なぜFusion CAMは“第2のCAM”に選ばれているのか|他社CAMと併用する加工現場の合理的理由

製造業の現場では、「CAMは1つあれば十分」と思われがちです。しかし近年、既存のCAMに追加するかたちで、Fusion CAMを“第2のCAM”として導入する企業が増えています。
なぜ「乗り換え」ではなく「併用」なのか? そこには、現場が直面する課題と、Fusion CAMの特性が非常に合理的に噛み合っている理由があります。
本記事では、実際の国内現場で見られる導入理由を、以下の5つの視点で整理します。
このような方におすすめの記事です
- CAM運用の負荷に悩む方
- 加工準備の時間を短縮したい方
- 属人化に不安を抱える方
- ポスト編集で困っている方
- 社内展開しやすいCAMを探す方
目次[非表示]
1.既存CAMは「守る仕事」、Fusion CAMは「増やす仕事」
長年使われてきた既存CAMには、熟練者の経験を反映した加工パラメータ、独自のポスト、社内ルールが蓄積されており、品質と再現性を守るうえで非常に強い資産だといえます。
しかしその一方で、操作に慣れるまで時間がかかったり、ライセンスや保守の負担が大きかったりと、新しい担当者が気軽に使い始めにくい面もあります。
そこで活躍するのがFusion CAMです。Fusion CAMは、既存CAMを置き換えるものではなく、現場の対応力を広げるためのCAMという位置づけになります。新規形状や単発品、試作といった「急ぎ」「変更が多い」仕事を、素早く立ち上げることで、対応できる仕事の幅を広げるのです。
つまり現場では、既存CAMは「守る仕事」とFusion CAMは「増やす仕事」を分担させることで、安定生産と生産性向上の両立につながります。
領域 | 既存CAM | Fusion CAM |
主な役割 | 定番部品・リピート品の安定生産 | 新規形状 / 単発品 / 試作の素早い加工準備 |
操作感 | 熟練者向け | GUIが直感的 |
コスト | 高額 | 比較的低コスト |
2.多品種・短納期時代の「速さ」にも対応

近年では、中小製造業を中心に「少量多品種」「短納期対応」が常態化しています。
顧客ニーズの細分化や設計変更の頻発、原材料高騰で在庫を持ちにくい状況が重なり、受注は小ロット・多案件化しているのです。
その結果、加工そのものよりも段取り替えの回数が増え、「いかに早く準備できるか」が、利益を左右する重要なポイントになっています。中でも多くの時間を要しているのが、加工検討です。
「速さ」で選ぶならFusion CAM
こうした環境下で力を発揮するのが Fusion CAM です。
Fusion CAM は、CADとCAMが一体となった設計思想を持っており、モデルから直接加工準備に入れること、形状変更時のツールパス再計算がスムーズであることが特長です。
特に、「モデリング修正 → すぐにCAM生成・再検討」という流れが自然につながるため、加工前の判断や試行錯誤にかかる時間を大きく削減できます。
そのため、
- 加工条件や制御要素を調整しながら最適化が必要な加工
- 難削材(高硬度材・高靭性材など)を対象とした加工
など加工検討が必要な場面ほど、Fusion CAM の強みが活きてきます。
3.テンプレート化による属人化の抑制

多くの現場で共通する課題のひとつが、「CAM担当者が辞めると、加工ノウハウが残らない」という問題です。
加工条件の決め方、工具選定の基準、工程順序の組み立て方、干渉を避けるための工夫や、機械ごとの癖への対応などは、担当者の頭の中や個人メモに留まってしまうケースが少なくありません。
その結果、
同じ部品でも品質や加工時間が安定しない
段取りやトラブル対応に余計な時間がかかる
引き継ぎが難しく、新人が遠回りをする
といった状況が生まれます。
「できる人がいないと回らない」状態は、現場にとって大きなリスクです。
Fusion CAMの「加工テンプレート」
Fusion CAM には、ツールパスや送り条件を「加工テンプレート」として保存・再利用できる仕組みがあります。工具ライブラリも共有管理できるため、加工条件を個人ではなく現場全体で持つことが可能です。
さらに、NC出力前に加工動作を分かりやすい3Dで確認できるため、「なぜこの条件なのか」という判断の根拠を残しやすい点も特長です。
その結果、新人は「過去の加工事例をそのまま使い、理解しながら調整する」という形で学べるようになり、教育にかかる時間と負担が減ります。
つまり Fusion CAM は、属人化しがちな経験を、会社の資産として蓄積できるCAMだと言ええうでしょう。
4.ポストプロセッサ編集の自由度

CAMでNCデータを出力したあとで現場で細かな修正が必要になることは珍しくありません。
機械仕様や現場ルールに合わせた調整が続くと「担当者の作業負荷が増える」「手修正が増え、ミスの原因になる」といった問題につながります。
Fusion CAMのオープンなポストが現場を支える
Fusion CAMのポストプロセッサは、オープンなフォーマットで無償編集が可能であり、豊富な既存ポストを標準装備しています。加工現場側でカスタマイズの自由度が高い点は、他社CAMにない強みです。
つまり、「現場が運用に合わせてCAMを育てられる」ということです。これが「導入後に現場が自走できる」CAM運用につながります。なお、現場の制御機に合わせたポストプロセッサの作成はABKSSで対応可能です。
5.クラウド運用が社内展開を加速する

Fusion CAM はクラウドベースのため、担当者が変わってもデータが確実に残り、どのPCからでもログインして最新の設計・加工データを共有できます。外注先や協力会社とも安全にデータ共有できるため、ファイル管理や受け渡しの負担を大きく減らせます。
また、1ライセンスでCAD・CAM・図面・シミュレーションを一体で扱えるため、部門間で情報が分断されにくく、手戻りの削減にもつながります。
その結果、
社内展開がしやすい
教育が進めやすい
運用が属人化しにくい
といった効果が生まれ、クラウド中心の運用そのものが、導入を後押しする要因になります。
Fusionの導入ならABKSSにご相談ください
ABKSSでは、Fusionのライセンス販売だけでなく、導入設計・運用サポート・社内教育まで、一気通貫で支援できる体制を整えています。また、Fusion CAMの実践スキルを身につけたい企業向けに、少人数制で学べる「Fusion CAM機能集合講習」を本社セミナールームで定期開催しています。加工設定、ツールパス作成、NCデータ生成まで実務に沿って習得でき、若手育成やDX推進にも最適です。
おわりに
Fusion CAMを併用することで、現場では次のような効果が得られます。
加工準備の短縮:多品種・短納期に対応しやすい
ノウハウのテンプレート化:属人化を抑え、教育コストを削減
ポスト編集の自由度:現場の加工ルールに合わせられる
クラウド運用:社内展開がスムーズで管理が容易
既存CAMを活かしつつ、Fusion CAMを必要な場面で組み合わせることで、現場の対応力は高まります。既存CAMは定番部品の安定生産で品質と再現性を支え、Fusion CAMは新規形状や試作、設計変更など“変化のある仕事”に素早く対応しやすくします。
得意領域で使い分け、現場全体の生産性を底上げしていくと良いでしょう。








