【2025年】3D CADソフトおすすめ13選を徹底比較|特長や価格形態、選び方を解説
CADソフトは、設計作業を効率的かつ精密に行うために不可欠なツールです。
特に3DCADは、立体モデルを用いて高度な設計が可能で、多くの業界で広く採用されています。しかし、数多くのCADソフトが市場に出回っているため、どれを選べばいいのか迷うことも多いでしょう。
本記事では、3DCADの基本的な機能から始め、さまざまな価格帯で利用可能なソフトウェアを徹底的に比較します。初心者からプロフェッショナルまで、あらゆるニーズに応じた最適な選択をお手伝いします。購入形態の違い、予算に応じたおすすめのソフト、使いやすさ、機能性など、CADソフト選びで考慮すべきポイントを網羅的に解説していきます。
このような方におすすめです
- 基本的な機能について学びたいCAD初心者の方
- どのソフトウェアを選択すれば良いか迷っている方
- 人気のおすすめCADを知りたい方
- 新しいプロジェクトや部署のためにCADの導入を検討している方
2DCADの製品に関してはこちらの記事をご覧ください。
目次[非表示]
CADとは
CADとは「Computer-Aided Design」の略で、コンピュータを利用して設計や製図を行う技術です。主に製造業や建築業、機械工学、電子工学などの分野で使用され、手書きでの設計よりも正確で効率的な図面作成が可能です。
2次元(2D)CADは平面図や断面図を、3次元(3D)CADは立体的なモデリングやシミュレーションを支援します。これにより、製品の設計から試作、製造までのプロセスがスムーズに進み、コスト削減や品質向上にも寄与します。
3DCADとは
3DCADとは、コンピューターを用いて3次元モデルを作成し、設計支援を行うソフトウェアです。2DCADとは異なり、平面図などを作成せずに、はじめから3Dで立体モデルとして設計を始められます。
「スケッチ」と呼ばれる線画に奥行きや高さを加えて立体を定義し、形状を数値で精密に制御します。工業部品や家電、自動車など多岐にわたる分野で活用されています。
また、3DCADで作成されるデータには寸法やスケールの概念が含まれ、設計や製造に直接利用可能な「ソリッドモデル」が主流です。モデリング手法は履歴を伴う「パラメトリックモデリング」と、柔軟な「ダイレクトモデリング」に分かれ、それぞれの設計ニーズに応じて選ばれます。
3DCADソフトのメリット
リアルなビジュアライゼーション
3DCADソフトは、2D図面では表現が難しい製品の細部や構造を、立体的に視覚化することが可能です。これにより、設計者はあらゆる角度から製品を検討でき、精度の高い設計を実現できます。
設計の正確性と品質の向上
設計プロセスでのエラーや不適切な部品配置を早期に発見し、修正が可能です。その結果、製品の品質が向上し、信頼性の高い成果物を効率的に生み出せます。
コラボレーションの効率化
クラウド対応の3DCADを使用することで、設計者やエンジニア、ステークホルダーがリアルタイムで設計データにアクセスし、フィードバックを共有できます。これにより、チーム間の連携が強化され、プロジェクト全体の効率性が向上します。
コスト削減と時間短縮
物理プロトタイプを作成せずに仮想環境で設計をテストできるため、試作コストを削減し、開発期間を大幅に短縮できます。また、設計変更も迅速に対応可能です。
3DCADソフトのデメリット
一方で、3DCADソフトを導入・運用する際にはいくつかのデメリットも考慮する必要があります。以下に代表的な4つの課題を挙げます。
習得の難しさ
3DCADソフトは多機能である一方、操作が複雑で、初心者には高い学習コストがかかります。効率的に活用するためには、適切なトレーニングやサポートが欠かせません。
システム要件の高さ
3DCADソフトは高度なグラフィック処理能力を必要とするため、専用の高性能PCが必要です。その結果、初期導入コストが増大し、小規模な企業にとっては負担となる場合があります。
データ管理の課題
3Dモデルのデータはファイルサイズが大きく、ストレージやデータ転送に問題が生じることがあります。特に、大量のデータを扱う場合には専用の管理システムが必要です。
ライセンスコストの負担
3DCADソフトはライセンス料金が高額であり、高機能な製品ほどコストが上がります。特に中小企業では、これが導入の障壁となることがあります。
2つの価格形態について
3DCADソフトの価格形態については「永続ライセンス」と「年間または月間のサブスクリプション」という2つの主要な方法が存在します。近年、サブスクリプション方式のみを提供するCADソフトも増えてきました。
どちらを選ぶべきなのか、ビジネスのニーズ、予算、プロジェクトの期間などによって異なるため、詳しい専門業者に相談しながら検討するとよいでしょう。
①永続ライセンス (買い切り)
一度の購入で長期にわたりソフトウェアを使用可能の形態です。
メリット
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デメリット
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②サブスクリプション
年間または月間の定期的な支払いで最新のソフトウェアを利用可能の形態です。近年は増加傾向にあります。
メリット
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デメリット
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3DCADの価格帯を比較
購入価格によって「ハイエンド」「ミドルレンジ」「ローエンド」に分類されることがあります。それぞれのニーズや予算、技術レベルに応じて選択するのが良いでしょう。
価格帯ごとに 各種3DCADソリューションをご紹介していきます。
3DCADソフトの価格形態については「永続ライセンス」と「年間または月間のサブスクリプション」という2つの主要な方法が存在します。本記事では、各ソフトの永続ライセンスの価格を基準に比較を行いました。価格形態がサブスクリプション限定のソフトについては、番外編として紹介しています。
※参考にした価格情報は2023年9月22日現在のものになります
ハイエンド(3選)
購入価格が約150万~数百万円程度の3DCADです。高価である一方、非常に高度な機能や精密なシミュレーション機能を持っています。大規模な産業機械や自動車などの分野で活用される傾向にあります。
- 航空宇宙: 高度な計算と精密な設計、複雑な部品や組み立て
- 自動車:複雑なシミュレーションや、高度な形状のモデリング
- 産業機械:大規模な組み立てや、多数の部品の組み立て
CATIA(キャティア)
CATIAは、ダッソー・システムズ社よりリリースされている3D CADソリューションです。
製品の動作環境を総合的に考慮したデザインツールで、独自の3DEXPERIENCEプラットフォームにより、リアルタイムのコラボレーションや強力な3Dモデリングが可能です。業界特有のニーズに対応し、新製品開発や顧客エクスペリエンスの革新に貢献しています。
Creo(クリオ)
Creoは、アメリカのPTC社よりリリースされている3D CADソリューションです。
製品設計から製造までをシームレスに連携することで、イノベーションを加速します。ジェネレーティブデザイン、リアルタイムシミュレーション、先進製造、IoT、AR技術を統合し、クラウドベースのツールでリアルタイムコラボレーションを実現します。
NX (エヌエックス)
NX は、シーメンス PLM ソフトウェア社よりリリースされている 3D CADソリューションです。
特徴的な統合機能は、設計サイクルを短縮し、品質と持続可能性を共に向上させます。設計から製造までの統合ソフトウェアソリューションとして、高品質な製品の開発をサポートできます。
ミドルレンジ(5選)
購入価格が約100万~170万円程度の3DCADです。多くの一般的な3D設計機能を持ちつつ、比較的手頃な価格帯で提供されます。電子機器などの設計などで活用される傾向にあります。
- 電子機器:スマートフォンや家電など、中規模の製品設計
- 建築:建物の3Dモデリングや構造解析など
- 家具デザイン:独自性のある形状や機能を持った家具の設計
SOLIDWORKS(ソリッドワークス)
SOLIDWORKSは、ダッソー・システムズよりリリースされている3D CADソリューションです。
製品開発時間の短縮、製造コストの削減、製品品質および信頼性の向上を実現し、製品の開発方法と製造方法を飛躍的に改善します。SOLIDWORKS CADパッケージは、3次元設計・製品設計・図面作成、シミュレーション、コスト見積り、製造可能性チェック、CAM、環境配慮設計、データ管理に対応しています。
iCAD(アイキャド)
iCADは、iCAD株式会社よりリリースされている3次元CADシステムで、 機械装置設計に最適な「iCAD SX」と、2次元3次元ハイブリット設計の可能な「iCAD MX」があります。
「iCAD SX」 は、超軽量データ構造による超高速レスポンスが実現され、設計の上流から製造やサービスまで1つのデータでつなげられます。「iCAD MX」は、 2次元/3次元混在設計環境の実現により品質向上と効率化に貢献します。
CADSUPER Works(キャドスーパーワークス)
CADSUPER Worksは、マーブル(旧アンドール)が提供する初心者からプロフェッショナルまで利用可能な高精度で使いやすい3DCADソフトウェアです。
自由度の高い2次元環境と高度な3次元環境が共存した統合CADシステムで、上流から図面作成まで全方位に優れた設計支援環境を提供します。 特に、小規模から中規模の製造企業におすすめです。
IRONCAD(アイアンキャド)
IRONCADは、株式会社クリエイティブマシンよりリリースされている3D CADソリューションです。
装置・治具設計に適した3D-CADで、ブロックや穴などの基本形状を「カタログ」からドラッグ&ドロップしてモデリングを行います。位置決めには、マウスで自由に配置できる独自ツールを使用。単純形状の組み合わせでできる装置や治具であれば、スケッチを描く必要がなく、拘束も使わないため、モデリングを大幅に効率化可能です。
TopSolid(トップソリッド)
TopSolidは、フランスのTOPSOLID社よりリリースされている3D CADソリューションです。
Parasolidモデリングカーネルをベースにした、機械製造や板金、木工業界で使用される設計・製造ツールです。製品設計の「TopSolid'Design」は、製図からレンダリングまでの機能を統合し、大規模アセンブリ設計、サーフェスモデリング、強力な解析、標準部品ライブラリー、JIS/ISO準拠の図面作成を提供し、高品質な設計をサポートします。
ローエンド(3選)
購入価格が無料~数十万円程度の3DCADです。低価格でありながら、基本的な3Dモデリング機能を持っています。このような分野で活用される傾向にあります。
- 個人的なプロジェクトや趣味の3Dモデリング
- 教育機関:学生や初心者がCADの基本を学ぶ
- プロトタイピング:簡単なプロトタイプやコンセプトのモデル作成
ZW3D(ゼットダブリュースリーディー)
ZW3Dは、ZWSOFT社よりリリースされている3D CADソリューションです。 独自のカーネルにより、CADからCAMまで一貫したアーキテクチャで開発され、洗練された操作性やサーフェスとソリッドを融合したハイブリッドモデリング機能など、多くの機能を搭載した本格的3次元CADシステムです。
ThinkDesign(シンクデザイン)
ThinkDesignは、DPT社よりリリースされている3D CADソリューションです。
ソリッドや曲面、メッシュといったハイブリッドモデリングに特化したパラメトリック CADです。すべての設計課程をカバーする機能を持つため、製品定義の様々な段階における情報交換時の障壁を排除することが可能であり、短時間での製品化を実現することができます。
Solid Edge(ソリッドエッジ)
Solid Edgeは、Siemensが提供する多機能で使いやすい3DCADソフトウェアで、初心者から上級者まで幅広い設計ニーズに対応しています。
同期技術と高度な3Dモデリング機能を備え、設計プロセスの効率化と正確な製図を実現します。クラウドベースのデータ管理や共有機能により、チーム間のコラボレーションが容易です。
番外編:サブスクリプション(2選)
購入形態が「サブスクリプション」に限られる 3DCAD はこちらになります。
Autodesk Fusion(Fusion360)
Autodesk Fusion(Fusion360)は、オートデスク社よりリリースされている3D CADソリューションです。
3D CAD、CAM、CAE、PCBを一つに統合したクラウドベースのオールインワンソフトウェアで、設計から製造までの一連の流れを効率的に管理し、迅速な製品開発をサポートします。ユーザー層は、インダストリアルデザイナーや機械エンジニア、電子基板設計者から、スタートアップまで多くのユーザーに愛されています。
Autdesk Inventor(オートデスクインベンター)
Autdesk Inventor は、オートデスク社よりリリースされている3D CADソリューションです。
機械設計から製品シミュレーションまでの多岐にわたるツールを提供します。パラメトリックからフリーフォーム、ルールベースのモデリング機能、シートメタルやフレーム設計などの統合ツールを搭載しています。TrustedDWG®との互換性を持ち、3Dモデルに製造情報を直接組み込むことが可能です。
3DCADの選び方
さいごに3DCADソフトの選び方のポイントについて解説します。
最適な3DCADの選定には、業界や使用目的に応じた判断が重要です。ビジネスのニーズ、予算、プロジェクトの期間などによって異なるため、詳しい専門業者に相談しながら検討するとよいでしょう。
ポイント1:目的と業界に合った機能
3DCADソフトは、製造業、建築、設計など、業界によって必要な機能が異なります。例えば、製造業ではパラメトリック設計やCAE機能が求められることがあり、建築ではBIM対応が重要です 。使用目的に合わせて必要な機能が揃っているか確認しましょう。
ポイント2:対応ファイル形式・互換性
他のCADソフトやシステムとのデータ互換性も重要なポイントです。他部署や外部とのデータを共有する場面では、主要なファイル形式に対応しているか、変換がスムーズに行えるかを確認する必要があります。
ポイント3:操作性と学習曲線
操作性と学習曲線は、3DCADソフト選定時に重要なポイントです。操作が直感的であれば、習得時間が短縮され、業務への導入もスムーズに進みます。一方、操作が複雑なソフトは学習コストが高く、導入までの時間がかかる場合があります。
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ポイント4:ライセンス形態とコスト
ライセンスの形態(サブスクリプション型や永久ライセンス型)と、初期費用や継続的なコストを比較検討しましょう。初期投資を抑えつつも長期的に費用対効果を最大化できるプランを選ぶことが大切です。
ポイント5:カスタマーサポート
製品導入後のサポートや定期的なアップデートがあるかも重要な選定ポイントです。
技術サポートの迅速性や、最新技術に対応したアップデートが提供されていることで、ソフトの長期利用がスムーズになります。
まとめ
本記事では、CADソフトウェアの中でも特に注目されている3DCADに焦点を当て、基本機能から各種ソフトウェアの価格比較まで解説しました。
選ぶべきCADソフトは、それぞれのビジネスやプロジェクトのニーズ、そして予算によって大きく異なるため、詳しい専門業者に相談しながら検討するとよいでしょう。
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