SOLIDWORKSのAI「バーチャルコンパニオン」が設計者の相談相手になる時代へ

近年、生成AIの進化により業務の進め方が大きく変わりつつあります。製造業の設計部門も例外ではなく、いま注目を集めているのが3DEXPERIENCEプラットフォーム上で利用できるAIアシスタント「バーチャルコンパニオン(Virtual Companion/AURA)」です。
本記事では、バーチャルコンパニオンとは何か、どのような課題を解決できるのか、設計現場の視点からご紹介します。
こんな方におすすめの記事です
- 設計データの検索や情報収集に時間を取られている方
- ベテラン社員への質問集中・属人化を解消したい方
- 設計部門の技術継承の仕組みづくりにお悩みの方
- 設計DX・AI活用の第一歩を検討している方
- SOLIDWORKS最新のAI機能を把握したいCAD設計者
目次[非表示]
- ・設計現場の「探す・聞く」が業務を圧迫していませんか
- ・放置すると属人化・教育コスト増・設計資産の埋没が進む
- ・現場で求められるのは「誰でもすぐ使える」情報環境
- ・バーチャルコンパニオンは設計者の「相談相手」になるAI
- ・AURAはどの製品・バージョンで利用可能か
- ・ChatGPTとの違いは?セキュアでプライベートなLLM
- ・SOLIDWORKS 2026に搭載されたその他のAI機能
- ・バーチャルコンパニオン導入で設計現場はどう変わるか
- ・よくある質問(FAQ)
- ・Q1. バーチャルコンパニオン(AURA)はどの製品で使えますか?
- ・Q2. ChatGPTのように何でも答えてくれますか?
- ・Q3. 入力した設計データが外部に共有されることはありますか?
- ・Q4. AIの回答をそのまま信用してよいですか?
- ・Q5. SOLIDWORKSにはバーチャルコンパニオン以外のAI機能もありますか?
- ・SOLIDWORKSのAIならABKSSにご相談ください
設計現場の「探す・聞く」が業務を圧迫していませんか

設計業務では、CAD操作そのもの以外にも多くの時間が費やされています。現場でこんな悩みはないでしょうか。
- 過去の設計データが見つからない
- 誰が最新版を持っているかわからない
- 操作方法を調べるのに時間がかかる
- ベテラン社員への質問が集中する
- 変更履歴や進捗状況の確認が面倒
これらの作業は直接的に設計成果を生み出すわけではありませんが、日々の業務時間を大きく圧迫しているのが実情です。
放置すると属人化・教育コスト増・設計資産の埋没が進む

こうした課題を放置すると、設計部門では次のような問題が連鎖的に発生します。
情報収集に時間を奪われる
本来の設計業務ではなく「探す・調べる」作業に時間が消えていきます。
設計資産が活用されない
過去に作成した部品や図面が埋もれ、同じような設計を一から繰り返してしまいます。せっかくの社内資産が「使われないストック」になってしまうのです。
属人化が進む
「〇〇さんしかわからない」という状況が増え、担当者不在時には業務が停滞します。担当者の異動や退職で一気にノウハウが失われるリスクもあります。
教育コストが増加する
新人や中途入社者が分からないことを都度ベテランに質問するため、教育担当者の負担が肥大化します。
現場で求められるのは「誰でもすぐ使える」情報環境
これらの課題を根本から解決するためには、
- 設計データの一元管理
- ナレッジの共有
- 情報検索の効率化
- 技術継承の仕組み化
が欠かせません。ただし、データを整理しただけでは不十分です。必要な情報を「誰でも」「すぐに」活用できる環境づくりが求められています。ここに、AIアシスタントが活躍する余地があります。
バーチャルコンパニオンは設計者の「相談相手」になるAI
そこで登場するのが、3DEXPERIENCEの生成AIアシスタント「バーチャルコンパニオン」です。コードネームはAURA(Assisting yoU to Realize your Ambitions)。
チャット形式で質問すると、必要な情報を探し出し、回答や提案を行ってくれる、いわば設計者の「相談相手」となるAIです。
バーチャルコンパニオンAURAの活用例
例えば、次のような自然文での問いかけに応答します。
- 「モーター固定ブラケットを探して」 → 関連する設計データを検索
- 「板金展開の方法を教えて」 → 関連情報や手順を案内
- 「今月の設計変更内容をまとめて」 → 変更履歴の要約に対応
これまで「過去資料を探す」「マニュアルを読み返す」「先輩に確認する」といった作業に費やされていた時間を、AIに任せられるイメージです。

AURAが参照する情報源
AURAは大規模言語モデル(LLM)に加え、以下のような知識ベースを参照します。
- ユーザーアシスタンス(製品ヘルプ)
- ナレッジベース
- コミュニティスペース上の会話
チャットボット形式で技術的な質問にも自然言語で回答するため、操作方法の確認やFAQ対応も得意分野です。
AURAはどの製品・バージョンで利用可能か
バーチャルコンパニオンは、3DEXPERIENCEプラットフォーム(Cloud Services)に含まれる機能として提供されます。
SOLIDWORKS 2026 SP1時点ではβ版という位置づけです。
利用には3DEXPERIENCE Platformへの接続環境(Cloud Services)が必要となり、サブスクリプションサービス契約の見直しが必要になるケースがあります。詳細はこちらからご相談ください。
そもそも3DEXPERIENCEプラットフォームとは

3DEXPERIENCEプラットフォームとは、ダッソー・システムズが提供するクラウドベースの製品開発統合基盤です。
設計・シミュレーション・データ管理・コラボレーション・製造準備など、製品開発に必要なツール(ロール)を1つの環境に集約し、社内外の関係者がリアルタイムで連携できる「単一の情報基盤(SVOT)」を提供します。
デスクトップ版SOLIDWORKSと組み合わせて利用することで、設計データの一元管理、版管理、関係者とのセキュアな共有、ブラウザベースのレビューなどが可能になります。
バーチャルコンパニオン(AURA)をはじめとするAI機能の土台でもあり、SOLIDWORKSのAI活用を本格化させる際の前提環境となります。なお利用には、サブスクリプションサービス契約の見直しが必要となるケースがあります。
ChatGPTとの違いは?セキュアでプライベートなLLM

AI活用で多くの設計者が気にするのが「機密情報の取り扱い」です。バーチャルコンパニオン(AURA)は、汎用AIとは設計思想が明確に異なります。
AURA | 一般的な汎用AI | |
|---|---|---|
動作環境 | 3DEXPERIENCEテナント内(クローズド) | 公開クラウド |
知識ソース | 自社・ダッソー知識ベース中心 | インターネット全般 |
外部共有 | コンテンツの外部共有を許可しない | サービスにより異なる |
リアルタイム検索 | 行わない(現時点) | 行うものが多い |
AURAは安全なクラウド上の3DEXPERIENCEプラットフォームのテナント内で動作し、ユーザー環境内に閉じたセキュアでプライベートなLLMとして設計されています。設計データや知的財産を社外に出さずに活用できる点は、製造業の現場にとって大きな安心材料です。
SOLIDWORKS 2026に搭載されたその他のAI機能
SOLIDWORKS 2026では、バーチャルコンパニオン(AURA)以外にも、設計者の日常業務を直接支援するAI機能が複数搭載されています。
①締結部品の自動認識

ナット/ボルト/ワッシャー等を自動認識し、合致を自動で行います。合致参照などの補助情報が含まれないWebダウンロードモデルでも、AIが締結部品として判定します。
②コマンド予測(β版)

次に使用する可能性が高いコマンドをSOLIDWORKSが予測し、提案します。
コマンドを検索する時間を短縮できる機能で、機械学習モデルに基づいて動作します。SOLIDWORKS 2026 SP1時点ではβ版として提供されています。
③図面の自動生成(β版)

3面図や断面図を含むビューに加えて、寸法・幾何公差が挿入された図面を自動生成します。
組図では部品表やバルーン、寸法も自動生成され、図面作成の初期ステップを大幅に省力化できます。こちらもSP1時点ではβ版です。
バーチャルコンパニオン導入で設計現場はどう変わるか

導入によって期待できる変化は、現場目線で次のように整理できます。
- 「検索する」働き方から「AIに聞く」働き方へシフトできる
- ベテランへの質問集中が減り、属人化の解消につながる
- 過去の設計資産がナレッジとして再利用しやすくなる
- 新人教育の初期コストが下がる
- 設計者は本来の創造的業務に時間を振り向けやすくなる
よくある質問(FAQ)
Q1. バーチャルコンパニオン(AURA)はどの製品で使えますか?
A. 3DEXPERIENCEプラットフォーム(Cloud Services)に含まれる機能として提供されます。SOLIDWORKS 2026 SP1時点ではβ版です。ご利用にはサブスクリプションサービス契約の見直しが必要な場合があります。
Q2. ChatGPTのように何でも答えてくれますか?
A. いいえ。AURAはオープンで汎用的なAIではなく、3DEXPERIENCEテナント内のナレッジを中心に動作するセキュアでプライベートなLLMです。インターネットのリアルタイム検索や外部共有は行いません。
Q3. 入力した設計データが外部に共有されることはありますか?
A. AURAは「あらゆるコンテンツの外部共有を許可しない」設計です。ユーザー環境内のテナントに閉じて動作するため、設計データや知的財産を保護しながら活用できます。
Q4. AIの回答をそのまま信用してよいですか?
A. 最終決定権を握るのは設計者です。AURAも不正確な情報が表示される場合があるとされており、回答内容は必ず確認したうえで活用してください。AIは設計者を「置き換える」のではなく「支援する」ツールという位置づけです。
Q5. SOLIDWORKSにはバーチャルコンパニオン以外のAI機能もありますか?
A. はい。SOLIDWORKS 2026では、締結部品の自動認識、コマンド予測(β版)、図面の自動生成(β版)が組み込まれています。さらにFD01以降では「SOLIDWORKS Insight」としてエラー解決指南やアセンブリ構成の自動生成も順次提供される予定です。
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