kintone(キントーン)の弱点とは?導入前に把握しておきたいリスクと対策
kintone(キントーン)は、ノーコード(プログラミング不要)でアプリを作成でき、業務効率化や情報共有に役立つクラウド型業務管理プラットフォームとして多くの企業で導入されています。しかしその一方で、運用面での弱点や注意点も理解しておくことが重要です。
本記事では、kintoneの基本概要や代表的なメリットに加え、導入前に把握しておくべきリスクや対策を紹介します。さらに、企業規模や目的によって異なる「向き・不向き」の判断基準についても解説します。
このような方におすすめの記事です
- 導入に際してのリスクや弱点、対策方法を知りたい方
- 業務効率化やDXを進めたいが、運用上の課題も知りたい方
目次[非表示]
- ・kintoneとは?サービスの基本概要
- ・kintoneが向いている企業・向いていない企業
- ・kintoneでよく語られるメリットの全体像
- ・kintoneの弱点と注意すべきデメリット
- ・アプリが乱立して管理が複雑化するリスク
- ・大規模データ保管には向かない容量制限
- ・複雑なロジックには専門知識が求められる
- ・プラグインや拡張機能でコストが増加する可能性
- ・kintoneの限界をシステムの限界と誤解しがち
- ・不適切な設計がデータ構造を破綻させるリスク
- ・企業の情報システム全体で見たときの弱点
- ・kintone導入を成功させるためのポイント
- ・kintone導入はABKSSにご相談ください
- ・おわりに
kintoneとは?サービスの基本概要
まずはkintoneの基本的なサービス概要を把握し、どのような特徴があるかを理解しましょう。
kintoneはサイボウズ株式会社が提供するクラウド型の業務管理プラットフォームです。ノーコードでアプリを作成できるため、現場の担当者でもドラッグ&ドロップ操作で自社専用の業務アプリを作成できます。データを一元管理する機能やコミュニケーション支援機能が備わっており、情報共有の効率化や属人化の防止に効果的です。日常業務や社内プロセスを可視化しながら、素早く改善サイクルを回すことができる点が大きな特徴です。
従来のExcel管理から脱却し、業務プロセスを明確にすることで、管理コストの削減や意思決定スピードの向上を狙えます。また、インターネット環境さえあれば社外からもアクセスが可能で、リモートワークや出先での業務をスムーズに行える点も強みです。ただし、開発者なしでどこまで利用できるかは必要な機能要件によって異なり、複雑なシステム連携となると導入ハードルが上がる一面もあります。
kintoneが向いている企業・向いていない企業
kintoneは多機能で汎用的に使える一方、すべての企業に最適というわけではありません。
導入による効果を得やすい企業の特徴と、注意が必要なケースを整理してみましょう。
向いている企業
チーム全体のコミュニケーションや情報共有に課題がある企業は、kintoneでの業務改善の効果が出やすいです。kintoneのアプリ連携により、部署やチームのやり取りをひとつのプラットフォームに集約できます。結果として情報共有がスムーズになり、社内の意思決定スピードが上がるといった効果が見込めます。特にExcel管理から脱却したい中小企業にとっては、導入を通じてワークフロー全体を大きく改善できる可能性があります。
kintone初心者向けの資料はこちら
向いていない企業
カスタマイズや大量のデータの活用を必要とする大企業は、kintoneでの業務改善の効果が出にくいです。大企業や国際展開している組織では、kintoneのライセンスコストやアプリ数の制限、速度面の制約などがネックになることもあります。
高価なカスタマイズが必要だったり、膨大なデータのやり取りや処理をリアルタイムで行う必要があるシステムには、他のプラットフォームとの併用や補完システムの導入が求められるでしょう。運用要件が非常に複雑な場合は、kintone単独ではすべてをまかなえない可能性が高いです。
このように、kintoneは特に情報共有や業務の見える化に課題を抱える企業にとって有効なツールです。では、kintoneが多くの企業で採用されている背景には、どのような魅力やメリットがあるのでしょうか。
kintoneでよく語られるメリットの全体像
kintoneに備わっている代表的な機能とその利点について詳しく見ていきます。
アプリを簡単に作成できるノーコード環境
ノーコードの仕組みにより、プログラミングの専門知識がなくても業務アプリを短時間で作れます。ドラッグ&ドロップ操作でレイアウトを組み立てるため、IT部門やシステムエンジニアへ依頼するまでの手間を大幅に削減できます。業務担当者が素早く試作し、社内で意見を募りながらアプリを進化させられる点も大きなメリットです。
作成後すぐに運用し、修正も簡単であることを活かして、実際に使ってみて使いにくい部分は都度改善し、自社に最適な形へとアプリを成長させていくことが可能です。
外部サービスとの豊富な連携が可能
kintoneは他のクラウドサービスとの親和性が高く、双方向でデータをやり取りしながら業務を一元化できます。たとえばスケジュール管理や情報共有などを他サービスと連動させることで、データ入力の手間を削減し、業務効率がさらに向上します。外部API(ソフトウェアやアプリ間をつなぎデータ連携させるもの)を活用すれば、高度なシステムや専門的なツールとも連携しやすいのも利点のひとつです。
場所を選ばず利用できるマルチデバイス対応
パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレットからもkintoneにアクセスできます。外出先やリモートワーク中でもリアルタイムに情報を確認・更新できるため、迅速な対応が必要な業務シーンで重宝します。デバイスを問わない利便性は業務の柔軟性を高め、既存の働き方改革にも大きく寄与します。
情報共有を円滑化できる
kintoneはクラウド型サービスのため、情報をアップロードすればすぐにデータに反映され、最新情報を共有することができます。レコードの更新、コメントの追加など、「誰かが何かをした」タイミングで通知が来る設定が可能なので、連絡ミスを防ぐことにもつながります。
また、アクセス権の設定により、情報を閲覧・編集するメンバーを限定することで不要な混乱や情報漏えいのリスクを抑えた体制を構築できます。
テンプレートやプラグインが充実し、導入しやすい
あらかじめ用意されたアプリテンプレートを活用すれば、顧客管理や営業支援などを短期間で形にできます。プラグインも数多く提供されており、標準機能だけでは足りない部分を柔軟に拡張できる点も魅力です。シンプルな導入プロセスによって、プロトタイプの段階から実運用までのスピードを大幅に高められます。
kintoneを活用するポイントはこちら
kintoneの弱点と注意すべきデメリット
多彩なメリットを持つkintoneですが、運用面での弱点も理解しておく必要があります。
kintoneは汎用的に使える万能ツールではなく、あらかじめ想定された範囲内での利用を意識しなければいけません。運用を成功させるためには、事前に想定する業務要件や必要な管理データ量をきちんと洗い出したうえで、適切な対策を講じることが重要です。
アプリが乱立して管理が複雑化するリスク
ノーコードの手軽さゆえに、各部署やkintone担当者が独自のアプリをどんどん増やしてしまう可能性があります。設計方針やアプリ管理ルールを定めないと、同じような用途のアプリが重複して混乱を招き、データの整合性も保ちにくくなります。アプリ作成の段階から適切なガイドラインを設けることで、運用中の混乱を防止できます。
大規模データ保管には向かない容量制限
kintoneはクラウド型プラットフォームとして柔軟に使える一方で、データ容量やレコード数に一定の制限があります。大量のデータを継続的に蓄積する用途では、プランの上限を超えて他システムへの移行や追加費用が必要になる場合があります。データが膨大になる想定があるなら、運用体制や基本設計を早い段階で検討しておくべきでしょう。
複雑なロジックには専門知識が求められる
ノーコードとはいえ、すべての要件を標準機能だけで満たすのは難しいことがあります。特に高度なシステム連携や複雑な業務ロジックを実装するには、JavaScriptを使ったカスタマイズやプラグイン開発の専門知識が不可欠です。ITリテラシーが不足している部署で導入する際は、継続的なサポート体制を事前に検討しておく必要があります。
プラグインや拡張機能でコストが増加する可能性
標準機能だけでは賄えないニーズを満たすため、有料のプラグインや外部の開発リソースを利用するケースが少なくありません。プラグインのライセンス費用や開発コストは、中長期的な予算編成に影響します。拡張機能を導入する際は、必要性と費用対効果を見極めてから選定することが重要です。
kintoneの限界をシステムの限界と誤解しがち
kintoneが得意としない領域や大規模処理を、すべてkintone上で解決しようとするのは避けるべきです。無理やり拡張してしまうと、運用する側の混乱やパフォーマンス低下を招く恐れがあります。システムの役割分担を明確にし、kintoneをあくまで適切な業務範囲で利用することで、ツールの本来の強みを活かしやすくなります。
不適切な設計がデータ構造を破綻させるリスク
構造設計の段階で要件を正しく把握していないと、あとから修正が難しいデータ構造になってしまうケースがあります。特に外部システムとの連携が必要な場合、拙速にアプリを作ると後戻りが大変です。設計段階で要件を整理し、関係部門とすり合わせることが、スムーズな運用の鍵となります。
企業の情報システム全体で見たときの弱点
kintone自体だけでなく、既存の情報システムとの統合を考えた際に、見落としがちな課題も存在します。
システム連携の工数が増大しやすい
kintoneで管理する業務領域と、既存システムで運用している領域とを連動させるには、APIを利用したデータ交換やカスタマイズ開発が必要になる場合があります。ノーコードでアプリを作れる反面、連携部分は専門家の知識が欠かせない場面も多いです。結果としてプロジェクト全体の工数が膨らむことがあるため、事前の計画段階で工数試算を十分に行う必要があります。
大規模・複数拠点の要件を満たせない場合がある
海外拠点と連携する企業や、日々膨大なデータを処理する必要がある大規模企業では、kintoneだけでは運用要件をすべて満たせないこともあります。システムの応答速度やデータ保管量の制約を考慮しつつ、補完機能を追加するか、別のシステムを導入するかを検討する必要があります。特にグローバルな拠点展開を見込む場合は、運用体制と合わせて慎重に検討しましょう。
kintone導入を成功させるためのポイント
kintoneの導入をスムーズに進め、運用を成功させるためには、あらかじめ守るべきポイントがあります。
目的と運用範囲を明確にして始める
kintoneを導入する際には、まず企業が抱える課題と目的をしっかり分析し、どの領域をkintoneで解決するのかを明確にすることが大切です。最初から複数の部門や業務を広範囲にカバーしようとするよりも、重要度が高い業務から着手する方が円滑に運用が進みます。必要な機能を段階的に追加しながら完成度を高めるアプローチも有効です。
アプリ作成ガイドラインを設けて乱立を防止する
アプリが簡単に作れるため、ガイドラインがないと部門ごとに多種多様なアプリが乱立する恐れがあります。アプリの命名規則や、似通った業務機能を一本化するルールなどを定めておくことで、データの重複や管理コストを最小限に抑えられます。アプリ申請フローを設けるなど、社内全体でメンテナンスしやすい仕組みにするとトラブルを未然に防ぐことができます。
プラグイン導入前に費用対効果を検討する
便利なプラグインは数多くありますが、安易に追加するとライセンス費用やランニングコストがかさむ原因となります。拡張機能を選ぶ際は、代替手段や本当に必要な機能かどうかを見極め、費用対効果を検討することをおすすめします。必要以上にアプリをカスタマイズすると保守領域が増え、結果的に運用が複雑化してしまうことも考慮が必要です。
社内教育・専門家活用で設計ミスを回避する
ノーコード環境だからといって、専門知識が全く不要になるわけではありません。特に複雑な要件がある場合、JavaScriptやプラグインの利用に関する基本知識を持った人材が不可欠です。初期フェーズを外部リソースのサポートを受けながら乗り切り、社内で知見を蓄積することで、将来的な運用安定と効率化が期待できます。
kintoneの導入効果をより正確に見極めるためには、事前に実際の操作感を確認しておくことも重要です。導入前には、ぜひ30日間のトライアル版を活用してみましょう。
無料トライアルはこちら
kintone導入はABKSSにご相談ください
kintone導入を検討する際、システム設計からユーザー教育、カスタマイズ開発のサポートまでを一貫して行えるパートナーの存在はとても重要です。ABKSSは、貴社の業務要件をヒアリングし、最適なアプリ構成と運用計画を提案します。また、導入後のアフターフォローや追加カスタマイズにも柔軟に対応し、kintoneの価値を最大限引き出す体制を整えています。
おわりに
kintoneはノーコードで素早く導入しやすい反面、運用ルールや容量制限、専門知識が必要になる場面などいくつかの弱点が存在します。これらを理解せずに導入を進めてしまうと、後からシステム設計を見直す手間や余計なコストがかかってしまう恐れがあります。あらかじめ自社の業務範囲や将来的な拡張性を見据えたうえで、kintoneを適切に活用することが成功のカギといえます。
こちらの記事もおすすめです