BIM Archicad(アーキキャド)とは|無料版はある?購入価格や導入メリット
GRAPHISOFT社のArchicad(アーキキャド)は、国内外で多くのシェアを占めている人気のBIMソフトウェアです。今回は、Archicadで出来ること、どんな分野で活用されているのかについて解説していきます。
このような方におすすめの記事です
- Archicadの導入を検討している方
- BIMソフトの導入を検討している方
目次[非表示]
Archicadとは
Archicadは国内でもっとも人気のあるBIMソフトのひとつで、読み方は「アーキキャド」です。
開発元は、GRAPHISOFT(グラフィソフト)社という、1982年に設立されたハンガリーの企業です。1987年のArchicadの販売開始から、建設業界においてトップクラスの地位を確立し、現在では世界108カ国27言語に対応しています。
Archicadは建物の企画・設計・施工・維持管理のライフサイクルにおいて、大きな革命をもたらしました。従来主流であった図面(CAD)やパースソフト、表計算ソフトの管理可能な範囲を画期的に拡張し、建物を構成するモデルに情報を付加できるようにしたのです。これが通称「BIM」データです。
Archicadは、30年間蓄積されたノウハウとさまざまな独自のソフトウェア技術により、機能が最適化されています。
体験版はある? 無料で使える?
現在、無料版はリリースされていませんが、体験版ライセンスを取得すれば、30日間Archicadの全機能を無料で試せます。
また、体験版で作成したファイルは、通常版購入すれば30日間の体験期間が過ぎても、同じパソコンで使用し続けられます。ご検討の方はこちらからお問い合わせください。
購入価格(2025年4月1日に価格改定)
多くのユーザーに支持されている「Archicad」ですが、既存ユーザーにとって最も気になるのが更新費用やサービス内容ではないでしょうか。
Graphisoftでは、既存ユーザー向けにいくつかの選択肢を用意しており、自社の運用方針に合った更新スタイルを選ぶことが可能です。たびたび支払い方法や価格が変更されますので、最新情報は公式サイトをチェックすることをおすすめします。
Archicad Collaborate
BIMソフトウェア「Archicad」、クラウド型コラボレーションサービス「BIMcloud SaaS」、ビューアーアプリ「BIMx Pro」を組み合わせたフルパッケージ。
主な特徴
- クラウドベースのリアルタイム共同作業が可能
- MEP(設備)設計機能を含む
- フローティングライセンス対応
- Graphisoft Forward(サポート・学習プログラム)込み
ITセキュリティのための多要素認証
Archicad AI Visualize
価格
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※価格は2025年4月23日の情報になります。最新情報は公式ページをご参照ください。
Archicad Studio
「Archicad」の主要機能に加え、ローカルサーバーでの共同作業を可能にする「BIMcloud Basic」と「BIMx Pro」を含むパッケージ。
Archicadの主な機能をお手頃な価格でご利用いただける、小規模設計事務所、個人設計者様向けのサブスクリプションサービスプランです。
主な特徴
- ローカルネットワークを利用したチームワーク機能(クラウドコラボレーション非対応)
- MEP Designer(2025年10月まで含む)
- Graphisoft Forward(サポート・学習プログラム)込み
Archicad AI Visualizer
価格
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Archicad Solo
Archicad Soloは、個人で設計作業を行う方向けのプランで、建築設計に必要な基本機能とレンダリング機能を備えています。
ただし、チームでの共同作業やホットリンク機能は非対応です。新規および追加の販売は2025年6月30日で終了し、既存ユーザーの更新は2025年末まで、サービス提供は2026年末で終了となります。
主な特徴
- チームワーク機能なし(単独作業向け)
- Graphisoft Forward(サポート・学習プログラム)込み
- Archicad AI Visualizer
価格
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Archicad(永久ライセンス)
Archicad 及びArchicad Solo の永久ライセンスは2025年末までに段階的に販売を終了し、以降はサブスクリプションのみの販売となります。
Archicad 28 (Win/Mac) |
本体価格 1,323,000 円(税込 1,455,300 円)
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Archicad 28 Solo (Win/Mac) |
本体価格 794,000 円(税込 873,400 円) |
*グラフィソフトHP参照 2025/4/23 時点(https://graphisoft.com/jp/buy-archicad/price)
*価格は変更される可能性があります。最新情報は別途お問い合わせ下さい。
Archicadで出来ること
建築プロジェクトの円滑化
Archicadで作成したBIMデータを用いることで、2次元CADで表現していた線・面の集合体と比べて、情報管理の効率が大きく飛躍します。
建設プロジェクトに関わる全ての関係者たちが、情報を追加したり、参照したり出来るようになるので、コミュニケーションもスムーズになります。
さらに、意匠から施工での建設プロセスにおいて、情報の受け渡し時や、建物所有者・管理者間のプロジェクト処理時に、建物情報の共有が洩れてしまうというトラブルも、未然に防止できます。
優れたビジュアリゼーション機能
レンダリングやウォークスルーなどの機能を使って、図面情報を可視情報化することができます。
また、模写した手書き風のレンダリングを生成することで、3Dモデルを画像として非常にリアルな表現を作り出せます。
材質カタログから材質を追加すれば、クライアントの要望に近い仕上がりを再現することもできます。
さらに、Archicadに組み込まれたMAXON社のCineRenderレンダリングエンジンを使うと、より高品質なレンダリングを作成可能です。
多くの解析ツール
Archicadに組み込まれる解析ツールを使用することで、設計の初期段階で「干渉チェック」や「不整合排除」を実行し、問題を解決できます。
この結果、生産性を大幅に向上させられます。また、他ツールと連携することで、ルール順守や設計品質の改善にも繋がります。
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自由な設計デザイン機能
形状にとらわれず、どのような形状も自由に設計できます。
なかでもArchicadの特徴的なポイントは、複雑な要素でも容易にモデリングできるという点です。
また、壁、梁、スラブなど実際の建物要素を表すツールも豊富に用意されているので、創造的かつ生産的に楽しく設計できます。
Archicadで出来ることまとめ
- 情報管理がしやすくなり、共有漏れ等が圧倒的に減る
- ビジュアリゼーション機能があれば、関係者間で認識がそろう
- 魅力的で説得力のあるプレゼンテーションができる
- 多くの解析ツールが利用でき、初期段階で問題を解消できる
- 形状にとらわれず、自由にモデリングができる
最新バージョンの新機能紹介(Archicad28)
最新バージョン「Archicad 28」には、設計業務を効率化する多数の新機能が搭載されています。
設計機能の強化と効率化
Archicad 28では、図面の整合性を高める「キーノート」機能が新登場しました。
仕様書との連携がスムーズになり、表記の統一が簡単に行えます。また、屋根開口の作成が直感的になり、煙突やシャフトの配置をスピーディに実施可能です。
さらに、距離ガイドが強化され、ドアや窓の正確な配置が容易になっています。
デザインオプションの管理機能も進化し、複数案の比較や編集が効率化しました。パレット操作で簡単に切り替えが可能になり、ワークフロー全体がスムーズになります。
表現力と連携機能の進化
ビジュアライゼーションでは、物理ベースレンダリングが進化しています。
自然な影やbloom効果、露出制御などで高品質な描画が可能になり、テキストラベルもカスタマイズ性が増し、図面の見た目を自由に調整できます。
Grasshopperとの連携も強化され、柱や梁の表現がより柔軟になっています。
ホットリンクモジュールの対応により、複雑な構成もスムーズに再現できるようになりました。AIビジュアライザーを使えば、クラウドで手軽に高品質な代替案やスケッチが生成可能です。
サステナブル設計と操作性の向上
ライフサイクル評価機能では、One Click LCAがMacOSにも対応し、環境影響の可視化がさらに身近になりました。
点群処理機能も「BIMmTool」の改良で高速・高精度化を実現しています。
操作面では、新しいホーム画面やインタラクティブチュートリアルで初心者にも優しく、アップデートも自動確認&簡単インストールが可能です。
他のBIMソフトとの比較
BIMソフトにはさまざまな種類があり、中でも「Archicad」と「Revit」は代表的な存在です。
Archicadは直感的な操作性とMac対応などが特長で、設計初期段階での柔軟な作業に向いています。
一方で、RevitはAutodesk製品との高い互換性を活かしたワークフローに強みがあり、構造・設備など多分野の統合に優れています。
それぞれのソフトには得意分野があるため、目的や作業環境に応じて選択することが重要です。
特徴 |
Archicad |
Revit |
開発元 |
グラフィソフト(Graphisoft) |
オートデスク(Autodesk) |
対象ユーザー層 |
建築設計に特化したプロフェッショナル |
建築・構造・設備の統合設計を行うマルチ分野のユーザー |
操作性 |
インターフェースが直感的で、2D作図感覚に近い |
機能が多く習得に時間がかかるが、設計プロセスを体系的に管理可 |
ビジュアライゼーション |
高品質なレンダリングが可能 |
外部ツールとの統合が必要 |
ファイル連携 | IFCに準拠したOPEN BIMに強み |
Autodesk製品との連携が中心 |
対応OS |
Windows、Mac |
Windows |
価格体系 |
永続ライセンス・サブスクリプション両方対応 |
サブスクリプション型(年額・月額)が主流 |
Archicad はこのような方々におすすめ
建築設計者
数あるBIMソフトウェアの中で、Archicadはプロフェッショナル向けに位置づけられ、建築設計者に必要な機能はすべて備えられています。
デザイン案の作成や比較、図面作成の自動化、チームワーク、プレゼンなど、建築家にとって非常に使い勝手の良いソリューションです。
特に、形状にとらわれず自由に設計できるArchicadは、デザインを重視する意匠設計者にとって最適なツールです。
エンジニア
エンジニアと建築家が、統合データを使い共に作業できるので、それぞれが離れて作業することも可能です。
リアルタイムのコラボレーションを行い、プロジェクト進行を「一本化」すれば、時間やコストを大きく削減することができます。
また、シームレスに連携するパートナーによるアドオン・ソリューションも豊富にありますので、作業で使用するソフトウェアを自由に選択できます。
建設会社・施工関係者
プロジェクトの最新情報へのアクセス、問題点の検出と解決、建設費の管理、スケジュール遵守のサポートなど、あらゆる建設会社や施工関係者のために役立つツールを連携することができます。
オーナー、クライアント
タブレットやモバイルデバイスがあれば、他のソフトウェアを追加しなくても、プロジェクトに参加し、情報を共有できます。
さらに、BIMxを使うと、BIMモデル内をゲームのように移動し、建築空間をリアルに体感できるので、専門的な知識がなくても設計段階で完成イメージを共有できます。
地方自治体
OPEN BIMを利用することで、関係者を結び付け、プロジェクトを円滑に進めることができるようになります。
地方自治体、政府、規制機関にとって重要なポイントとなる、ワークフローの透明性、継続性、そして建設資産に関するデータへのアクセスが可能です。
プロジェクトに関わる人すべてに使ってほしい!
Archicadを使うべき人の特徴
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実際の導入事例やユーザーの声
導入事例:株式会社基設計
株式会社基設計様は、施工図作成やBIMモデル構築を専門とし、BIMスクールの運営も行う企業です。
従来の2D図面では、平面と断面の不整合や設備干渉のリスクが課題となっていました。これらの問題を解決するため、ArchicadとBIMCloudを導入されました。
Archicadの採用により、躯体と仕上げの一貫した検討が可能となり、レイヤー概念の継承もスムーズでした。また、BIMCloudの活用により、プロジェクトメンバー間でのリアルタイムな情報共有が実現し、図面の整合性保持やバージョン管理の効率化が図られました。
代表取締役の松葉様は、「建築物を立体的に理解する能力が向上し、設計の質が高まった」と評価されています。
さらに、BIMCloudの導入により、情報共有の効率化とエラーの最小化が実現し、取引先との連携も強化されました。
このように、ArchicadとBIMCloudの導入は、設計業務の効率化と品質向上に大きく寄与しています。
Archicadを実際に操作するなら無料セミナーに参加しよう
導入前に一度Archicadを操作してみたいという方はこちらのセミナーがおすすめです。以下のリンクから、受講日の確認・申し込みができます。
ここがポイント!
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株式会社エービーケーエスエスは、グラフィソフト社 「SALES EXCELLENCE AWARD」受賞企業です。
おわりに
この記事では「Archicadで出来ること」「Archicadを使うべき人の特徴」について説明してまいりました。
Archicadは設計士はもちろんのこと、プロジェクトに参加するすべての方にとってメリットが多くある、ということがご理解いただけたと思います。本記事が皆様の参考となりましたら幸いです。
そのほか何かお困りごとがあれば、お気軽にABKSSにご相談ください。お客様の課題をていねいにヒアリングし、豊富な選択肢の中からベストな解決案をご提案させていただきます。