BIM/CIMとは?導入メリット、活用場面、国土交通省による推進内容を解説

BIMCIM

BIMとともに使用されるキーワードでCIM(シム)があります。どのようなシーンで使われているかご存じでしょうか。本記事では、CIMを理解するために、BIMとの違いやCIM導入メリット、国土交通省による推進概要について解説していきます。


このような方におすすめの記事です
  • BIMとCIMの違いを知りたい方
  • CIMの導入を検討されている方
  • CIMの導入メリットを知りたい方


目次[非表示]

  1. CIM(シム)とは
  2. BIMとCIMの違い
    1. 分野の違い
    2. 活用現場
  3. CIMの活用場面
    1. ①企画・設計段階
    2. ②施工段階
    3. ③維持管理段階
  4. CIMの導入メリット
    1. メリット1:設計管理のコスト削減
    2. メリット2:3次元化による完成形の可視化
    3. メリット3:設計ミスや手戻りの削減
    4. メリット4:スムーズな情報共有が可能になる
    5. フロントローディングとCIM
    6. コンカレントエンジニアリングとCIM
  5. CIM導入のデメリット
    1. デメリット1:地理的条件の影響
    2. デメリット2:CIM技術者の不足
    3. デメリット3:移行期間中の2Dと3Dの併用による管理負担
    4. デメリット4:導入・運用費用が掛かる
  6. 国土交通省による推進内容
    1. 社会的背景
    2. 推進の目的
    3. BIM/CIMを導入しないリスク
    4. CIMソフトの購入には補助金が利用できます
  7. おわりに

CIM(シム)とは

 CIM(シム)とは、「Construction Information Modeling/Management」の略称です。業務の効率化を目的とする取り組みで、2012年 国土交通省によって提唱されました。

建設・土木業界ではこれまで平面(2次元)の図面が多く扱われていました。 そこで計画・調査・設計段階から3次元モデルを導入することで、一連の建設生産システムの効率化・高度化する目的で取り入れられるようになりました。 その後の施工・維持管理の各段階でも、3次元モデルとの連携により、効率的な維持管理を図ります。


BIMとCIMの違い

BIMとCIMでは「対象となる分野・扱う情報」に違いがあります。

BIMは建物に関する情報を取り扱いますので、構造物の属性情報がメインになります。

一方で、CIMは構造物の属性情報のほか、地形や地質といった自然環境条件なども考慮しなければなりません。そのためBIMよりも幅広い情報を取り扱うことになります。

ですが、規模や対象が異なるものの、いずれも「3次元モデルを組み立て、情報共有しながらプロセスを進める」という点ではほぼ同じです。


分野の違い

BIMとCIMの利用分野について大きく分類すると「建設・建築領域」「土木領域」に分けられます。


  • BIM:ビルなどの「建設・建築領域」で活用される
  • CIM:道路や水道、電力といったインフラ整備など「土木領域」で活用される



活用現場

利用イメージをもう少し具体的にしていくと、このような違いがあります。


  • BIM規格が定められている設計で活用される(高層ビルや民間の病院など建設分野)
  • CIM複雑な曲線が多く、不測の事態が起きやすい現場で活用される(インフラ整備や、トンネルや橋梁建設など土木領域)


BIM/CIMの活用


CIMの活用場面


CIMは、インフラ整備分野でのデジタルモデルの活用を目的とした技術であり、建設プロジェクトのあらゆる段階で活用されています。こちらでは、CIMの主な活用場面について紹介します。


①企画・設計段階

CIMは、道路や橋梁、トンネルなどのインフラプロジェクトにおいて、3Dモデルを用いて設計の可視化を行います。これにより、地形や周辺環境との調和を確認しやすくなり、設計段階での検討を効率的に進めることが可能です。

また、さまざまなシナリオを検討し、最適な設計案を導き出す際に役立ちます。


②施工段階

CIMは施工段階でも重要な役割を果たします。施工計画の精度が向上し、現場での変更や手戻りを減らすことができます。

3Dモデルを用いることで、進捗状況の可視化や施工手順の最適化が図られ、リスク管理や品質管理が強化されます。特に、地形や構造物の複雑な部分を正確に把握することで、施工ミスの防止やコスト削減が実現します。


③維持管理段階

インフラの維持管理においてもCIMは有効です。完成した構造物の3Dモデルには詳細な情報が含まれており、点検や修繕計画を立案する際に活用されます。

施設の状態を正確に把握することで、効率的なメンテナンスが可能になり、将来的な修繕コストの予測や最適化を図ることができます。CIMにより、インフラの長寿命化やコスト削減が期待されます。


CIMの導入メリット


CIMの導入は、建設プロジェクトの効率化やコスト削減に大きなメリットをもたらします。こちらでは、CIMを導入することで得られる具体的なメリットと重要な概念である「フロントローディング」「コンカレントエンジニアリング」との関連について紹介します。


メリット1:設計管理のコスト削減

CIMを導入することで、設計管理のコスト削減が可能です。

従来の設計手法では、設計図の変更や調整に時間がかかり、コストが膨らむことがありましたが、CIM3Dモデルを活用することで設計段階で詳細な検討迅速かつ正確に行えます。これにより、後の工程での設計変更や修正の頻度が減少し、全体のプロジェクトコストが抑えられます。


メリット2:3次元化による完成形の可視化

CIMでは、建築物やインフラの設計が3次元モデルで表現されるため、完成形を可視化することが可能です。

従来の2D図面では理解しにくかった部分も、立体的な視覚情報により、関係者全員が明確にイメージできるようになります。これにより、クライアントや施工チームとの認識のズレが減少し、合意形成がスムーズに進むメリットがあります。


メリット3:設計ミスや手戻りの削減

CIMの活用により、設計ミスや手戻りのリスクが大幅に削減されます。3Dモデルを使用することで、異なる部材や設備の干渉を事前に検出でき、施工前に修正が可能です

また、モデルが詳細な設計データを提供するため、現場での作業におけるミスも減少し、効率的な施工が実現します。これにより、プロジェクト全体の品質向上とコスト削減が達成されます。


メリット4:スムーズな情報共有が可能になる

CIMでは、すべての関係者が3Dモデルにアクセスできるため、設計・施工・維持管理の各段階でスムーズな情報共有が実現します。

リアルタイムで最新の設計データを確認できるため、各チームが同じ情報をもとに作業進め、コミュニケーションのロス減らせます。結果として、誤解や遅延を最小限に抑え、プロジェクトの円滑な進行に寄与します。


フロントローディングとCIM

「フロントローディング(Front Loading)」とは、プロジェクトの初期段階で意思決定や計画を集中的に行い、後の工程での手戻りやコスト増を防ぐ手法です。

CIMを活用することで、企画や設計段階で3Dモデルを用いた詳細な検討が可能となり、早期に設計上の問題や課題可視化できます。これにより、フロントローディングの考え方に基づき、早期に正確な設計を確定させ、後工程での変更や調整を最小限に抑えられます。


コンカレントエンジニアリングとCIM

「コンカレントエンジニアリング(Concurrent Engineering)」は、異なる部門やプロセスが同時並行で作業を進める手法で、全体の開発期間を短縮することが目的です。

CIMは、設計、施工、維持管理といった各段階でリアルタイムの情報共有を促進し、異なる部門が同時に進行しているプロジェクトにおいて協力を円滑に行うための重要なツールです。

CIMモデルを通じて関係者が同時にアクセスし、情報を共有することで、設計変更や施工上の調整が迅速に行えるため、コンカレントエンジニアリングの実現に大きく貢献します。




CIM導入のデメリット


建設業界のリスク軽減や競争力強化が期待されるCIMですが、中堅・中小の建設業者にとっては、導入時の障壁が多くあるといわれます。ここでは、その主要な障壁およびデメリットについて紹介します。


デメリット1:地理的条件の影響

CIM導入のデメリットの一つは、地理的条件の影響です。CIMは3次元モデルを活用するため、精密な地形データや測量が不可欠ですが、地理的に複雑な場所や広範囲にわたるプロジェクトでは、データ収集が難しくなることがあります。

特に、山岳地帯や都市部などでは、正確な地理情報の取得に時間とコストがかかり、プロジェクト全体の進行に影響を及ぼす可能性があります。


デメリット2:CIM技術者の不足

CIMを効果的に運用するには、専門的な技術者が必要です。しかし、CIMに精通した技術者は現在不足しており、人材の確保が課題となっています。この不足により、企業がCIMを導入したとしても、適切に運用できないリスクがあります。

また、既存の従業員を教育・研修する必要が生じ、そのための時間とコストがかかることもデメリットと言えます。


デメリット3:移行期間中の2Dと3Dの併用による管理負担

CIMの導入初期には、従来の2D図面とCIMモデル併用が必要になることが多く、2重管理発生することあります。

特に、既存のプロジェクトやシステムが2D図面ベースで進行している場合、新しいCIMシステムに完全移行するまでの間、旧来の手法との併用が煩雑になり、管理コストが増加する可能性があります。この過渡的な状況は、効率の低下を引き起こす要因の一つです。


デメリット4:導入・運用費用が掛かる

CIMの導入には、初期費用や運用費用がかかる点がデメリットです。CIMソフトウェアのライセンスやハードウェアの導入に加え、技術者教育・研修費用、さらにシステム運用維持にもコストが発生します。

特に中小企業にとっては、これらの費用が大きな負担となり、導入をためらう要因となる場合があります。




国土交通省による推進内容

国土交通省ではBIM/CIM(Building/Construction Information Modeling, Management)の普及、定着、効果の把握やルール作りに向けて、取り組みを進めています。

当初2025年度を目標として掲げていた「BIM/CIM原則適用」 を2年前倒しで、2023年度から実施開始しました。

この方針の具体的な内容としては、発注者が業務や工事の特性に応じて、視覚化に必要な義務項目やその他の活用に必要な推奨項目を指定し、受注側に3次元モデルの作成を依頼するというものです。そして、受注者はその3次元モデルを作成・活用します。


社会的背景

CIMの導入を目指すに至った社会的背景 としては以下が挙げられます。

  • 建設産業の再生(建設業の労働生産性の低迷、建設労働者の高齢化)
  • 求められる建設業の国際競争力の強化
  • 社会資本の維持管理時代の到来 


推進の目的

測量・調査、設計、施工、維持管理・更新の各段階において、一連の建設生産・管理システム全体の効率化・高度化を図ることを目的にしています。

そのために、情報を充実させながらBIM/CIMモデルを連携・発展させ、併せて事業全体にわたる関係者間の情報共有を容易にすることが目指されているのです。


BIM/CIMを導入しないリスク

BIM/CIM原則適用の実施により、一部の小規模工事を除いてBIM/CIMの導入なしには公共事業への参入が不可能となります。

さらに、i-Construction や 建設DX への移行が遅れることで企業の競争力が低下し、人材確保や価格競争力で不利になる可能性があります。BIM/CIMを活用しないと、連絡不備やトラブル対応の遅れといったリスクも増加します。

また、リモートでのBIM/CIM活用環境を整えることで働き方改革を推進し、無駄なコスト削減にも繋がります。


CIMソフトの購入には補助金が利用できます

新規導入に際しては、人材育成やシステム・ソフトウェアのコスト負担など多くの障壁がありますので、専門家に相談しながら着実に進めることをおすすめします。
また、コストについては補助金を利用することもできますので、併せて検討してみるもよいでしょう。



おわりに

本記事では、CIMの基礎知識、BIMとの違いやCIM導入メリット、国土交通省による推進概要について解説してきました。

BIM/CIMの導入により、管理システム全体の効率化や高度化など大きなメリットが生み出されることから、 国土交通省でも普及、定着、ルール作りが進められています。

しかし、導入にあたっては人材育成やシステム・ソフトウェアのコスト負担など多くの障壁があるため、専門家に相談しながら進めていくことをおすすめします。

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