CAD/CAMとは|2023年人気おすすめ8選|CAMの基本と加工プロセス
CAMはCAD図面から工作機械へのプログラムを橋渡しする不可欠なツールです。
しかし、CAMと一言で言っても、使用されるソフトウェアは多種多様です。そのため、導入後に効果的に活用するためには、自社のニーズに合ったソフトウェアを選択することが必要です。各CAMの特長を理解し、自社の要求に合致するものを選べば、製造の効率が大きく向上します。
そこで本記事では、CAMの基礎知識をはじめ、主要CAMソフトウェア、NC工作機、NC装置、CAD/CAM加工軸などについて幅広く解説します。
このような方におすすめの記事です
- CAMについて基礎知識を付けたい
- 使用中のCAMの入れ替えを検討している
- CAMの導入を検討している
目次[非表示]
CAMとは
CAMは、Computer Aided Manufacturingの略で、製造作業のサポートや自動化を目的としたコンピュータ技術やソフトウェアを指します。
CAMはこの「NCプログラム」を作るために使用するソフトウェアで、 工作機械の加工動作は、CAMソフトウェアで生成される「NCデータ」に基づいて実行されます。
ちなみに現在主流となっている「CAD/CAM」 は、CADとCAMの両方の機能を併せ持つシステムのことを指します。設計からNCデータの作成までをすべて同じシステム内で行うことができます。
導入メリット
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CAD/CAMソフトウェア
主要なCAD/CAMソフトウェアについてご紹介していきます。
CAMCORE EX(キャムコアイーエックス)
参照:https://www.andor.co.jp/products/camcore_ex/index.html
「CAMCORE EX」は、アンドール株式会社よりリリースされている2.5次元CAMです。3次元CADからの大容量データ(図面データ容量無制限)に対応して、スムーズに取り込むことが出来ます。
図面と加工データを同一ファイル上で管理しているため、加工データの作成後に必要な項目のみを変更するだけで、新たなNCデータを作成することが可能です。
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Fusion360(フュージョン360)
参照:https://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/overview?term=1-YEAR&tab=subscription
「Fusion360」は、AUTODESK社よりリリースされている クラウド型CAD/CAM/CAEです。 設計、開発、解析シミュレーション、製造をすべてまとめて管理できる統合プラットフォームです。
社内外のチームと共同作業が可能で、さまざまなチームが加える設計変更、コメント、マークアップがすべて一元化され、プロジェクトの進行状況が簡単に把握できます。
VISI
参照:https://jp.visicadcam.com/products
「VISI」は、Hexagon社よりリリースされているCAMソフトウェアです。豊富なモジュールを持つ金型設計製造3次元CAD/CAMで、ワイヤフレーム・サーフェスモデル・ソリッドモデルを統合化したモデリング環境と、高演算アルゴリズムを使用した2軸・3軸加工から同時5軸加工まで、豊富な加工機能を備えています。
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Mastercam(マスターキャム)
「Mastercam」は、米国Mastercam社よりリリースされているCAD/CAMソフトウェアです。汎用性が高く、2次元CADデータからツールパスを作成するなど2/3次元を混在したツールパス作成が可能です。また「Mill」「Mill 3D」「Multi-Axis」「Lathe」「Mill-Turn」などのモジュールを組み合わせることで、金型・旋削・部品加工などあらゆる加工に対応します。
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hyperMILL(ハイパーミル)
参照:https://www.openmind-tech.com/jp/cam/hypermill/
「hyperMILL」は、OPEN MIND社よりリリースされているCAD/CAMソフトウェアです。
革新的な5軸加工はもちろん2.5次元、3次元加工に対応したモジュール方式で柔軟に優れます。シンプルで使いやすいプログラミング、信頼性の高い干渉検知、干渉回避機能により、効率的で信頼性の高いプログラミングを実現します。複合加工や HSC(高速切削加工)、HPC(ハイパフォーマンス加工)といった機械加工にも対応します。
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SheetPartner(シートパートナー)
参照:https://takesoft.com/products/prod_sheetpartner.html
「SheetPartner」 は、株式会社テイクソフトよりリリースされているCAD/CAMソフトウェアです。平面切断加工機(レーザー・プラズマ・ガス溶断・ウォータージェット等)に対応するCAMモジュールや、タレパン、ネスティング、板金展開、ダクト展開等多様なオプションモジュールから構成される、ハイパフォーマンス板金系CAD/CAMシステムです。
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FFCAM(エフエフキャム)
参照:https://www.ffcam.makino.co.jp/ffcamj/
「FFCAM」は、牧野フライス製作所よりリリースされているCAMソフトウェアです。工作機械の専門メーカーの技術ノウハウを基に開発され、多機能・高性能ながらシンプルな操作感が魅力です。短時間で高品質なNCプログラムを作成することができます。
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CAMTOOL(キャムツール)
参照:https://www.cgsys.co.jp/jp/cam-tool/index.html
CAMTOOLは、株式会社C&GシステムズよりリリースされているCAD/CAMソフトウェアです。
金型作成に特化した独創的なモデラーを持っており 、穴加工、2軸加工、3軸、固定5軸、同時5軸をラインナップされています。 特定のツーリング形状での干渉を避ける加工や、未加工領域の自動認識、スムーズなベクトル変化のためのスムージング機能が特徴で、主要メーカーの工具カタログが標準で搭載されています。
NC工作機械(加工機)
NC工作機械は、数値制御装置で動作します。事前にプログラムされた(NCデータ)指示に基づいて、金属や樹脂などの材料を加工します。こちらでは主要なNC工作機械(加工機)について紹介していきます。
NCフライス
NCフライスは、自動工具交換 機能 のないマシニングセンタ(切削加工機)です。フライスやエンドミルとよばれるツールを回転させ、テーブルに固定した加工ワークを前後左右に動かしながら、金属を切削します。マシニングセンタよりコストが低く、主軸に剛性があるため重切削に向いています。
マシニングセンタ
マシニングセンタ(machining center)は、回転工具を使用してフライス削りや中ぐり、穴あけ、ねじ立てといった切削加工を、1台で行える工作機械です。 自動工具交換機能(ATC)をもち、工具マガジンに多数の切削工具を格納しておくことで、プログラムに沿って工具の自動交換が可能です。
五面加工機(多面加工機・門形マシニングセンタ )
5面加工機とは、ワーク底面以外 以外の5面(上面、前面、後面、右側面、左側面 )を加工できる工作機械です。 垂直方向・水平方向のほか、アタッチメントを付け替えることで斜め方向からの加工も可能です。機械本体が非常に大型であることが多く、段取りに非常に手間のかかる大物ワークの加工に用いられます。
NCルーター加工機
NCルーター加工機は、設定されたパスに沿ってカッターを動かすことで、材料から所定の形状やパターンを切り出す工作機械です。 主に木材、プラスチック、金属、石などの材料の加工に用いられます。
旋盤
「旋盤」は、工作物を主軸に固定し、それを回転させながら「バイト」という刃物で切削加工を行う工作機械です。このような加工方法を「旋削」と言います。旋盤の能力は、外丸削り、テーパ削り、面削り、ねじ切り、中ぐり、突切り、穴あけなど、円形の加工に特化しています。 特筆すべきは「タレット」という装置で、これには複数の刃物を取り付けることができ、さまざまな加工を自動で行うことができる点です。
ワイヤ放電加工機
ワイヤ放電加工とは、ワイヤの放電熱によって材料を切断する加工方法です。 緻密な作業が可能で、導電体であればどんなに硬い材料でも加工が可能です。 二つの電極間に高圧のスパークを発生させ、ワイヤーを送りながら工作物を糸鋸で切るように工作物を侵食切断します。
レーザー加工機
レーザー加工機、別名レーザーカッターは、デジタルデータを元に加工素材にレーザー光を当てることで、蒸発や燃焼、溶解を起こし加工する機械です。主に「切断」「マーキング」「彫刻」といった作業が可能です。
NCデータ
NCは「Numerical Control」の略で、数値による制御 を指します。工作機械やマシニングセンターを制御し、特定の加工動作を指示するコードやデータの集合体が「NCデータ」です。 近年主流となっている「CNC」は、コンピュータによる 数値制御機能を備えたものを指します。
NCデータの内容には、座標位置や加工動作などの指示だけではなく、工具の種類、速度、回転方向など多岐にわたる制御コードが含まれています。以下が主な指示内容の例になります。
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NC装置(制御機)
NC装置 (Numerical Control) とは、工作機械を制御するための装置です。NC装置は、予めプログラムされた数値データ(主にGコード、Mコードなどの指示コード)に従って、機械の動きや動作を正確にコントロールします。
こちらでは代表的なNC装置とメーカーをご紹介します。
FANUC(ファナック)
FANUC i Series CNC は、ファナック株式会社よりリリースされているCNC制御機です。 シンプルな工作機械から複雑な構成の複合加工機並びに産業機械までを幅広くカバーするCNCラインアップとなっています。
OSP
OSPは、オークマ株式会社よりリリースされているCNC制御機です。 加工現場の使いやすさを最優先にした現場主義の知能化CNCで、クリエイティブな操作感覚で加工プロセスの効率を一気にアップさせます。
参照:https://www.okuma.co.jp/smart-factory/osp-suite/index.html
MAZATROL(マザトロール)
MAZATROL(マザトロール) は、ヤマザキマザック株式会社よりリリースされているCNC制御機です。過去に作成したプログラムから、AIが加工プロセスと加工条件を自動で推測し、最適なプログラムとして出力します。
参考:https://www.mazak.jp/machines/process/cnc-software/cnc/#sorid-mazatrol
メルダス
三菱電機メカトロニクステクノロジーズ株式会社 よりリリースされている、CNC制御機です。 生産現場において「 工作機械の性能を引き出し、より早く・より滑らかに削る」ための数値制御技術を有するコンポーネントであり、 世界中の工作機械に組み込まれています。
参考:https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/products/cnt/cnc/index.html
CAD/CAM導入フロー
図面作成から加工、製品完成までの流れは以下の通りです。
NCデータの転送方法
CAD/CAM でNCデータ作成が完了したら、工作機械へNCデータを転送して加工を開始します。 データの転送方法としては、下記の方法が挙げられます。
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CAD/CAM加工軸
製造する部品の形状、精度、加工時間などにより、最適な加工方法が異なります。CAD/CAMソフトウェアは、これらの複数の軸をサポートし、効率的かつ精度高く部品を製造するためのツールパスを生成できます。CAMソフトごとに得意な分野が異なるので、自社のニーズに合わせて最適なものを選択しましょう。
主要な部品加工の方法とその特徴についてまとめてみました。
2軸加工(2D加工)
X軸とY軸の2方向の動きによって、平面的な加工を行います。主に平面のポケット加工や輪郭加工、穴あけなどを行います。
例:CAMCORE EX、Fusion360、VISI、Mastercam、hyperMILL
2.5軸加工
2軸加工の拡張で、Z軸方向の移動を追加して部分的な立体加工を行います。 平面輪郭に高さの情報を追加する方法で、立体的な形状を部分的に加工することができます。
3軸加工
X軸、Y軸、Z軸の3方向の同時移動が可能で、自由曲面を含む立体的な加工を行います。
例:Fusion360、VISI、Mastercam、hyperMILL
割出加工
回転軸を特定の角度に固定してから加工を行います。先に2軸(回転・傾斜)でワークの位置を決めてから、その後3軸(X/Y/Z)で加工するため、特定の角度や方向からの加工が容易になり、複雑な形状も加工できます。
例:Fusion360、VISI、Mastercam、hyperMILL
4〜5軸加工
3軸加工に、ワークや工具の回転を与え加工を行います。複雑な形状や斜めの面も効率が良く加工できるという強みがあります。
- 4軸:3軸のXYZ軸移動に、1つの回転軸を追加
- 5軸:3軸のXYZ軸移動に、2つの回転軸を追加
例:Fusion360、VISI、Mastercam、hyperMILL
5面加工
基本の5面方向(XY, XZ, YZ, ZX, ZY)で加工を行います。 アタッチメントの交換で、5方向以上の加工も可能です。
板金レーザー加工
高いエネルギーを持つレーザー光を使って、板金を切断や穴あけなどの加工を行います。レーザーの照射ポイントは非常に細いため、高精度なカットが可能です。また加工スピードも速く複雑な形状も容易にカットできるため、多様な板金製品の製造に用いられます。
金型加工
大量生産時の、原型となる「型」を製造する加工方法です。金型は、プラスチック射出成形やダイキャスト、プレス加工などの生産工程で使用されます。金型の設計・製造は非常に精密であり、製品の品質や生産効率に大きな影響を与えるため、高い技術と経験が求められます。
例:FFCAM(※FFCAMは牧野フライス製作所専用のCAMになります) CAMTOOL、VISI
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CAMを業務で活用したいけれど、どこから始めればいいのかわからないという方はセミナー受講がおすすめです。エービーケーエスエスでは、これらのCAD/CAMソフトウェアの講習を随時開催しておりますので、ぜひ検討ください。
CAMCORE EX、ZW3D、VISI、Mastercam、Fusion360、FFCAMなどの対応が可能です。
おわりに
本記事では、CAMの概要から各種CAD/CAMソフトウェア、NC工作機械、さまざまな加工軸の説明まで、幅広く触れてきました。CAD/CAM技術の選択や活用は、製造現場での大きなテーマの一つだと思いますが、これらの情報が皆様の参考や役立ちの一助となれば幸いです。
何かお困りごとがあれば、お気軽にABKSSにご相談ください。お客様の課題をていねいにヒアリングし、豊富な選択肢の中からベストな解決案をご提案させていただきます。
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