Macで使用できるCADソフト10選|選び方や Windowsとの比較を解説
一般的にCADソフトはWindows対応のものが多い印象がありますが、実はMacで使用できるソフトも数多く存在します。
本記事では、Macに対応したおすすめCADソフト10選を紹介するとともに、Windowsとの違いや選び方について解説します。
このような方におすすめの記事です
- Mac対応のCADソフトウェアを検討中の方
- Macをご利用中の方
目次[非表示]
CADソフトはそもそもMacでも使えるのか?
CADソフトといえば、かつてはWindows専用のものが主流でした。
しかし、近年では主要なソフトウェアがMacに対応しており、MacでもCADを使える環境が十分整備されています。たとえば、AutoCADやAutodesk Fusion(Fusion 360)など、業界標準となるツールはMac版を提供しており、Windowsと同等の機能が利用可能です。
一方で、まだWindows専用のソフトも多いため、事前に使用したいソフトの対応状況を確認するようにしましょう。特に専門的な用途に特化したCADソフトや、建築、工業デザイン向けのソフトウェアでは、Mac非対応のものも一部残っています。
そのような場合は、仮想環境を使う方法も検討できます。
Macを使用するメリット
MacでCADソフトを使用する際には、ハードウェアやソフトウェア面で多くのメリットがあります。特に、デザイン性、性能、安定性といった面で優れた点が多く、クリエイティブな業界で広く支持されています。
1.優れたディスプレイ品質とデザイン性
MacOSを搭載したデバイスは、Retinaディスプレイにより高解像度かつ色再現性に優れた映像体験を提供します。薄型で洗練されたデザインは、作業環境に調和し、プロフェッショナルな印象を与えます。文字やグラフィックの表示が滑らかで、長時間の使用でも目が疲れにくいのも特長です。
2.Apple Siliconの高性能と低消費電力
Apple Siliconは、高性能なCPUとGPUを統合し、優れた処理速度とグラフィック性能を実現しています。また、低消費電力設計により、バッテリー駆動時間が延長され、モバイル作業でもストレスなく使用できます。
3.静音性と快適な作業環境
MacOSデバイスは優れた熱設計と静音性を兼ね備えています。特にファンレス構造のモデルでは、完全な無音動作が可能で、集中力を保ちやすい環境を提供します。また、効率的なエネルギー管理が発熱を抑え、快適な作業体験を実現します。
4.セキュリティと安定性の高さ
MacOSはUnixベースのアーキテクチャを採用しており、高いセキュリティと安定性を実現しています。App Storeの厳しい審査基準やGatekeeperによるアプリの実行制限により、不正プログラムの侵入を防ぎます。
また、定期的なOSアップデートで脆弱性が迅速に修正されるため、安全性が維持されます。ファイルシステムのAPFSもデータの一貫性を保ち、高速かつ安定した動作をサポートしています。
MacとWindowsの違い比較
MacとWindowsの大きな違いは、ハードウェアとソフトウェアの設計方針にあります。
MacはAppleがハードウェアとOSを統合的に開発しており、安定性が高く、直感的で使いやすい操作性が特徴です。一方、Windowsは多様なハードウェアに対応できる汎用性が強みですが、その分動作の安定性や操作性でMacに劣る場合があります。
どちらを選ぶべきかは、利用目的や環境に応じて慎重に検討する必要があります。
こちらではMacとWindowsの違いを比較表にしました。
Windows |
Mac |
|
ソフトウェア対応 |
多くのCADソフトがWindowsに最適化されている。 最新機能が早期に提供されることが多い。 |
一部のCADソフトで対応。 Windows専用ソフトを利用するには仮想環境やエミュレータが必要。 |
コスト |
幅広い価格帯のPCが選べ、低予算でも導入可能。 |
初期費用は高いが、耐久性とリセールバリューが高い。 |
クリエイティブ作業との相性 |
CADやエンジニアリング向けに最適化されている。 |
Retinaディスプレイの正確な色再現がデザイン作業に最適。 |
Macはグラフィックデザインや動画編集、音楽制作といったクリエイティブな分野で広く活用されています。高品質なディスプレイやFinal Cut ProなどのmacOS専用ソフトが選ばれる理由です。
一方、Windowsはビジネス用途やエンジニアリング、ゲーム開発など幅広い分野で支持されており、特にCADやCAEなどの業務用ソフトウェアではWindows専用のものが多く存在します。カスタマイズ可能なハードウェア構成も魅力です。
Macに対応しているCADソフトウェア
Macに対応しているCADソフトの中には、業界標準とされる有名なものがいくつかあります。ここでは代表的な4つを紹介します。
AutoCAD for Mac
AutoCADは、Autodesk社が提供する2Dおよび3D設計ソフトウェアで、Mac専用バージョンも用意されています。設計業務に必要な幅広い機能を搭載し、建築、製造、インフラ分野での利用に最適です。Macユーザー向けにインターフェースが最適化されており、効率的な作業が可能です。特にプロフェッショナル向けとして高い信頼性があります。
- 2D/3D設計に対応し、業界標準のDWG形式をサポート。
- 自動化機能を活用し、設計効率を向上。
- クラウドサービスとの連携により、データ共有が容易。
Autodesk Fusion(Fusion 360)
Autodesk Fusion(Fusion 360)は、Autodesk社が提供するクラウドベースの3D CADソフトで、モデリング、解析、製造までを一貫して行えるオールインワンツールです。Macでもスムーズに動作し、クラウドを活用したチームコラボレーションが可能です。製品設計やエンジニアリングに最適で、中小企業や個人開発者にも人気があります。
- 時間や場所を問わず作業可能なクラウドベース設計。
- 高度なシミュレーションや解析機能を搭載。
- モジュール型インターフェースで、用途に応じたカスタマイズが可能。
Vectorworks
Vectorworksは、Vectorworks社が提供する設計ソフトウェアで、建築、ランドスケープ、舞台設計など多分野で活用されています。Mac対応が早くから行われており、Appleのエコシステムを活用したスムーズな操作性が特徴です。直感的なモデリング機能と高い描画精度が支持されています。
- 精密な2D図面作成と3Dモデリングが統合された環境。
- BIM(Building Information Modeling)機能を標準搭載。
- 高い描画精度とスピーディなレンダリングが魅力。
Rhino for Mac
Rhino(Rhinoceros)は、Robert McNeel & Associates社が開発した3Dモデリングツールで、曲面設計に強みがあります。Mac版は、Windows版と同等の機能を持ち、プロフェッショナルデザイナーや建築家に高く評価されています。特に建築設計やプロダクトデザインで、複雑な形状のモデリングに最適です。
- 高精度なNURBSモデリングを提供。
- グラスホッパーとの連携でアルゴリズミックデザインが可能。
- 多種多様なプラグインで機能を拡張可能。
Macに対応しているCADソフトウェア(無料)
JW_CAD for Mac
JW_CADは日本国内で広く使用されているシンプルな2D設計ツールで、非公式ながらMacユーザー向けの対応版も提供されています。日本産ソフトウェアのため、国内の技術者に適した機能が揃っており、軽量で使いやすいのが特徴です。公式ではなく有志によるMac版対応となるため、利用時には互換性やサポート状況に注意が必要です。
- 国内向けの設計規格に最適化された機能。
- 軽快な動作で、初心者にも使いやすい設計。
LibreCAD
LibreCADはオープンソースで開発された2D CADソフトで、無料ながら多機能を備えています。主に個人開発者や小規模チームがメンテナンスを行っており、世界中で利用されています。初心者でも簡単に操作でき、Macでもスムーズに動作します。日本語対応も可能で、趣味から軽い業務用途まで幅広く活用されています。
- インターフェースが直感的で初心者にも優しい。
- DXFファイルの読み書きが可能で、業務用途にも対応。
FreeCAD
FreeCADは3Dモデリングを中心としたオープンソースのCADソフトで、コミュニティベースで開発が進められています。モジュール構造により、用途に応じたカスタマイズが可能で、設計から解析まで対応可能です。Macでも十分に動作し、無料ながらプロ仕様の機能を利用できます。エンジニアやデザイナーにおすすめです。
- パラメトリックモデリングで、設計の変更が簡単。
- 建築や製造業向けの専用モジュールが豊富。
Blender
Blenderは3Dアニメーションやビジュアライゼーションを得意とするオープンソースソフトウェアです。CAD用途にも対応可能で、3Dモデリングやレンダリング機能が無料で利用できます。Macユーザーにも適した設計で、クリエイティブな作業に最適です。
- 高性能な3Dモデリングとレンダリング機能を搭載。
- 大規模なコミュニティがサポートする豊富なチュートリアル。
Tinkercad
TinkercadはAutodesk社が提供する初心者向けオンライン3Dモデリングツールで、ブラウザで利用可能です。MacのOS環境に依存せず、インストール不要で手軽に使用できます。直感的な操作性が特徴で、教育用途や軽い3Dプリント用データ作成に適しています。初心者や学生に特におすすめのツールです。
- ブラウザ上で操作可能で、インストール不要。
- 学習教材や教育向けリソースが豊富。
SketchUp Free
SketchUp Freeは、Trimble Inc.が提供するWebブラウザ上で動作する3Dモデリングソフトです。インストール不要でMacでも快適に使用可能です。簡単な操作で3Dモデリングを始められるため、初心者からプロまで幅広いユーザーに愛用されています。家具設計や建築デザインにも適したツールです。
- インストール不要で、軽快に動作
- 3D Warehouseとの連携で、豊富な素材やデザインリソースを活用。
MacでCADソフトを選ぶ際の注意点
Mac対応のCADソフトは選択肢が限られているため、購入前にしっかりと情報収集を行うようにしましょう。こちらではMacでCADソフトウェアを選ぶ際の注意点について説明します。
対応しているソフトウェアを確認する
Macで動作するCADソフトは、Windowsに比べ選択肢が限られています。
まず、使用したいCADソフトがMac対応であるか公式ウェブサイトやサポート情報で確認しましょう。特に業界標準のソフトウェアを使用する場合、Mac専用バージョンがあるか、またはWindows版との互換性を調査することが重要です。一部のソフトは限定機能しか提供していない場合もあるため、詳細な仕様を必ず確認するようにしてください。
ハードウェア要件を満たすか確認する
MacでCADソフトを使用する際には、使用するソフトのハードウェア要件がMacのスペックに適合しているかを確認しましょう。特にCADソフトはグラフィック性能やRAMの容量を必要とするため、Macのモデルやスペックが十分でないと動作が遅くなる可能性があります。推奨環境に届いていない場合は、アップグレードや新しいモデルへの切り替えを検討しましょう。
互換性とファイル形式を考慮する
Mac版のCADソフトを使用する際、Windows版との互換性やファイル形式の対応状況にも注意を払う必要があります。
特にDXFやDWGなど、業界標準のファイル形式に対応しているかどうかが重要です。互換性が不足していると、クライアントや他のチームメンバーとスムーズなやり取りが困難になる可能性があります。
仮想環境の必要性を検討する
もし希望するCADソフトがMacに対応していない場合、仮想環境(Parallels DesktopやBoot Camp)を利用してWindows環境を構築する選択肢があります。ただし、仮想環境を使う場合には、システムリソースを追加で消費するため、高スペックなMacが必要です。また、仮想環境の設定やライセンス管理に手間がかかる点も留意しましょう。
Macで使用できるCADをお探しならABKSSにご相談ください
Macで使用できるCADソフトウェアを選ぶ際には、まず目的や必要な機能を明確にし、業界に適した機能を備えた製品を選ぶことが重要です。加えて、既存システムとの連携やサポート体制、ライセンス形態、将来的な拡張性などを考慮し、コストとのバランスを慎重に検討することも必要となります。
ただし、選定を誤ると製品の効果を十分に引き出せない可能性があるため、製品選びの段階から具体的なニーズに合致した機能や操作性、将来の拡張性をしっかり見極めることが大切です。ABKSSでは、こうしたポイントを踏まえた最適なソリューションをご提案します。
Macで使用できるCADソフトウェアの導入をお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
おわりに
本記事では、Macで使用できるCADソフトウェアの紹介からその選び方、Macを選択するメリットを紹介しました。
Macは、高性能なハードウェア、直感的な操作性、そして安定したOS環境により、快適な作業が可能です。
Mac対応のCADソフトは選択肢が限られていますが、AutoCAD for Mac、Autodesk Fusion(Fusion 360)、Vectorworks、Rhino for Macなどを始めとした信頼性の高いソフトウェアが揃っています。
MacでCADソフトを使用する際は、自分の用途に最適なソフトウェアを選び、ハードウェア要件や互換性を事前に確認することが大切です。Mac独自の高い視覚表現力や安定したパフォーマンスを活かし、快適な作業環境を手に入れましょう。