CAD用パソコンおすすめ7選と最適スペック目安|3Dモデリング・設計
3D CADを使用する際には、適切なスペックを備えたマシンが必要になります。
スペックを満たさないと、設計データが開けなかったり、動作が遅くなったり、業務に支障をきたす恐れがあります。そのため、快適に作業を行うためには、最適なPCやワークステーションを選定するようにしましょう。
本記事では、3D CAD設計に求められるスペックや選び方、おすすめのPCやワークステーション、作業を効率化する周辺機器についても紹介します。
このような方におすすめの内容です
- 3D CADを使用している
- これから3D CADの導入を検討している
- 設計用PCやワークステーションの購入を検討している
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目次[非表示]
3DCAD設計に適したPCの選び方
3D CAD設計は、3Dモデリング、シミュレーション、解析などのタスクを行うため、高い処理能力とメモリ、およびグラフィックス性能が求められます。
これに耐えられるスペックを備えたパソコン(PC)を選定するためには、以下の3つのポイントを満たすことが不可欠です。
- 高性能なプロセッサ(CPU)
- 強力なグラフィックカード
- 大容量のメモリとストレージ
この場合「ワークステーション」と呼ばれる、処理負荷の重い作業を行うためのコンピューターを選ぶと良いです。 具体的なスペックについてはこちらで説明します。
パソコン(PC)とワークステーションの違い
パソコン(PC)とワークステーションの主な違いは、性能と用途にあります。
パソコンは一般的なオフィス作業やインターネット閲覧、軽いソフトウェアの使用に向いており、コストも抑えられています。
一方、ワークステーションは高度な計算能力を持ち、CAD、3Dモデリング、科学技術計算などの専門的な業務を行うために最適化されています。高性能なプロセッサ、グラフィックスカード、メモリを搭載しており、長時間の高負荷作業にも耐えられるよう設計されているのが特徴です。
デスクトップ型 or ノート型
ここでは「デスクトップ型」か「ノート型」どちらを選ぶべきか説明します。
基本的には使用するソフトウェアの必要スペックをクリアしていれば、ノート型でもデスクトップ型でも問題なく作業できますが、実際の作業状況をイメージして適したタイプを選定するようにしましょう。それぞれのメリット・デメリットを考慮したうえで、最適なタイプを選択するようにしましょう。
デスクトップ型のメリット・デメリット
性能の高さやコストパフォーマンスを重視するなら「デスクトップ型」がおすすめです。拡張性が高く、必要に応じてパーツの交換や増設が可能なため、長期的な運用にも適しています。
また、冷却性能も優れているため、長時間の高負荷作業にも耐えられます。しかし、デメリットとして設置スペースが必要であり、持ち運びが難しい点が挙げられます。特にオフィスや自宅での固定使用を前提とした環境に適していますが、移動が多い場合には不向きです。
メリット
- スペックの増築や拡張性などの カスタマイズ性能に優れる
冷却性能に優れ、長時間の高負荷作業にも耐えられる
- 高い性能を比較的低コストで入手できる
デメリット
- 移動が難しいため、固定使用が前提となる
- 設置には一定のスペースを要する
ノート型のメリット・デメリット
外出先で使用するなど、ワークステーションを持ち歩くことが多い場合は 「ノート型」がおすすめです。ノートPCは省電力設計で、バッテリー駆動が可能なため、電源がない場所でも使用できます。
デメリットとしては、性能がデスクトップ型に劣ることが多く、特に高負荷な作業には向きません。また、拡張性が低く、パーツの交換や増設が難しいため、長期的なアップグレードには不向きです。
メリット
-
持ち運びが容易で、外出先でも稼働できる
- バッテリー駆動で、電源がない場所でも使用できる
-
突然の電源断にも対応できる
デメリット
- 画面が小さいため、 作業効率が落ちることがある
- 同じスペックのデスクトップに比べ、価格が高くなる場合がある
-
拡張性が低く、パーツ交換や増設が難しい。
- 高負荷作業で熱がこもりやすく、冷却性能に限界がある。
可能なら両方用意しておくのが理想的ですが、難しい場合は、ノートPCを外部ディスプレイに接続して2画面のマルチディスプレイ環境を構築することもできます。
必要スペックの目安
こちらでは、3D CADを利用する方におすすめのスペックについて解説します。
※本記事では「AutoCAD 2025」「SOLIDWORKS 2023」推奨動作環境を基に最適なスペックを選定しております。
CPU
CPUはパソコンの頭脳ともいえるパーツです。3DCADソフトウェアは、多くのデータを一度に処理することからCADの操作性に大きく関わるので、高スペックなものを選びましょう。
複数のコアと高いクロック周波数を持つCPUを選ぶことで、複雑なモデルのレンダリングやシミュレーションをスムーズに実行できます。Intel Core i7以上、もしくはAMD Ryzen 9以上のクラスがおすすめです。
- Intel:Intel Core i7 、Intel Core i9、Xeonシリーズ
- AMD:Ryzen9
※利用するグラフィックカードに対しボトルネックにならないものを選択
インテルのCPUには大きく分けて「Core iシリーズ」「Xeon シリーズ」があります。「Core iシリーズ」は一般PC向け、「Xeon シリーズ」は ワークステーション・サーバー用途の業務向け、というように分類されています。
それぞれの用途や必要条件に適したCPUやその他のハードウェアを選ぶには、専門家に相談することをお勧めします。最適なソリューション選定は、40年以上の豊富な経験と専門知識を持つエービーケーエスエスにお任せください。
RAM(メモリ)
RAM(メモリ) とは、データを一時的に記録する部品のことです。メモリの容量が大きければ大きいほど、一度にたくさんのデータを処理できます。
最低でも16GBのRAMを推奨し、大規模なアセンブリや高度なレンダリングを行う場合は64GB以上を検討すると良いでしょう。複数のアプリケーションを同時に使用する場合も、RAM容量が多いほど安定した動作につながります。
設計するプロダクトの部品数が少なかったり形状がシンプルだったりするものであれば、16GBでも十分です。一方で、1000を超えるような部品数であり、複雑な形状のプロダクトを設計する場合は 64GB 以上あったほうが快適に作業できるでしょう。
GPU(グラフィックカード)
GPUとは、パソコンの映像をディスプレイに映し出す役割をもつパーツです。
NVIDIAのQuadroシリーズやAMDのRadeon Proシリーズのようなプロフェッショナル向けのGPUを選ぶことで、高度なビジュアル処理やレンダリングにも対応可能になります。
また、GPU のメモリは、最低でも 6GB 程度は必要です。環境によって異なるため専門の業者に相談してみましょう。
- NVIDIA「Quadro」シリーズ(GeForce RTX 30XX~)
- AMD「FirePro」シリーズ(Radeon RX 6XXX~) ※メーカーによっては推奨されていない場合もあるので注意
3Dデータを鮮明に表示するためには、搭載されているグラフィックボードがCADと相性の良いものでなければいけません。3D CADでは「OpenGL」というAPIを採用しているため、グラフィックボードも同じOpenGLを採用したものでないと、動作が非常に遅くなり、作業効率が低下してしまいます。
ストレージ
3DCADの設計は扱うデータサイズが大きいため、最低でも500GBのストレージが必要です。1TBあれば快適に作業ができます。
また、ストレージには、読み書き速度の速いSSD(ソリッドステートドライブ)を推奨します。SSDはシステムの起動時間を短縮し、ソフトウェアの読み込み速度を向上させるため、作業効率を大幅に向上させることが可能です。
HDD(ハードディスクドライブ)は、大容量のデータ保存用として追加することも有効です。
ストレージにはHDDとSSDの2種類があり、容量単価で考えれば HDD は安価で SSD は高価です。1TBを越える SSD は高額になりますので、HDDとSSDを組み合わせて選ぶこともおすすめです。
周辺機器
建築設計業務においては、より作業を効率的に進めるために、 周辺機器も適したものを用意する必要があります。必要なパソコン以外の周辺機器について解説していきます。
ディスプレイ
高解像度のディスプレイは、4K解像度以上のものがおすすめです。細かいディテール表示や、表示可能な面積の増加、複数の作業を一度に表示するのに役立ち、設計業務の作業効率が向上します。複数のディスプレイを使用するセットアップもおすすめです。
拡張性と接続性
USBポート、HDMI、Thunderboltなど、さまざまな端末や外部ディスプレイに接続するためのポートが必要です。
それぞれの用途や必要条件に適したCPUやその他のハードウェアを選ぶには、専門家に相談することをお勧めします。最適なソリューション選定は、40年以上の豊富な経験と専門知識を持つエービーケーエスエスにお任せください。
おすすめのCAD用パソコン(PC)
設計用PCでは、高い処理能力とメモリ、およびグラフィックス性能が求められます。ここでは3DCAD を使用する方におすすめのPCを厳選しました。
HP
HP Inc. / 日本HPは、米国創業のヒューレット・パッカードカンパニーから、2015年の分社により誕生したコンピューターテクノロジー会社です。3DCAD用途では「Z」シリーズがおすすめです。
HP Z2 Tower
参照:https://jp.ext.hp.com/prod/workstations/z2_tower_g9/
NVIDIA® RTX™ A5000 グラフィックスを搭載可能。第13世代 インテル® Core™ プロセッサーを搭載したエントリータワーワークステーションです。
HP Z8
参照:https://jp.ext.hp.com/prod/workstations/z8g5/
2基のインテル® Xeon® CPUにわたる最大64個のコア、2基のGPU、1 TBのDDR5 RAMという最もパワフルなワークステーションでパフォーマンスを最大化できます。
HP ZBook Fury
参照:https://jp.ext.hp.com/prod/workstations/zbook_fury_16_g10/
最新のインテル® Core™ プロセッサーと NVIDIA® RTX 5000 Ada グラフィックス搭載可能により、負荷の高い複数のワークフローにも対処可能です。
DELL
DELLは、高品質かつ低価格で知られる米国のコンピューターテクノロジー会社です。3DCAD用途では 「Precision」シリーズがおすすめです。
Dell - Precision 5680ワークステーション
参照:https://www.dell.com/ja-jp/shop/dell
- インテル® Core™ i9-13900H, vPro® エンタープライズ (24MB キャッシュ, 14 コア, 20 スレッド, 2.6-5.4 GHz, 45W)
- NVIDIA® RTX™ 3500 Ada, 12GB GDDR6
- 64 GB, 2 X 32 GB, LPDDR5, 6000MT/s
- 1 TB, M.2 2280, Gen 4 PCIe NVMe, SSD, Class 40
Dell - Precision 5480 ワークステーション
参照:https://www.dell.com/ja-jp/shop/dell
- インテル® Core™ i9-13900H, vPro® エンタープライズ (24MB キャッシュ, 14 コア, 20 スレッド, 2.6-5.4 GHz, 45W)
- NVIDIA RTX™ 2000 Ada, GDDR6 8GB メモリー
- 64 GB, 2 X 32 GB, LPDDR5, 6000MT/s
- 1 TB, M.2 2280, Gen 4 PCIe NVMe, SSD, Class 40
Lenovo
Lenovoは、中国のレノボ・グループがIBMのPC事業部と合流して誕生したコンピューターテクノロジー会社です。
3DCAD用途では「ThinkStation Pシリーズ」「ThinkPad Pシリーズ」がおすすめです。 最新技術が搭載された Lenovo の Pシリーズは、グラフィックス、CAD、AIなどに適したパワフルな機能を備えています。
Lenovo - ThinkPad Pシリーズ
参照:https://www.lenovo.com/jp/ja/c/laptops/thinkpad/thinkpad-p-series/
「ThinkPad P」シリーズは、薄型軽量ボディでありながらもパワフルで高速なプロセッサーとグラフィックスを備えたモバイルワークステーションです。 VRコンテンツの作成や建築図面のレンダリングなどの業務に最適です。
Lenovo - ThinkStation Pシリーズ
参照:https://www.lenovo.com/jp/ja/c/workstations/thinkstationpseries/
「ThinkStation P」シリーズは、 最新のインテル®Xeon®プロセッサーと、強力なグラフィックスNVIDIA® Quadro®を搭載したパワフルなパフォーマンスと優れた信頼性が魅力です。
パソコンのスペック最適化で生産性向上
現場の生産性を向上させるには、業務内容や使用するソフトウェアに適したパソコンのスペック選定が不可欠です。
スペックが不足していると、3D CADなど高負荷のソフト使用時に処理が遅れ、作業効率が低下し、残業や納期遅延のリスクが高まります。一方、オーバースペックなパソコンは初期投資や運用コストが無駄に増えるだけでなく、管理の手間も増加します。
そのためPC選定は、専門業者に依頼するのが安心でしょう。専門知識に基づき、必要なスペックを判断し、導入時の設定やサポートも提供してくれるため、納品後すぐに作業を開始できます。
まとめ
3DCAD設計用ワークステーションは、3Dモデリング、シミュレーション、解析などのタスクを行うため、高い処理能力とメモリ、およびグラフィックス性能が求められます。
そのために必要なポイントとしては、以下があげられます。
- 高性能なプロセッサ(CPU)
- 強力なグラフィックスカード
- 大容量のメモリとストレージ
また、必要となる各パーツごとのスペックやおすすめワークステーションもご紹介しましたが、用途や設計環境などによって最適な構成は異なります。条件に合ったCPUやその他のハードウェアは、専門家に相談しながら決めると安心です。
エービーケーエスエスでは用途や使用条件をヒアリングしたうえで、最適なワークステーションをご提案させていただきます。「コストを抑えたい」「1台だけお願いしたい」「いくつかのメーカーを比較検討したい」などのご要望も大歓迎ですので、ご検討中の方はお気軽にご相談ください。