製造業の属人化と技能不足を解消する3D化戦略とFusion活用術

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製造現場では、いまだに2D図面が主流の企業が少なくありません。しかし、人材構成の変化や図面の変質、属人化の深刻化により、従来のやり方では限界が見え始めています。

本記事では、なぜ今3D化が必要なのか、そして Autodesk Fusion が現場にもたらす具体的な変化を解説します。

 

このような方におすすめの記事です

  • 図面読解のズレに悩む方

  • ベテラン依存を減らしたい方

  • 若手が育たず困っている方

  • PDF図面対応に限界を感じる方

  • Fusion導入を検討する方

  

目次[非表示]

  1. なぜ今、2D図面中心に限界が生まれているのか
    1. ベテラン依存が成立しない時代に変わった
    2. 2D図面は読める人しか読めない
    3. なぜ2D CADが無くならないのか?
  2. 長年の取引で図面が変質していく現場の実態
    1. 修正履歴が散在し、図面の背景が不明に
    2. “とりあえず図面”を基に加工する際のリスク
  3. 製造現場の「属人化」とは
    1. 属人化が起きる原因とその影響
    2. 属人化が品質・納期・教育に与える負荷
  4. 製造業で属人化を解消するための解決策
    1. 業務プロセスを「見える化」し、標準手順をつくる
    2. 図面・仕様・修正履歴を一元管理する
    3. 若手教育を「見る・触る」中心のOJTに切り替える
    4. ツール導入で「判断」を仕組み化する
  5. Fusionで設計・加工・現場の認識を統一する
    1. Fusionとは
    2. 見たまま理解でき、認識のズレがなくなる
    3. 加工前に問題が見える化し、手戻りを防止できる
    4. 3Dモデルが暗黙知をデータ化し、ナレッジ資産になる
  6. 現場でよくあるFusion導入ケースと効果
    1. ①PDF図面を読みながらの加工モデル作成からの脱却
    2. ②曖昧な図面に左右されない基準値の確立
    3. ③若手や外国人技能実習生でも理解できる環境の構築
  7. Fusionの導入ならABKSSにご相談ください
  8. おわりに

なぜ今、2D図面中心に限界が生まれているのか

ベテラン依存が成立しない時代に変わった

製造現場の人材構成は、この10年で大きく変わりました。長年図面を読み続けてきたベテランは60代に差し掛かり、技術継承が急務となっています。

一方、若手採用は難しく、現場では外国人技能実習生が戦力の中心となるケースも増えています。しかし、2D図面の読解は高度な経験を前提としており、「図面を読める人」が少ない現場では属人化が一気に加速してしまうのです。

従来の運用が成立しなくなるのは必然ともいえるでしょう。

 

2D図面は読める人しか読めない

2D図面は、必要な情報が一見すべて描かれています。しかし、立体形状として正しく“再構築”するには熟練した読解力が必要です。同じ図面でも、経験豊富な担当者と新人では頭に思い浮かべる形状が一致しないことも珍しくありません。

つまり2D図面は、情報はあるが「情報を理解する能力」が人に依存してしまう媒体なのです。属人化が発生しやすい構造的な理由がここにあります。

なぜ2D CADが無くならないのか?

2D図面が属人化を招きやすいわれるものの、2D CADそのものがすぐに姿を消すわけではありません。

現場には長年蓄積された膨大な2D図面資産が存在し、これらを日々の業務で活用し続ける必要があります。また、寸法確認や軽微な修正などは、2Dのほうが圧倒的に早く処理できる作業も多く、こうした工程を完全に3Dへ置き換えるには大きなコストと時間を要します。

そのため、2D CADは「限界のある運用」と「今も効率的な作業領域」の双方を抱えながら、当面は3Dと併存し続けるのではないでしょうか。

 

長年の取引で図面が変質していく現場の実態

修正履歴が散在し、図面の背景が不明に

10年以上取引が続く企業では図面が世代交代と改変を繰り返し、原型が分からなくなることが多発します。設計者が代わるたびに違う注記が追加され、メールや手書きの修正指示が散在し、今の図面がどこまで正しいのか判断できません。

場合によっては、設計者自身ですら「この寸法はいつ、誰が、何のために修正したのか」把握できていないこともあります。この蓄積が“図面の変質”を引き起こします。

 

  

“とりあえず図面”を基に加工する際のリスク

この「とりあえず図面」を基に加工を行う場合、加工側の経験値で補完する作業が必ず発生します。

「形状を推測し、過去品を探し、設計者に確認し、最終的にベテランに判断を仰ぐ」この一連の作業が追加工数となり、時間的ロスを増やします。

さらに深刻なのは、図面をもとに正しく3D化すると形状が一致しないケースがあることです。つまり図面自体が“本当の形”を示していない可能性があるのです。重大なミスにつながる原因となります。

 

製造現場の「属人化」とは

属人化が起きる原因とその影響

製造業では、経験と勘に当たり前のように依存する文化が根付いてきました。そのため、作業方法や判断基準が個人の頭の中に蓄積されやすく「形式知」として残されない傾向があります。

特に2D図面中心の環境では「理解力の差」が直接品質に影響しやすく、“読める人だけが読める”構造が属人化を促進してしまいます。結果として、同じ図面を見ても人によって判断が異なり、作業工程や品質の再現性が担保されません。

 

属人化が品質・納期・教育に与える負荷

属人化が進むと、特定の人しか判断できない工程が増えます。

品質管理ではミスの原因追跡が困難になり、確認工程も増加します。納期に関しても作業負荷が特定の担当者に集中し、全体の進捗が属人化要因によって左右されます。

さらに教育面では、若手が「見て覚える」「慣れるしかない」という効率の悪い学習を強いられます。現場の継続性を脅かす問題として、属人化は深刻な経営リスクとなるのです。

 

製造業で属人化を解消するための解決策

業務プロセスを「見える化」し、標準手順をつくる

属人化を解消する第一歩は、誰がどのような判断で仕事を進めているかを可視化することです。ベテランの頭の中にある作業の流れチェックポイントを書き出し、フローチャートや標準作業書として整理します。

そのうえで、「人によってやり方が違う部分」「判断に迷いやすい部分」を特定し、手順や判定基準をそろえていくことで、再現性の高いプロセスに近づけていけます。

 

図面・仕様・修正履歴を一元管理する

次に重要なのが、図面や仕様情報の置き場所を一本化することです。紙図面、個人フォルダ、メール添付などに情報が散在していると、「どのデータが最新か」「いつどんな修正が入ったか」が分からなくなり、属人化の温床になります。

最新版の図面とともに、版数や変更理由、過去の注意点も同じ場所で管理することで、背景情報を誰でもたどれる状態にし、判断を個人の記憶に頼らない仕組みに変えていくことができます。

  

若手教育を「見る・触る」中心のOJTに切り替える

教育面では、図面読解だけに時間を割くのではなく、形状や加工結果を視覚的に理解できる環境づくりが効果的です。実物やモデルを見せながら、「なぜこの形になっているのか」「どこが不具合につながりやすいのか」を具体的に共有します。

失敗事例トラブル事例も、図面だけでなく立体や写真とセットで残しておくことで、若手が短期間でイメージをつかみやすくなり、ベテランの勘に近い感覚を早期に身につけられます。

 

ツール導入で「判断」を仕組み化する

最後に、標準化した手順やルールを現場でムリなく回すためには、ツールの力を借りて判断を仕組み化することが有効です。

CAD/CAM図面管理システム、ワークフローなどを活用し、「この条件ではこの加工方法」「この干渉が出たら要相談」といったルールをシステム上でサポートさせます。こうした基盤を整えた上で、3Dモデルを共通言語として扱えるツールを導入すれば、属人化を抑えつつ、現場の判断品質を底上げしていくことができます。

  

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Fusionで設計・加工・現場の認識を統一する

Fusionとは

Autodesk Fusion(Fusion 360)は、3D CAD・CAM・CAE・図面作成をひとつの環境で扱える統合型プラットフォームです。設計から加工までのデータ連携を一本化し、経験に依存しない“3Dモデル中心のものづくり”を実現します。

また、クラウドベースで共同作業にも強く、若手育成や属人化解消、DX推進にも高い効果を発揮します。

 

Fusionはこんな方におすすめです

  • 加工ミス・認識違いを減らしたい方

  • 若手・外国人スタッフを早期育成したい方

  • 図面運用の属人化をなくしたい方

  • 設計〜加工の流れを一元化したい方

 

 

見たまま理解でき、認識のズレがなくなる

Fusionは、立体的な形状をそのまま確認できるため、経験によって理解度が大きく変わる2D図面と異なり、誰でも“同じ形”を共有できます。

形状の理解が早く、干渉チェックやフィレット・逃げの有無なども視覚的に確認できます。これにより「この部分はこういう形状のつもりで描いた」という設計意図が明確になり、設計者・加工者・取引先の認識のズレを根本から解消できます。

 

加工前に問題が見える化し、手戻りを防止できる

Fusionでは、実際の加工を再現する前に、干渉や工具アプローチの不良を検出できます。

従来、試作後に発覚していた問題が、モデリング段階で把握できるため、加工後の手戻りが激減します。部品の取り付け不可、逃げ不足など、図面では気づきにくい問題も事前に回避できます。これは納期を守るうえでも非常に大きなメリットであり、品質安定化にもつながります。

 

3Dモデルが暗黙知をデータ化し、ナレッジ資産になる

ベテランが経験で補完していた情報は、Fusionで3Dモデルとして残ります。たとえば「この部分は干渉しやすい」「この角度では工具が入らない」といった判断も、モデル内に視覚情報として蓄積することが可能なのです。

これは、属人化を解消し若手育成を加速させる大きな要因となります。

 

現場でよくあるFusion導入ケースと効果

①PDF図面を読みながらの加工モデル作成からの脱却

これまでPDF図面を読み解きながらモデリングしていた現場では、Fusionで正確な3Dモデルを作成し、取引先と形状認識を一致させることで、加工ミスや認識違いが大幅に減少します。

共通モデルを中心に話し合うことで、曖昧だった部分が明確になり、事前合意がスムーズになります。

 

②曖昧な図面に左右されない基準値の確立

図面が変遷し、本当の形状が不明確になっていたケースでも、3Dモデルを基準値として取り扱うことで、図面の誤りや過去修正の影響を排除できます。

3Dモデルが「正しい仕様」として機能するため、担当者の解釈に左右されることなく、確実な製造が行えます。

 

③若手や外国人技能実習生でも理解できる環境の構築

Fusionの3Dモデルは視覚的に理解しやすく、図面読解力に依存しません。

経験の浅い若手外国人技能実習生でも確実に形状を理解できるため、指示の明確化や教育のスピード向上につながります。ベテラン依存から脱却し、組織としての再現性が高まります。

 

Fusionの導入ならABKSSにご相談ください

ABKSSでは、Fusionライセンス販売だけでなく、導入設計・運用サポート・社内教育まで、一気通貫で支援できる体制を整えています。

特に、Fusion CAMの実践スキルを身につけたい企業向けに、少人数制で学べる「Fusion CAM機能集合講習」を本社セミナールームで定期開催しています。加工設定、ツールパス作成、NCデータ生成まで実務に沿って習得でき、若手育成やDX推進にも最適です。

 

おわりに

2D図面中心の運用は、長年の習慣として定着しています。しかし、現場の人材環境や図面の複雑化を考えると、これまでの方法では品質と効率を保つことが難しくなることが予想されます。

本記事では、製造業の属人化や人手不足、技術継承などの問題について説明してきましたが、Autodesk Fusion(Fusion360)を活用した3D化は、技術を未来へつなぐための確実な手段です。属人化を解消し、誰もが迷わず理解できるものづくりへと進んでいきましょう。

ABKSSブログ編集部
ABKSSブログ編集部
ABKSSブログ編集部は、製造業・建設業に特化した情報を発信するメディアチームです。CADや設計に関する実務的なノウハウから、AIの活用、BIM・CIM、DX推進といった最新技術の動向まで、業界の課題解決に役立つ情報をわかりやすくお届けしています。
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