CADの種類と選び方|その特徴と用途をわかりやすく解説
CAD(Computer-Aided Design)は、コンピュータを使った設計支援ツールで、建築、機械、電気、土木といった様々な業界で広く使われています。しかし、種類が多く、どれを選べば良いのか迷ってしまいがちです。
本記事では、CADの種類とその用途、選び方のポイントまでをわかりやすく解説します。
このような方におすすめの記事です
- 最適なCADソフトウェアを選定中の方
- 自身のプロジェクトや業務に適したCADを選定したい方
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CADとは
CADとは「Computer-Aided Design」の略称で、コンピュータを使った設計や図面の作成技術を指します。手書きの図面や模型より、迅速かつ正確に設計が可能です。
CADソフトウェアを使用すると、2次元図面や3次元モデルを作成、分析、修正することができます。主に製造業や建設業、自動車業界などで活躍しており、設計品質の向上や作業の迅速化、エラーの減少などに寄与します。
一般的なファイル形式には、DWG、DXF(AutoCAD)、STEP、IGES(3Dモデル交換用)などがあり、業界や用途に応じて最適な形式が選ばれます。
CADを導入するメリット
CADは、設計作業の効率化や精度向上、コスト削減など、企業に多くの利点をもたらし、設計および製造業において欠かせないツールです。こちらでは、CADを導入することで得られる主なメリットについて解説します。
メリット1:設計の効率化と精度向上
CADを導入することで、手作業では困難な複雑な設計も短時間で処理可能です。
2D図面や3Dモデルが迅速に作成できるだけでなく、寸法のミスや計算エラーも自動で防ぐ機能が備わっています。
精度の高い設計が初期段階で実現できることで、後工程での修正も減り、全体のプロジェクト進行もスムーズに進むようになります。
メリット2: 設計変更しやすい
設計段階での変更や修正が発生しても、手書き図面のように全てを書き直す必要がありません。変更箇所のみを修正するだけで済むので、迅速かつ正確に設計変更ができ、時間を大幅に節約できます。
また、変更履歴も管理できるため、異なるバージョンの設計図を容易に比較・参照することができ、プロジェクトの柔軟性が向上します。
メリット3: コスト削減
CAD導入により、試作品を製作する前に正確な3Dモデルで設計を確認できるため、物理的な試作品の数を減らすことが可能です。材料費や製作にかかるコストを大幅に削減できます。
また、CADによって設計ミスが減ることで、後の修正作業や再設計のコストも抑えられます。
メリット4: データ共有とコミュニケーションの改善
CADデータはデジタル形式で保存されるため、他のチームやクライアントと容易に共有できます。
さらに、3Dモデルを使って設計内容を視覚的に確認できるため、技術的な詳細も含めてわかりやすく伝えられます。
これにより、設計段階でのフィードバックや修正が迅速に行われ、プロジェクトが円滑に進行し、チーム間のコミュニケーションが効率化され、誤解や認識のズレが減少します。
CADソフトの種類
CADソフトウェアは多様なタイプがあり、その用途や機能に応じて適切な選択が必要です。2Dおよび3D設計に対応するもの、汎用的に使用可能なソフトウェア、特定業界向けに特化した専用ソフトなどが存在します。
こちらでは、2DCADと3DCAD、汎用CADと専用CADについて解説します。
2DCAD・3DCAD
2DCAD(2次元CAD)は主に平面図や線図を描くのに適しており、建築図面や機械の部品図など、比較的シンプルな設計に使用されます。
一方、3DCAD(3次元CAD)は立体的なモデルを作成し、製品設計や複雑な構造の解析に利用されます。高度なシミュレーションやアニメーション作成も可能です。
選択にあたっては、設計の複雑さ、必要な精度、プロジェクトの予算などを考慮するとよいでしょう。
2DCAD(2次元CAD)の具体的な製品には「AutoCAD LT」や「CADSUPER」があり、3DCAD(3次元CAD)には「SolidWorks」や「Autodesk Inventor」「CADSUPER Works」が該当します。
汎用CAD・専用CAD
「汎用CAD」はその柔軟性から多くのプロジェクトで利用され、「専用CAD」は特定の技術的要求に対応するための高度な機能を有する、という違いがあります。
汎用CADは、さまざまな業界で広範な設計ニーズに対応可能なソフトウェアです。具体的には「AutoCAD」「SOLIDWORKS」があり、建築、機械、電気設計など多岐にわたる分野で利用されています。
一方、専用CADは特定の業界や用途に特化しており、その分野で求められる高度な機能を備えています。
例えば、建築業界でのBIM(ビルディングインフォメーションモデリング)対応CADとして活用される 「Archicad」「Revit」や、航空宇宙や自動車業界で広く利用される「CATIA」があります。
専用CADソフトの種類(業界・用途別)
「専用CAD」は特定の業界や用途に特化しており、その分野で求められる高度な機能を備えています。こちらでは各業界で使用されるソフトの特徴や用途について説明します。
機械設計用CAD
機械設計用CADは、複雑な機械部品やシステム設計に特化しています。3Dモデリングや動作シミュレーション機能を備え、精密な設計を可能にします。
代表的なソフトウェアには「SolidWorks」や「AutoCAD Mechanical」があり、特に自動車や航空機産業で広く利用されています。これらのソフトウェアは、部品間の干渉チェックやシミュレーション機能を提供し、設計の精度と効率を高めます。
土木・建設用CAD
土木・建設用CADは、インフラや建物の設計に特化しています。「AutoCAD Civil 3D」や「Revit」が代表例で、精密な測量データや地盤情報の管理が可能です。
道路設計や河川工事、建築設計の一貫した作業が効率化され、手動作業に比べて大幅に精度と速度が向上します。建築や土木分野でのプロジェクトの成功には欠かせないツールです。
電気設計用CAD
電気設計用CADは、電気回路や配線設計に特化したソフトウェアです。配線図や回路図を効率的に作成し、誤配線や部品選定のミスを減らすため、製品開発の精度とスピードが向上します。
具体的な製品としては「AutoCAD Electrical」があり、電気設備の図面記号や電気配線専用の機能が充実しており、設計プロセスの効率化に大きく貢献します。
BIM対応CAD
BIM対応CADは、建築や土木分野での建物やインフラのデジタルモデル作成に特化しています
「Archicad」や「Revit」が代表例で、設計から施工、運用までの一貫管理をサポートします。これにより、プロジェクトの効率と品質が向上し、コスト管理や進捗確認がスムーズに行える点が魅力です。特に大規模プロジェクトでは、BIM対応CADの導入が推奨されています。
CAM対応CAD
CAM対応CADは、設計から製造までのプロセスを統合するツールで、CADデータをもとに加工指示を生成し、機械加工を自動化します。高精度な製造を行う業界では必須のツールです。
「Mastercam」は、高度なCAM機能を提供し、複雑な3D加工に強みを持ちます。一方「Fusion 360」は、CADとCAMを一体化したクラウドベースのツールで、設計から製造までをシームレスに行えるのが特徴です。
CAE対応CAD
CAE対応CADは、設計段階で製品の解析やシミュレーションを行うためのツールです。CAE(コンピュータ支援工学)は、構造強度、流体力学、熱解析などのシミュレーションを通じて、製品の性能や耐久性を設計段階で評価します。これにより、物理的な試作品を減らし、設計の最適化が可能になります。
具体的な製品には「SolidWorks」「ANSYS」などがあり、設計から解析までを一貫して行うことが可能です。
CADソフトウェアの選び方
CADソフトを選ぶ際には、用途や業界、操作性、予算、互換性、サポート体制、拡張性など、さまざまな要素を総合的に考慮することが重要です。こちらでは、選定時の主要なチェックポイントを解説します。
①用途と業界を確認する
CADソフトは、用途や業界ごとに特化した機能が異なります。
建築や土木分野では建物やインフラの設計に適した機能が必要ですし、製造業や機械設計では、3Dモデリングやシミュレーション機能が重視されます。自分の業務に必要な機能を優先して選ぶことが重要です。
②操作性と学習コスト
初心者には、操作が直感的で学習が容易なソフトウェアを選ぶことが望まれます。チュートリアルやサポートが充実しているソフトは、スムーズに使い始められるので、学習コストを抑えられます。また、実際の操作感を試すため、無料版や体験セミナーを活用するとよいでしょう。
③予算とライセンス形態
CADソフトには、無料のものから高額なプロフェッショナル向けまで幅広く存在します。
個人や小規模プロジェクトには低コストのソフトでも対応できることがありますが、大規模プロジェクトや専門性の高い作業には有料ソフトが最適です。
また、ライセンス形態も「サブスクリプション型」や「永久ライセンス型」などがあります。プロジェクトや予算に応じて適切なものを選びましょう。
④互換性とデータ共有
CADソフトを選ぶ際には、他のソフトやシステムとの互換性も重要です。業界標準のファイル形式に対応しているかを確認し、異なるチームやクライアントとのデータ共有が円滑に行えるソフトを選ぶことが大切です。
「クラウドベース」のソフトウェアは、チーム全体でリアルタイムに設計データを共有・編集でき、プロジェクトの効率を大幅に向上させます。
⑤サポート体制とコミュニティ
サポート体制やユーザーコミュニティの活発さも、ソフト選びの重要な要素です。
トラブルが発生した際に迅速にサポートを受けられる体制が整っていることや、オンラインコミュニティでユーザー間での情報共有が活発なソフトウェアを選ぶとよいでしょう。
⑥拡張性とカスタマイズ性
プロジェクトが進行するにつれて、より高度な機能が必要になることがあります。
拡張性が高く、プラグインやアドオンで機能を追加できるソフトは、将来的なニーズにも対応でき、柔軟性が高いです。長期間使用する予定であれば、カスタマイズの可能性を考慮して選ぶことが重要です。
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おわりに
本記事では、CADソフトウェアの種類と選び方、そしてそのメリットについて詳しく解説しました。CADの基本概念から具体的な製品名、業界別の用途まで網羅的に説明しました。
この記事を参考にして、自分に合ったCADソフトウェアを選びましょう。専門家のアドバイスが必要でしたら、ぜひエービーケーエスエスにお問い合わせください。
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