術の開発に要する期間を指します。アイデアの発案から試作、テスト、製品化までの全工程を含みます。開発リードタイムを短縮することで市場投入のスピードが上がり、競争力が増します。効率的なプロジェクト管理や技術力の向上が求められます。
調達リードタイム
調達リードタイムとは、原材料や部品を注文してから入手するまでの期間を指します。「発注リードタイム」や「購買リードタイム」とも呼ばれます。短ければ商品の迅速な仕入れが可能となり、市場の動きを見ながら在庫を調整できます。サプライヤーの選定、発注、輸送、検品などのプロセスが含まれ、短縮することで在庫管理の効率化や生産計画の柔軟性が向上します。
生産リードタイム
生産リードタイムは、原材料が工場に到着してから完成品として出荷されるまでの時間を指します。「製造リードタイム」とも呼ばれ、「工程リードタイム」と「作業リードタイム」に細分化されます。
工程リードタイムは各工程の開始から完了までの時間、作業リードタイムは各作業の開始から完了までの時間を指します。効率化やスケジュール最適化が重要で、短縮することで生産効率が向上し、迅速な納品が可能となります。
物流リードタイム
物流リードタイムは、工場出荷から顧客の手元に届くまでの時間を指します。この期間には、輸送手段の選定や配送スケジュールの管理、在庫の最適配置などが含まれます。迅速で確実な配送は顧客満足度を高めるために不可欠です。
トータルリードタイム
トータルリードタイムとは、製品のアイデアが発案されてから顧客に届くまでの全プロセスにかかる時間を指します。「納品リードタイム」とも呼ばれ、開発、調達、生産、物流の各段階のリードタイムが含まれます。この全体のリードタイムを短縮することで、市場への迅速な投入と競争力の強化が可能となります。
リードタイムの関連用語
ここでは、リードタイムの理解や活用に役立つ関連用語を解説します。
タクトタイム
タクトタイムとは、生産工程で一定の生産量を一定の時間内に達成するために必要な時間のことです。具体的には、顧客の需要に基づいて計算される生産ペースを示します。計算式は以下の通りです。
タクトタイム = 一日の定時稼働時間 / 一日の必要生産数
例えば、8時間の作業時間で80個の製品を生産する必要がある場合、タクトタイムは6分(480分 ÷ 80個)となります。この時間内に1つの製品を完成させる必要があります。
サイクルタイム
サイクルタイムとは、1つの製品が生産工程を通過するのにかかる時間のことです。具体的には、原材料が投入されてから完成品が出荷されるまでの全体の時間を指します。サイクルタイムには以下の要素が含まれます。
- 加工時間:実際に製品を加工する時間
- 移動時間:工程間で製品が移動する時間
- 待ち時間:次の工程を待つ時間
- 検査時間:品質検査にかかる時間
サイクルタイムを短縮することで、生産効率が向上し、リードタイムの短縮や生産コストの削減が可能になります。
リードタイムと納期の違いとは
納期とは、製品を納める最終期限を指します。
リードタイムが作業開始から完了までの期間を示し「○日間」と表されるのに対し、納期は特定の日付を指し「□月△日まで」と表現します。
また、期日と期限の違いも知っておくと良いでしょう。期日は特定の日に納めることを指示するもので、期限はその日までに納めればOKという意味です。この違いを理解し、顧客とのやり取りで誤解がないように使い分けることが大切です。
リードタイム短縮のメリット
リードタイムが短縮されると、どのようなメリットがあるのでしょうか。こちらでは3つのメリットについてご紹介します。
- 収益の向上
- 在庫管理・保管コストの削減
- 顧客満足度の向上
収益の向上
リードタイムの短縮により、 生産性が向上し、より多くの商品を販売できるようになります。そのため収益増加が期待できます。
また、商品の配送時間が短縮されることで、販売機会の損失を防ぎ、余剰在庫の減少にもつながります。
在庫管理・保管コストの削減
リードタイムの短縮により、余剰在庫を減らすことができます。これにより、在庫をより少ないスペースで保管できるようになり、保管コストの削減にもつながります。
顧客満足度の向上
リードタイムの短縮により、 消費者の注文に迅速に対応できるため、顧客満足度の向上が期待できます。また、競合他社よりも速く商品を届けられるため、差別化が図れ、リピーターの獲得にも寄与します。
リード短縮を実現する方法
こちらでは具体的なリードタイム短縮方法をご紹介します。
設計標準化・部品の共通化
設計標準化と部品の共通化は、製品の設計段階で共通の規格や部品を使用することで、開発リードタイムを短縮する方法です。これにより、設計の手間やミスを減らし、生産工程も効率化されます。さらに、部品在庫の管理が容易になり、調達リードタイムの短縮やコスト削減にも寄与します。結果として、製品開発から市場投入までの全体的なスピードが向上し、競争力が高まります。
不良率の削減
不良率の削減は、製品の品質を向上させることで生産リードタイムを短縮する方法です。高品質な製品を一度で生産することで、再加工や修理の手間を省き、全体の生産効率を高めます。これには、徹底した品質管理、定期的な機械のメンテナンス、従業員の教育などが含まれます。不良品の発生を減らすことで、納期遅延のリスクも低減し、顧客満足度が向上します。
予告・進捗開示
予告と進捗開示は、顧客や社内関係者に対して製品の進捗状況を透明に伝える方法です。これにより、リードタイムの短縮が可能になります。計画的な予告により、各工程の準備が整い、スムーズな生産が実現します。また、進捗を定期的に開示することで、問題の早期発見と迅速な対処が可能になります。コミュニケーションの円滑化により、全体の効率が向上し、リードタイムが短縮されます。
レイアウト変更
レイアウト変更は、生産現場の配置を最適化することで生産リードタイムを短縮する方法です。作業工程の流れを考慮した配置にすることで、物の移動距離や時間を削減し、作業効率を高めます。また、作業員の動線を見直すことで、無駄な動きを減らし、作業スピードを向上させます。設備の配置を見直すことで、工程間の待ち時間も短縮され、全体のリードタイムが短くなります。
開発リードタイムの短縮方法
開発リードタイムを短縮するために有効な手段をご紹介します。
- スクラムやアジャイル開発を採用する
- 設計、製造、品質管理などの部門間連携を高める
- シミュレーションを通じて設計やテストの時間を削減する
原材料調達や部品供給のプロセスを見直し、遅延を減らす(サプライチェーンの最適化)
- 標準化とモジュラー設計を採用し、設計の変更やカスタマイズの時間を短縮する
調達リードタイムの短縮方法
調達リードタイムの短縮に有効な手段をご紹介します。
- サプライヤーの予測情報や需要変動を共有し、迅速に対応できるよう備える
- 適切な在庫レベルの維持と過剰在庫の削減により、調達プロセスの効率化を図る(在庫管理の最適化)
- 発注・納品情報をデジタル化することで、処理・確認時間の短縮とミスを削減する
- サプライヤーの傾向を把握し、納期が短いサプライヤーを選ぶ(発注実績の活用)
リードタイム短縮にはCADDiがおすすめ
開発リードタイムや調達リードタイムを短縮する方法を解説しましたが、これを実現するには、過去の成果やデータの活用が欠かせません。
しかし、過去のデータが分散していて活用が難しいと感じる方もいるでしょう。そういった場合におすすめなのが、CADDi DRAWERです。
CADDi DRAWER とは
CADDi DRAWER(キャディ ドロワー)は、独自画像解析アルゴリズムを用いたクラウドベースの図面データ管理ツールです。
製造業の重要データである2D図面を自動で解析し、構造化されたデータに変換して蓄積します。高精度の類似図面検索機能を提供し、設計、調達、生産部門のコスト削減と効率性向上を実現します。
類似図面検索
独自の画像解析アルゴリズム(特許出願中)による、形状が類似する図面を検索。形状の特徴から類似図面を登録図面全体から検出し表示します。また差分なども表示されます。
設計部門で
図面番号が異なる場合でも、加工実績のある図面や類似図面に容易にたどり着けます。大量のファイルやPDFから記憶を頼りに図面を探す手間が省け、目的の図面探索時間を短縮できます。
調達・購買部門で
稼働中の部品手配の際、調達・購買部では機種、ユニット、品名、図面番号、客先などの情報を確認できない場合があります。
類似図面機能とOCRを活用すれば、最終部品かどうかを確認できるため、 ベテランも新人も手配部品情報をスムーズに探し出せます。
図面自動解析
登録した図面内のテキスト情報(部品名 / 材質 / サプライヤー等)をデータ化、すぐに検索できます。また、読み取ったテキスト情報はエクセルでも出力可能です。
設計部門で
AIにより図面上に書かれた手書き文字も含めて検索できます。キーワード検索が可能になり、探し出す時間も大幅に減少。流用図面の参照により、設計工数の削減や、部品の標準化を実現します。
発注実績自動紐づけ
発注実績データをCSV等で一括登録すると、図面の属性値をキーとして図面と自動紐づけを行うこが可能です。図面と合わせて発注価格とサプライヤーの情報をまとめて参照できます。
調達・購買部門で
図面ごとに発注情報(サプライヤーの社名や金額など)も自動で関連付け可能なので、大量のファイルやPDFから記憶を頼りに図面を探すことがなくなり、リード短縮に貢献します。経験の浅いメンバーでもサプライヤーが選定できるようになります。
活用例を詳しく知りたい方へ
CADDi DRAWERの基本情報や活用事例、ユーザー様の声などが網羅されたご紹介資料はこちらからダウンロードいただけます。
おわりに
本記事では、リードタイムの基本と製造業におけるリードタイム短縮メリットと解決方法について解説しました。
リードタイム短縮には、過去の成果やデータの活用が欠かせませんが、過去のデータが分散していて活用が難しいと感じる方もいるでしょう。
そういった方は、CADDi DRAWERで各部署に散在する文書データや図面データを一元管理するのがおすすめです。発注情報の紐づけや、類似図面の自動検出などの機能により、リードタイムの短縮や納期遅延の解消に貢献してくれます。
ご検討中の方は、無償トライアルをご用意しておりますので、ぜひお試しください。
無償トライアルのお申込みはこちら
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