建築CADとは?図面の種類や主要ソフト6選、選び方までわかりやすく解説
建築業界で広く利用される「建築CAD」は、高層ビルや住宅などの建築物の設計に不可欠なツールです。従来の2D作図やドキュメント作成に加え、建築設計やインテリア設計をサポートする豊富な機能が備わっています。
近年では、3DモデルやVR技術を活用したプレゼンテーションや、建物の情報データを効率的に管理する「BIM」に対応したCADも増えており、業界に革新をもたらしています。
本記事では建築CADに焦点を当ててご紹介したいと思います。
このような方におすすめの記事です
- 建築CADソフトの使い方や特徴を知りたい方
- 最適な建築CADソフトを見つけたい方
- 建築CADソフトの導入を検討中の方
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建築CADとは?
建築CADは、建築物の設計や図面作成をデジタルで行うためのソフトウェアで、従来の手描き図面に代わり、効率的かつ精密な設計が可能です。建物の設計や構造計算、設備配置など、さまざまな業務をデジタルで処理でき、プロジェクトの進行がスムーズになります。
また、基本設計図や施工図、構造図などを簡単に作成でき、ドアや窓、壁などもテンプレートを使って簡単に描けます。CADを使うことで、ミスを最小限に抑え、設計精度を高めることが可能です。
建築図面の種類について
建築図面を大まかに分けると、意匠図、構造図、設備図の3種類です。
● 構造図:鉄筋、鉄骨、柱、梁など建物の骨組みや接合部分を詳細に示した図面です。
● 意匠図:建物のデザインを示した図面で、平面図、立面図、断面図などを含みます。
● 設備図:電気や給排水、空調、ガスなど、建物に関わる設備の配置を示す図面です。配線や配管の位置や数が記されています。
また、建物の設計では、各設計段階に応じて必要な図面を随時作成します。これらの図面作成には建築CADが用いられ、効率的に多くの図面を作成できる機能を備えたソフトが利用されています。
設計の初期段階から建物完成までに作成される代表的な図面には、基本設計図、確認申請図、施工図、竣工図などが挙げられます。これらの図面は、設計の進行に伴い必要に応じて作成されます。
● 基本設計図:発注者と設計内容を確認するために、初期段階で作成される図面。間取りや構造、設備の概要が含まれます。
● 確認申請図:建築基準法に準拠しているか確認するために役所に提出する図面。
● 施工図:実施設計図をもとに、施工現場で使用する実践的な詳細図。
● 竣工図:建物完成後に、実際の状態を反映した図面。
よく使用されている建築CADソフトウェア6選
Archicad
Archicad(アーキキャド)は、グラフィソフト社よりリリースされているソフトウェアです。
建物の設計から施工まで、3Dモデルを用いて一貫した管理ができ、図面の自動生成やリアルタイムでの変更反映が特徴です。使いやすさと高い視覚化能力により、設計プロセスを効率化し、プロジェクト全体の品質向上が期待できます。
Archicadの特長
- BIM対応により、正確で整合性の取れた設計が可能
- 3Dモデルや図面から様々な情報を抽出し、活用できる
- 意匠設計と構造設計のワークフローを効率化
- レイヤー機能を活用した操作性で、初心者でも習得しやすい
- モバイル端末を使用して、3Dモデルデータを取り扱うことが可能
Revit
Revit(レビット)は、意匠設計用の「Architecture」、構造設計用の「Structure」、設備設計用の「MEP」の機能を持った国内外で人気のソフトウェアです。
3Dビューやレンダリング機能を備え、データは全て連携されているため修正・変更もリアルタイムに反映可能です。レンダリングソフトやツールとの連携でパース動画作成、干渉チェックなど幅広い作業にも対応します。
Revitの特長
- BIM/CIMモデルの効率的な作成が可能。
- 単一モデルから2D図面を自動生成できる。
- 3D配筋モデル作成に対応し、配筋設計を視覚化。
- 効率的な数量算出・積算をサポート。
- 他のソフトとの連携で、モデル統合や地形作成も可能。
Vectorworks
Vectorworksは、建築・インテリア業界で採用されている、直感的で分かりやすいインターフェイスと、作図しやすい環境が特長のソフトウェアです。
基本パレットには作図ツール、ツールセットには作図補助やモデリングツールが格納され、デザイナーは素早くツール群にアクセスし、デザインワークに移ることができます。
Vectorworksの特長
- スペース機能を活用して、BIMへの対応が可能
- ビューボード機能により、展開図を一括で生成できる
- データタグ付けによる作業効率の向上
- 3Dモデルを2D図面に変換でき、カスタマイズ設定にも対応
GLOOBE
GLOOBEは、日本の設計手法や建築基準法に対応した、日本発のソフトウェアです。
豊富な日本仕様の建材データや自由度の高いデザイン機能、基本設計を元にした実施設計、建築基準法に沿った法規チェック等、日本の設計に最適化された機能が特長です。
GLOOBE の特長
- BIM対応により、設計から施工までの一貫した管理が可能。
- 日本の建築基準法に対応し、法規チェック機能を備えている。
- 3Dモデルと2D図面を連携させ、効率的な作業を実現。
- クラウド機能を活用し、チーム間でデータをリアルタイム共有可能。
- Jw_cadとの互換性があり、データのスムーズな連携が可能。
Jw_cad
Jw_cadは、日本国内で広く利用されている無料の2D CADソフトウェアです。
建築設計や機械設計など、幅広い分野で活用されています。使い勝手が良く、操作がシンプルであることから、初心者でも扱いやすく、個人利用から業務用途まで対応しています。豊富なユーザーコミュニティも存在し、関連するマニュアルやサポート情報が充実しています。
Jw_cadの特長
- 無料で利用でき、建築設計に特化した2D作図機能が充実。
- 建具や設備コマンドで、簡単かつ効率的な作図が可能。
- 2.5D機能で、透明図やアイソメ図の作成に対応。
- 柱・梁の包絡処理や日影図作成機能を搭載。
- クロックメニューで手書き感覚の直感的な操作が可能。
SketchUP
SketchUpは、3Dモデリングに特化したソフトウェアで、主に建築やインテリアデザインで使用されています。直感的な操作で、初心者でも3D設計が容易に行えるのが魅力です。
無料版とプロフェッショナル向けの有料版があります。BIMやレンダリングとの連携も可能で、設計の幅が広がるツールです。
SketchUPの特長
- 直感的な操作で簡単に3Dモデルを作成できる
- CGやVR技術を使って、VRモデルの表示が可能
- プロジェクトを独自の仕様に合わせてカスタマイズできる
- クラウド上でデータの保存や共有が可能
- 豊富な拡張機能で、作業の幅を広げられる
建築CADの選び方
建築CADを選ぶとき、プロジェクトの成功には適切なツール選定が欠かせません。以下のポイントを押さえて、最適なCADソフトを見つけましょう。
プロジェクトの規模や用途に合った機能
まず、2D図面作成が主な目的なのか、それとも3Dモデルの作成が必要なのかを確認しましょう。2Dは基本設計や施工図に最適で、3Dはプレゼンや詳細設計に役立ちます。
コストと操作性
高機能なCADソフトはコストがかさむことがありますが、予算に合ったソフトを選ぶことが大切です。また、使いやすいインターフェースかどうかもチェックして、初心者でも扱いやすいか確認しましょう。
サポート体制
使用中に問題が発生した際、サポートが迅速に対応してくれるかは重要です。サポートの充実度が業務のスムーズな進行に影響を与えるので、信頼できる体制があるか確認しましょう。
業界標準かどうか
業界標準のCADソフトは、他のチームメンバーとデータをスムーズに共有でき、プロジェクト全体の効率を向上させます。普及しているソフトを選ぶことも選定基準の一つです。
無料と有料ソフトウェアの比較
無料の建築CADソフトウェアは、コストを抑えたい場合に適していますが、機能に制限があることが多いです。基本的な2D図面やシンプルな3Dモデルを作成するには十分な場合もありますが、複雑な設計やプロジェクト管理機能が不足していることがあります。
一方、有料ソフトウェアは、豊富な機能とサポートが提供され、長期的なプロジェクトや業務での信頼性が高いです。
業界で多く利用されているものをチェックしてみよう
CADソフトの導入に迷っている場合、建築業界で多く利用されているものを選ぶのも一つの手です。用途や価格に応じた多様なCADソフトがありますが、特に人気があるのはArchicadとRevitです。 業界で普及しているこれらのソフトは、実務で使われる可能性が高いため、安心して導入できるでしょう。
最近では、クラウドベースのCADも増え、リモート作業やチームとの共同作業が簡単に行える点も注目されています。
建築CADならABKSSにご相談ください
建築CADの導入やサポートなら、ABKSSにお任せください。当社では、AutoCAD、Revit、Archicadなど、業界で広く利用されているソフトウェアの販売から導入支援までをサポートしています。
専門のスタッフが、最適なソリューションをご提案し、トレーニングや運用サポートも提供しておりますので、お気軽にご相談ください。
おわりに
本記事では、建築CADの基本情報から図面の種類、主要ソフトと選び方について解説しました。建築業界で広く利用される「建築CAD」は、高層ビルや住宅などの建築物の設計に不可欠なツールです。従来の2D作図やドキュメント作成に加え、建築設計やインテリア設計をサポートする豊富な機能が備わっています。
あなたのプロジェクトにはどの建築CADが最適だと思いますか?迷った場合はABKSSにご相談ください。製品の選定から導入、運用、教育まで幅広くサポートいたします。
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