2D図面依存から脱却するための3D CAD導入|もう図面が読める人に頼らない

製造業の現場では、図面が読める人材の減少や属人化が進み、加工ミスや段取りの再現性低下など多くの課題が生じています。短納期化や図面の複雑化によって教育が追いつかず、現場だけでは問題を補いきれない場面も増えてきました。
本記事では、こうした背景を整理しつつ、3Dモデルを共通言語として活用できる Fusion が有効な理由を解説していきます。
このような方におすすめの記事です
図面読解の属人化に悩む方
加工トラブルを減らしたい方
3D導入の効果を知りたい方
Fusion活用を検討中の方
目次[非表示]
「図面が読めない」若手が増えている理由

短納期化で教育の余裕がなくなった
加工リードタイムは年々短縮される傾向にあり、現場は常に作業に追われていることが一因です。本来は新人に対し「設計意図」「図面で注意すべき点」「よくある読み違い」など、段階的に教える時間が必要ですが、現場が繁忙だと丁寧な指導が難しくなりがちです。
結果として、図面の背景を知らないまま作業に入るケースが増え、理解が浅い状態で判断せざるを得なくなっています。こうした教育不足が続くことで、「図面を読める人が育たない」環境が固定化してしまいます。
派遣・外注が増え、文脈が会社に蓄積されない
近年、人手不足を補うため、短期スタッフや派遣社員が増えていることも関係しています。
しかし、このような人材にとって「設計の背景」「過去トラブルの経緯」「お客様ごとの暗黙ルール」まで共有するのは難しく、図面読解に必要な「文脈」が受け継がれません。
その結果、理解不足による判断ミスが発生し、手戻り・納期遅延につながるケースが増えているのです。
図面自体が複雑化し、読み解きが困難に
また、品質要求の高まりにより、公差は厳しく、材質や治具の条件も複雑化している点も挙げられるでしょう。このような場合、PDF図面に追記が増えたり、修正履歴だけ残って意図が消えたりと、読み手が状況を把握しにくい場面が増えてしまいます。
現場では「数字は書かれているが意味が読み取れない」「注記が多すぎて重要点が埋もれている」といった声も多く聞かれます。
図面読解をベテラン頼りで補う現場の課題とは

過去の経験や記憶に依存してしまう
現場では「この形状ならこう加工する」「似た部品でこうだった」といった、ベテランの経験則に頼って補完する場面が多くあります。
過去の加工品を倉庫から持ち出して確認したり、頭の中で立体化して「こういう形だろう」と推測したりする作業は、熟練者にとっては当たり前の手法です。
しかし、若手にはハードルが高く、再現性が担保されません。こうした暗黙知への依存が、属人化をより強めています。
口頭・電話確認ありきの運用になってしまう
ベテランの判断は個々の暗黙知に支えられており、技術が形式化されないまま作業が進むため、疑問点は口頭や電話で確認するしかない状況が根強く残っています。しかし、こうしたやり取りは認識のズレが起きやすく、記録にも残らないという問題があります。
特に赤字PDFの意図や過去改訂の背景など、図面外の情報は電話で補うほかなく、曖昧なまま加工が進むことも少なくありません。
こういった経緯により、ベテランが退職すると「誰に聞けばいいのか」が分からなくなるケースが増えているのです。
「図面情報不足」で起きる現場トラブル
精度過剰で加工時間が増える
背景を知らないまま厳しい公差をそのまま適用すると、作業時間が延び、コストや利益を圧迫してしまいます。たとえば、図面に ±0.02 の公差が並んでいたために厳密に加工したものの、実際には ±0.1 で十分だったケースもあります。
このように「図面通りに作ったのに評価されない」という状況は、現場の大きなストレスにもつながるため注意が必要です。
2D → 3D化で形が違っていた
長年の修正で手書き追記や赤字だらけになり、「誰も原形を知らない」状態の図面も存在します。2Dから3Dを作成したときに形状矛盾が発覚し、設計・加工・客先の認識がずれていたことに気づくのです。
修正履歴の蓄積が原因で、正しい形状が読み取れなくなっている典型例ともいえます。
ベテランの退職とともに段取りが再現できなくなる
工具の選定基準、治具の使い方、加工順序などが個人の頭の中にしかない場合、退職を境に同じ品質・同じ段取りが再現できないことがあります。
「加工はできても再現ができない」状態は多くの現場で深刻化しており、品質の安定性や生産計画にも影響します。
解決策は「3Dモデルを共通言語にする」こと

視覚的に理解でき、読み手のスキル差が縮まる
2D図面は記号や寸法の意味を理解し、頭の中で立体化する高度な能力が必要です。
一方、3Dモデルなら形状を見た瞬間に全体像が把握でき、読み手の経験やスキルに左右されにくくなります。新人でもベテランでも「見て同じものを理解できる」点が大きなメリットです。
加工前に全員で形状を確認でき、手戻りが減る
加工前に関係者間で同じモデルを見ながら確認できるので、曖昧な部分を早い段階で解消できます。共通言語として3Dを使うことで後工程での不具合や再加工が大きく減ります。
なぜ 3D CAD の中でも Fusion なのか

Fusionとは?
Autodesk Fusion(Fusion 360)は、3D CAD・CAM・CAE・図面作成をひとつの環境で扱える統合型プラットフォームです。設計から加工までのデータ連携を一本化し、経験に依存しない3Dモデル中心のものづくりを実現します。
また、クラウドベースで共同作業にも強く、若手育成や属人化解消、DX推進にも高い効果を発揮します。
Fusionはこんな方におすすめです
加工ミス・認識違いを減らしたい方
若手・外国人スタッフを早期育成したい方
図面運用の属人化をなくしたい方
設計〜加工の流れを一元化したい方
導入コストと運用負担を抑えられる
従来の3D CADは高額で、中小企業には負担が大きく、150〜300万円+保守費が相場です。一方、Fusionは年額数万円から利用でき、初期投資を大幅に抑えられます。
クラウド運用のためサーバー構築や保守も不要で、バックアップも自動化されます。PCが故障してもデータはクラウドに残り、すぐに作業を再開できる点も現場にとって大きな安心材料です。
常に最新版を共有でき、情報の食い違いがなくなる
Fusionはクラウドを前提に設計されており、常に最新データが全員と共有されます。「どのデータが正しいのか」「誰が最新を持っているのか」といった混乱が起こらず、工場間や外部との連携もスムーズになるのです。
履歴管理も自動化され、いつ誰が何を変更したかが明確になるため、後工程の判断がしやすくなります。
CAD+CAMの統合で加工準備を効率化できる
CADとCAMが一体化している点もFusionの大きな強みといえるでしょう。
モデル作成から工具選定、切削条件設定、ポスト出力までを同じ環境で行えるため、ソフトを行き来する必要がありません。設計変更の反映もシームレスで、加工側が常に最新モデルを基に段取りを組めます。
加工精度の安定や段取り時間の短縮につながり、生産性を大きく改善します。
3D化がもたらす効果

認識のズレが解消し、判断が安定する
3Dモデルは形状の理解が容易で、図面の読み違いや人による解釈差が大幅に減少します。
形状確認、干渉チェック、組立順序の把握が視覚的に行えるため、加工判断が安定するだけでなく、複雑形状でも「こうなるはずだ」という推測を排除し、共通の判断基準が得られます。
技術をテンプレート化し、再現性を高められる
モデルに加工条件や治具設計の基準を紐づけて残すことで、ベテランの思考過程を形式知として保存できます。
段取りモデル・加工テンプレートを使えば、誰が準備しても同じ品質に近づくため、人材の入れ替わりがあっても生産性が落ちる心配がありません。技術継承の仕組みとして、3Dは非常に相性が良い手法です。
段取りのスピードが向上し、生産リードタイムが短縮
3Dを基に干渉ポイントを確認できるため、治具や加工順序の検討が早く終わります。
加工モデルを使ってシミュレーションできれば、切削時の問題点も事前に把握しやすく、段取りミスも減少します。そのため短納期案件にも安定して対応でき、現場の負担軽減にもつながります。
新人・外国人スタッフの早期戦力化につながる
図面読解が難しい作業も、3Dモデルによって視覚的に理解できるため、教育にかかる時間が大幅に短縮されます。
言語や知識に差があっても理解しやすく、現場投入までの期間を短縮できるため、教育者側の負担も減り、チーム全体の生産性向上にもつながるでしょう。
Fusionの導入ならABKSSにご相談ください

ABKSSでは、Fusionのライセンス販売だけでなく、導入設計・運用サポート・社内教育まで、一気通貫で支援できる体制を整えています。
また、Fusion CAMの実践スキルを身につけたい企業向けに、少人数制で学べる「Fusion CAM機能集合講習」を本社セミナールームで定期開催しています。加工設定、ツールパス作成、NCデータ生成まで実務に沿って習得でき、若手育成やDX推進にも最適です。
おわりに
3Dモデルを共通言語にすることで、図面依存から脱却し、トラブルや属人化を減らすことが可能になります。まずは自社の工程で3D化が効果を発揮しそうな部分を一つ決めて、改善の第一歩を踏み出してみてください。








