Matterport(マーターポート)とは?メリットや価格、活用方法まで解説

Matterport(マーターポート)は、専用の3Dスキャンカメラとクラウドプラットフォームを用いて実在する空間を高精度にデジタル化するソリューションです。建物や部屋の内部をそのままバーチャル空間に再現できることから、特に不動産業界や建設業、観光・施設管理などで注目を集めています。
本記事では、Matterport とは何かという基本的な疑問から、導入するメリットや価格、具体的な活用方法まで詳しく解説していきます。
このような方におすすめの記事です
- Matterportの導入を検討している方
- 3Dスキャンやデジタルツイン技術の導入を検討している方
目次[非表示]
Matterport(マーターポート)の基本情報
Matterportとは?
Matterport(マーターポート)とは、建物や空間を高精度にデジタル化し、その成果をデジタルツインとして活用できるMatterport社のソフトウェアプラットフォームです。専用の3Dスキャンカメラで空間を撮影し、クラウド上で自動的に合成する仕組みによって成り立っています。
撮影では複数方向から360度画像を取得し、点群データとして統合するため、寸法やレイアウトを正確に再現可能です。その結果、誰でもバーチャルツアーとして空間を体験でき、遠隔地との情報共有やプレゼンテーションが効率的に行えます。
観光促進や施設改修計画、イベントの記録など幅広い用途で利用され、現在では177カ国以上で何百万もの建物がデジタルツイン化され、施設のライフサイクル改善に役立っています。
Matterportのプランと価格
Matterportのサブスクリプションプランには、Free(無料)、Starter (スターター)、Professional (プロフェッショナル)、Business (ビジネス)、そして大企業向けの Enterprise (エンタープライズ) の5つのクラウドサブスクリプションがあります。用途に合わせて選択しましょう。
プラン | 料金 | 内容 |
---|---|---|
Free | 無料 | 1アクティブスペース/2ユーザー |
Starter | 月額 | 5~20アクティブスペース/3ユーザー |
Professional | 月額 | 20~150アクティブスペース/10ユーザー |
Business | 月額49,000円〜 | 100~300アクティブスペース/50ユーザー |
Enterprise | 要相談 | アクティブスペース/ユーザー数ともにカスタム可能 |
※価格は2025年9月1日時点のものになります。
Matterportを導入するメリット
Matterportを活用する最大の利点は、空間を3D化することで現場に行かなくても正確な把握ができる点です。
例えば、不動産業界では内見にかかる時間や手間を大幅に削減でき、建設業界でも関係者間での認識ズレを減らし、施工ミスやトラブルを回避しやすくなります。
また、観光や商業施設のPRにおいては、実際にそこにいるかのような臨場感ある体験を提供できるため、集客効果やブランドイメージの向上にもつながるでしょう。
Matterportが注目される理由
没入感のある3D体験
Matterportのクラウド型デジタルツインプラットフォームは、Pro2カメラやPro3カメラ、スマートフォン対応のMatterport Axisなどの機材を活用し、空間を4K高画質で迅速にスキャンします。
ユーザーはWebブラウザ上で360°バーチャルツアーを操作でき、視点の移動やズームを自在に行えます。さらにMeta QuestなどのVRゴーグルを併用すれば、まるで現場を歩き回っているかのような臨場感を得られます。
写真や動画よりもずっと深く空間の雰囲気や質感、細部まで感じ取れる点が、Matterportの大きな魅力です。
リモートでの空間共有
生成された3DモデルはMatterportクラウド上に保存され、リンクを通じて関係者間で即座に共有可能です。これにより、遠隔地にいる顧客や社内外のチームが同じモデルを閲覧しながら議論を進められます。
現地訪問の必要がなくなることで、スケジュール調整の手間が削減され、意思決定をより迅速に行えるようになります。
高精度なデジタルツインの実現
MatterportのAI機能「Cortex AI」は、撮影データから自動的に部屋名称や間取り図、面積・寸法を生成でき、2D CAD図面(DXF/DWG形式)やBIMファイルを作成する有償オプションも提供されています。
さらに、点群データ(E57形式)やメッシュデータ(OBJ形式)、高画質画像のエクスポートも可能で、設計・建築・BIM・CAD用途へ柔軟な連携が可能です。設計精度の向上やヒューマンエラーの軽減にも大いに役立ちます。
操作が簡単でコスト削減や効率化に役立つ
一般的な撮影や現地視察では、時間・交通費・人員コストが積み重なりますが、Matterportを使えば、たとえば一軒家の全フロアを30分程度でスキャンできるため、移動や段取りの負担が大幅に軽減されます。
クラウド上で誰でも同じ3D空間を閲覧・共有できるため、作業の重複も防げて業務効率が飛躍的に向上します。
顧客満足度の向上とPR効果
Matterportの3Dツアーは、従来の写真やムービーに比べて圧倒的な没入感を提供し、不動産のオンライン内覧やホテル・結婚式場のプロモーション、観光地のバーチャル体験に効果的です。
高品質な体験は顧客の関心を引きつけ、ブランド価値や信頼性の向上につながります。SNSや物件一覧サイトへの共有もしやすく、拡散力やPR効果が期待できる点も大きな利点です。
仕組みと主な機能
Matterportは、空間の撮影から3Dモデル生成、Webでの共有や編集までを一元化できる独自プラットフォームです。Pro2/Pro3カメラやスマートフォンによる撮影から始まり、完成したモデルはMatterport Cloud上で「スペース」として保存できます。そこからさまざまな機能が利用可能です。
ドールハウスビュー(Dollhouse View)
3Dモデルをまるでミニチュアの家を上から覗くような視点で俯瞰でき、建物全体の構造や部屋の配置がひと目で把握できます。
不要なメッシュや見づらい要素は「トリムツール(ドールハウストリム)」を使って非表示にし、クリアな俯瞰表示を実現できます。
ウォークスルー(3D Space/Walkthrough)
ユーザーは360°バーチャルツアーを通じて、視点を自由に移動しながら空間を探索できます。UIはスムーズで高精細、違和感なくリアルな没入体験を提供し、見る人が見たい場所へ瞬時に移動可能です。
測定機能(Measurement Mode)
3Dモデル上で距離や面積を計測できる機能です。ドールハウスビューやフロアプランビューのいずれでも測定に対応し、設計者や施主が訪問なしで寸法確認を行えるため、設計や見積もりの精度向上に役立ちます。
注釈機能(Mattertag)
Matterportには、ラベルや注釈(Mattertag - マータータグ)機能があり、3D空間内の任意の箇所に設置し、テキスト・画像・動画などを埋め込めます。
例えば、不動産物件の設備説明や、工場の機器に操作マニュアルなどで非常に役立つ機能です。
CADファイル作成とBIM連携(アドオン機能)
追加料金で、CADファイル(DWG形式)や2D図面、点群データ(E57形式)、MatterPakセットなどの出力が可能です。特に「CADファイル作成サービス」は、Professional以上のプランで利用でき、最短3営業日で高品質なCAD出力が可能です。
また、「BIMファイル作成サービス」では、Pro2/Pro3で撮影された空間からLOD200レベルのBIMモデルを生成し、Revit用(.RVT)、IFC形式のデータやDWGフロア図面、Recap形式の点群データを含めて提供します。
Autodesk Revit向けのプラグインも用意されており、既存のBIMワークフローにスムーズに連携できます。
その他の便利な機能(SDKや共有機能など)
ガイドツアー機能やミニマップ・コンパス表示、顔などの個人情報をぼかせるぼかし機能、物件レポート(自動間取り図生成・編集)、家具の展示/非表示機能など、豊富な基本機能が用意されています。
ぼかし機能(自動識別と手動編集が可能)
家具の展示/非表示機能
▼現場で撮影された、Matterportによる3Dデータサンプルをご覧いただけます(無料)。画面上を自由に歩き回れるウォークスルー形式で、圧倒的な再現性と臨場感をぜひ体感してください。
Matterportの主な活用事例
Matterportはさまざまな場面で導入が進んでおり、その活用シーンは日々広がっています。
オンライン内見や空室確認
不動産業では、オンライン内見や空室確認などで活用されています。
内見希望者は空間の雰囲気や広さ、導線などを画面越しに細かく確認でき、物件を効率的に比較検討できます。遠方に住む顧客への案内や海外投資家へのセールスにも対応できるため、市場拡大にもつながっています。
施工管理やトラブルの事前把握
建築業では、施工管理やトラブルの事前把握で役立っています。
現場を3Dで記録することで、工事の進捗状況や資材配置を正確に共有できます。トラブルが発生しそうな箇所を早めに発見し、必要な修正工事を遠隔地からでも検討できるため、プロジェクト全体の品質向上にも寄与します。
工場でのレイアウト検討や事前調査
製造業では、工場内のレイアウト検討や、機械設置前の事前調査に活用できます。
事前調査では社内の営業、設計、施工、製造などの各部署と情報を共有し、意思決定を迅速化できます。
バーチャルツアーの提供
観光スポットやホテル、テーマパークなどを3D化し、事前に雰囲気を味わってもらうことで興味を喚起できます。特に海外在住の旅行者や、現地に行く前に情報を詳しく得たい顧客にとっては大きな魅力となり、誘客効果が期待できます。
Matterport導入時の注意点と課題
Matterportは多くのメリットを持ちますが、導入前に確認すべき課題もあります。
たとえば、撮影環境によっては精度が落ち、狭小スペースや屋外では制約が生じることがあります。モデル生成には対応デバイスや撮影スキルが必要で、慣れないうちは外部パートナーに依頼するケースも考慮が必要です。
また、クラウド依存度が高く、接続環境や契約内容によっては月額費用が増えるため、運用コストを試算した計画が重要です。導入後に困らないよう、事前に多数の実績を持つ専門業者に相談しておくと安心です。
Matterport導入の流れ
Matterportは、以下の4つのステップで導入可能です。これだけで、撮影からモデル生成、共有までをスムーズに進められます。
操作の流れ
カメラを三脚にセットし、撮影開始!
スマートフォンやタブレットと接続
アプリ「START」をタップ
撮影データをクラウドへアップロード
まずは、Pro3などのMatterport対応カメラを用意し、撮影を行います。撮影時には、無料で利用できる専用アプリ(Matterport Captureアプリ)を使うことで、誰でも直感的に操作できます。
次に、スマートフォンやタブレットを用意し、カメラと接続して操作します。
つづいて、生成したデータを保存・編集するためのクラウドアカウントを開設し、アップロードすれば準備は完了です。
カメラ機材の選定と撮影プロセス
Matterportでは専用の3Dスキャナー「Pro3」に加えて、RICOH THETAなどの360度カメラやスマートフォンアプリもサポートしています。
Matterport Pro3(3Dスキャナー)
Matterport Pro3は、深度センサーを搭載し、大規模施設や広い空間をスキャンするのに適したモデルです。13,420万画素という優れた画質により、3Dモデル化したデータは細部まで鮮明で高品質なバーチャルツアーを構築できます。
建物の内観だけでなく、屋外の空間情報を取得できる点も強みであり、業務用途での効率化に大いに役立ちます。
また、Pro3は一般的なハイエンド3Dスキャナーよりコストパフォーマンスに優れていることも特筆すべき点です。
こちらの記事も併せてご覧ください。
Matterportの導入ならABKSSにご相談ください
ABKSSは、Matterportの国内正規代理店として多数の導入実績があり、企業の用途や規模に応じた最適な提案が可能です。
機材の選定からセットアップ、現場での撮影支援や活用方法の相談にも対応しておりますので、Matterportをご検討中の方はお気軽にご相談ください。
おわりに
Matterportは、その手軽さと精度の高さでデジタルツイン分野を大きく牽引する存在です。現地へ行かずとも詳細な情報が分かるというメリットは、不動産内見や施工管理だけでなく、マーケティングや教育現場などの活用にも広がっています。
コストや準備が必要な面はあるものの、長期的な視点でみれば業務効率と顧客満足度の両面で大きなリターンを得られる可能性があります。次世代の空間体験であるMatterportの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
こちらの記事もおすすめです