NCデータ・NC装置・NC工作機械とは?基礎からメリット・デメリットを解説

CAMは、CAD設計図面から工作機械へのプログラムを橋渡しする不可欠なツールです。

このプロセスの中核をなす NC工作機械、NCデータ、NC装置は、それぞれが密接に連携しています。設計から製造までをスムーズにつなげることで、効率的かつ高精度な製品開発が実現するのです。

本記事は、CADCAM入門の第二弾として製造工程に焦点をあてた内容になっております。CAMの加工フロー、NCデータ、NC装置(制御機)、NC工作機械(加工機)などを幅広く解説します。


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目次[非表示]

  1. CAMについて
  2. NCデータとは
    1. 指示内容について
  3. NC装置(制御機)とは
    1. メリット
    2. デメリット
  4. NC工作機械(加工機)とは
    1. メリット
    2. デメリット
  5. NC装置とメーカーの紹介
    1. FANUC(ファナック)
    2. OSP
    3. MAZATROL(マザトロール)
    4. メルダス
  6. NC工作機械(加工機)の種類
    1. ①NCフライス
    2. ②マシニングセンタ
    3. ③五面加工機(多面加工機・門形マシニングセンタ )
    4. ④NCルーター加工機
    5. ⑤旋盤
    6. ⑥ワイヤ放電加工機
    7. ⑦レーザー加工機
  7. NCデータの転送方法
  8. 加工フロー
    1. ①設計(CAD)
    2. ②製造準備(CAM)
    3. ③加工(NC工作機械とNC装置)
    4. ④仕上げと検査
    5. ⑤完成品
  9. 操作方法の習得はセミナーがおすすめ
  10. おわりに


CAMについて

cadcam

CAMは、Computer Aided Manufacturingの略で、製造作業のサポートや自動化を目的としたコンピュータ技術やソフトウェアを指します。

CAMはこの「NCプログラム」を作るために使用するソフトウェアで、 工作機械の加工動作は、CAMソフトウェアで生成される「NCデータ」に基づいて実行されます。


NCデータとは

NCは「Numerical Control」の略で、数値による制御 を指します。工作機械やマシニングセンターを制御し、特定の加工動作を指示するコードやデータの集合体が「NCデータ」です。

近年主流となっている「CNC」は、コンピュータによる 数値制御機能を備えたものを指します。


指示内容について

NCデータの内容には、座標位置や加工動作などの指示だけではなく、工具の種類、速度、回転方向など多岐にわたる制御コードが含まれています。以下が主な指示内容の例になります。

  • 座標指示:X、Y、Zなどの座標でツールの正確な移動位置を指示。
  • 加工命令:ドリルでの穴開けやフライスでの材料削りなどの具体的な動作指示。
  • ツール情報:使用する工具の種類、サイズ、回転速度、進行速度など。
  • その他の指示:冷却液の使用やスピンドルの回転方向、加工速度の調整などの加工条件や機械設定に関する情報。


NC装置(制御機)とは

NC装置とは、制御機とも呼ばれ工作機械を制御するための装置です。

予めプログラムされた数値データ(主にGコード、Mコードなどの指示コード)に従って、機械の動きや動作を正確にコントロールします。

NC装置は、精密な切削加工を必要とするほぼすべての部品製造で活用されています。具体的には、シャッターや遮光板などの電子部品、アクセサリーパーツやキッチンツールといったインテリア関連製品の加工にも利用されています。


メリット

  • 高精度な加工: 自動制御で精度が安定し、品質のばらつきを減らせます。
  • 効率的な量産: プログラムによる自動運転で加工時間を短縮し、生産性向上。
  • 安全性の向上: 自動作業で作業員の事故リスクを低減。


デメリット

  • 高額な初期投資: 導入には高額な設備やソフトウェア費用が必要。
  • プログラム作成の手間: 専門知識とプログラム作成が必要で、手間がかかる。


NC工作機械(加工機)とは

NC工作機械とは、数値制御機能が搭載された工作機械のことを指します。

NC装置は、テープなどの記録媒体に保存された加工情報(工具の経路、主軸の回転速度、加工条件など)を読み取り、それに基づいて駆動機構に指令を出します。指令を受けた駆動機構は、工具やテーブルの動きを制御しながら加工することが可能です。


メリット

  • 安定した品質:NC工作機械は数値制御で自動加工するため、常に安定した精度を保ちます。
  • 量産化やコスト削減:自動運転が可能で、加工時間を短縮し、生産性向上とコスト削減を実現可能です。
  • 高い安全性:自動で作業するため、作業員の事故リスクが低く、安全性が向上します。

デメリット

  • 高価な設備投資:NC工作機械の導入には高額な初期投資が必要です。
  • プログラム作成の必要性:加工にはNCプログラム作成が必要で、時間と手間がかかります。


NC装置とメーカーの紹介

こちらでは代表的なNC装置とメーカーをご紹介します。



FANUC(ファナック)

参照:https://www.fanuc.co.jp/

FANUC i Series CNC は、ファナック株式会社よりリリースされているCNC制御機です。 シンプルな工作機械から複雑な構成の複合加工機並びに産業機械までを幅広くカバーするCNCラインアップとなっています。

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OSP

参照:https://www.okuma.co.jp/smart-factory/osp-suite/index.html

OSPは、オークマ株式会社よりリリースされているCNC制御機です。 加工現場の使いやすさを最優先にした現場主義の知能化CNCで、クリエイティブな操作感覚で加工プロセスの効率を一気にアップさせます。

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MAZATROL(マザトロール)

参考:https://www.mazak.jp/machines/process/cnc-software/cnc/#sorid-mazatrol

MAZATROL(マザトロール) は、ヤマザキマザック株式会社よりリリースされているCNC制御機です。過去に作成したプログラムから、AIが加工プロセスと加工条件を自動で推測し、最適なプログラムとして出力します。

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メルダス

参考:https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/products/cnt/cnc/index.html

三菱電機メカトロニクステクノロジーズ株式会社 よりリリースされている、CNC制御機です。 生産現場において「 工作機械の性能を引き出し、より早く・より滑らかに削る」ための数値制御技術を有するコンポーネントであり、 世界中の工作機械に組み込まれています。

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NC工作機械(加工機)の種類

NC工作機械は、数値制御装置で動作します。事前にプログラムされた(NCデータ)指示に基づいて、金属や樹脂などの材料を加工します。こちらでは主要なNC工作機械(加工機)について紹介していきます。



①NCフライス

NCフライスは、自動工具交換 機能 のないマシニングセンタ(切削加工機)です。フライスやエンドミルとよばれるツールを回転させ、テーブルに固定した加工ワークを前後左右に動かしながら、金属を切削します。マシニングセンタよりコストが低く、主軸に剛性があるため重切削に向いています。

NCフライス


②マシニングセンタ

マシニングセンタ(machining center)は、回転工具を使用してフライス削りや中ぐり、穴あけ、ねじ立てといった切削加工を、1台で行える工作機械です。 自動工具交換機能(ATC)をもち、工具マガジンに多数の切削​工具を格納しておくことで、プログラムに沿って工具の自動交換が可能です。

③五面加工機(多面加工機・門形マシニングセンタ )

5面加工機とは、ワーク底面以外の5面(上面、前面、後面、右側面、左側面 )を加工できる工作機械です。 垂直方向・水平方向のほか、アタッチメントを付け替えることで斜め方向からの加工も可能です。​機械本体が非常に大型であることが多く、段取りに非常に手間のかかる大物ワークの加工に用いられます。

④NCルーター加工機

NCルーター加工機は、設定されたパスに沿ってカッターを動かすことで、材料から所定の形状やパターンを切り出す工作機械です。 主に木材、プラスチック、金属、石などの材料の加工に用いられます。


⑤旋盤

「旋盤」は、工作物を主軸に固定し、それを回転させながら「バイト」という刃物で切削加工を行う工作機械です。このような加工方法を「旋削」と言います。

旋盤の能力は、外丸削り、テーパ削り、面削り、ねじ切り、中ぐり、突切り、穴あけなど、円形の加工に特化しています。 特筆すべきは「タレット」という装置で、これには複数の刃物を取り付けることができ、さまざまな加工を自動で行うことができる点です。


⑥ワイヤ放電加工機

ワイヤ放電加工とは、ワイヤの放電熱によって材料を切断する加工方法です。 緻密な作業が可能で、導電体であればどんなに硬い材料でも加工が可能です。 二つの電極間に高圧のスパークを発生させ、ワイヤーを送り​ながら工作物を糸鋸で切るように工作物を侵食切断します。


⑦レーザー加工機

レーザー加工機、別名レーザーカッターは、デジタルデータを元に加工素材にレーザー光を当てることで、蒸発や燃焼、溶解を起こし加工する機械です。主に「切断」「マーキング」「彫刻」といった作業が可能です。




NCデータの転送方法

CAD/CAM でNCデータ作成が完了したら、工作機械へNCデータを転送して加工を開始します。​ データの転送方法としては、下記の方法が挙げられます。​


  1. PCと工作機をLANで接続し、FTP経由で工作機のデータサーバに直接データを転送する​
  2. DNCシステムを使用してRS232C経由で転送する​
  3. 小型データ入出力サーバー(通称:弁当箱)を使用する​
  4. USBメモリやPCカード、フロッピーなどのデバイスを介して転送する​


加工フロー

CADCAMの加工フローは、設計から製造までの一連のステップを経て、製品や部品を効率的かつ精密に作成するプロセスです。以下に、NC工作機械(加工機)、NCデータ、NC装置(制御機)に関する情報も含めたCADCAM加工の流れを説明します。

CAM業務フロー

①設計(CAD)

  • コンセプトの作成:製品や部品のアイデアを考え、基本的な形状や機能を決定します。
  • 3Dモデリング:CADソフトウェアを使用して、製品の3Dモデルを作成します。この段階で、寸法、形状、耐久性などの詳細が決定されます。
  • 設計の検証:設計したモデルを検証して、製造上の問題や機能上の欠陥がないことを確認します。必要に応じて、設計を修正します。


②製造準備(CAM)

  • ツールパスの生成:CAMソフトウェアを使用して、CADモデルからNC工作機械が製品を加工するためのツールパス(工具の動きの軌跡)を生成します。
  • NCデータの作成:ツールパス情報を基に、NC工作機械を制御するためのNCデータ(Gコードなど)を作成します。


③加工(NC工作機械とNC装置)

  • NC工作機械の設定:加工に使用するNC工作機械を準備し、必要な工具をセットアップします。
  • NCデータの読み込み:作成したNCデータをNC装置(制御機)に読み込ませます。NC装置は、NCデータに基づいて工作機械の動きを制御します。
  • 加工の実行:NC装置の制御により、NC工作機械がツールパスに従って製品を加工します。この過程で、切削、穴あけ、形状加工などが行われます。


④仕上げと検査

  • 仕上げ加工:必要に応じて、研磨や塗装などの仕上げ加工を行います。
  • 品質検査:加工された製品の寸法や品質を検査し、設計仕様に合致しているかを確認します。


⑤完成品

  • 組み立て:複数の部品がある場合、組み立てを行います。
  • 最終検査:完成した製品の最終検査を行い、品質を確認します。


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操作方法の習得はセミナーがおすすめ

CADCAMソフトウェアは多機能で複雑な場合が多く、操作方法や機能を習得するためには時間と練習が必要です。初心者は、ソフトウェアの基本的な使い方から始め、徐々に高度な機能に進む必要があります。

CAMを業務で活用したいけれど、どこから始めればいいのかわからないという方はセミナー受講がおすすめです。エービーケーエスエスでは、これらのCAD/CAMソフトウェアの講習を随時開催しておりますので、ぜひ検討ください。

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CADCAM


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おわりに

本記事は、CAMの加工フロー、NCデータ、NC装置(制御機)、NC工作機械(加工機)について解説してきました。

CADCAM加工は、設計から製造までの一連のプロセスがデジタル化されることで、効率的かつ迅速な製品開発が可能になるだけでなく、高い精度と一貫した品質保持を実現します。特に製造業で問題となることの多い「人材不足」「属人化」にも、大きく貢献することでしょう。




一方でCADCAMの導入には、設計、製造プロセス、材料の特性などに関する技術的な知識が求められます。CADCAMを効果的に活用していくためには、まず経験豊富な専門家に相談してみることをおすすめします。

ABKSSは、40年以上製造業の業務改善をサポートしてきた実績があります。お客様の課題をていねいにヒアリングし、豊富な選択肢の中からベストな解決案をご提案させていただきますので、どうぞ安心してご相談ください。


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