製造業の図面保管・ファイリング|紙図面をデータ化して検索・共有を改善

製造業では過去図面がノウハウ資産になる一方、紙のままでは劣化・紛失、検索の非効率、共有の遅れがボトルネックになりがちです。
本記事では、紙図面を保管し続ける前提での整理・保管の基本から、スキャンによるデータ化、さらに検索・最新版管理・資料紐づけまでを「仕組み化」する方法を紹介します。
このような方におすすめの記事です
- 紙図面の保管場所が足りず困っている方
- 必要な図面を探すのに時間がかかっている方
- 図面の属人的管理に限界を感じている方
- 図面管理システムの活用を検討している方
目次[非表示]
紙図面を保管する目的

紙図面は保管や管理に手間がかかる一方で、あえて紙で残すことに意味があると考える現場も少なくありません。
次のような「現場での使いやすさ」が評価されていることが理由として挙げられます。
全体像を俯瞰しながら確認できる
IT環境に左右されず、すぐ参照できる
書き込みながら議論しやすい
紙図面は、広げれば図面全体を一目で把握できるため、スクロールや拡大縮小を繰り返さずに、レイアウトや注記の位置関係まで直感的に確認できます。赤入れやメモを書き込みながら複数人で図面を囲み、その場で意思決定できる、といった実用性の高さが現場で重視されています。
また、停電やシステム障害の影響を受けず、すぐ確認できるのも強みです。
紙図面の整理の基本手順

紙図面の保管では、分類や目録だけでなく、ファイリング方法そのものが検索性と運用効率を左右します。こちらでは紙図面を整理する際の基本手順について紹介します。
1.分類ルールを決める(案件・製品・図番)
分類軸は、後から探すときの入口に合わせて決めます。
よく用いられる次のような軸があります。
案件/顧客、製品/ユニット
図番、年度
部署
複数軸を使う場合は優先順位を明文化し、迷わず分類できる状態にしておきましょう。図番未採番の検討図や客先図などは例外になりやすいので、先に置き場を用意しておくと良いです。
2.ラベル(背表紙)と命名規則を統一する
紙の世界では背表紙が検索UIです。媒体が違っても表示項目を統一すると、誰でも探せるようになります。そこで、背表紙に入れる情報は必須項目として揃えます。
図番、図面名
案件/顧客、改訂
期間、保管場所コード
ルールは「守れる最小セット」にし、迷ったときの書き方をサンプルで示すと定着しやすくなります。
3.目録を作る(台帳・一覧)
「どこにあるか分からない」を減らす最短手段が目録です。最初はExcelでも十分で、検索できること自体が価値になります。目録に入れる項目は、まず次のあたりを揃えると効果的です。
図番、名称、案件/顧客
改訂、保管場所(棚・引き出し・ファイル番号)
関連資料の有無
4.関連資料とセットで保管する
図面だけが見つかっても、仕様書・変更履歴・検査記録などが揃わないと手戻りが起きます。後工程で必要になる資料を同じ単位(案件単位、製番単位など)で揃え、同梱ルールを決めましょう。
- 図面と仕様書を同じ単位で保管する
- 変更履歴や検査記録もセットにする
- 図面袋に変更履歴シートを必ず入れる
紙図面を保管することの問題点

劣化・紛失・保管場所が不足する
紙は時間と環境で劣化します。湿度が高いとカビや波打ちが発生し、低すぎると紙が脆くなります。直射日光や蛍光灯の紫外線で退色も進み、判読性が落ちると「図面はあるのに使えない」状態になりかねません。
また、持ち出し・回覧・現場への携行では紛失リスクもあります。加えて、次のような物理ダメージも想定されます。
折れ、汚れ、重ね置きによる転写
クリップやステープラーの錆による汚損
さらに、量が増えるほど保管場所を逼迫し、探す時間がかかる原因にもなります。
セキュリティと権限管理
紙は複製と持ち出しが容易にできてしまい、閲覧ログも残りません。そのため、設計変更前の図面や、協力会社に見せるべきでない機密図面などの情報が流出するリスクが高まります。
鍵付きキャビネットや入退室管理で一定の抑止はできますが、運用ルールが複雑になるほど形骸化しやすいのが現実です。
セキュリティ課題は事故が起きてからでは遅いため、早い段階で対策しておくべきでしょう。
検索性・最新版管理の難しさ
紙図面は、ファイリング方法が統一されていないと、図番や案件名などの手がかりが分からない場合に辿り着けません。そのため担当者の記憶に依存しやすく、引き継ぎや異動があると「どこにあるか分からない」が発生します。
同名図面や似た図番が混在すると取り違えのリスクが上がり、次のような問題につながります。
改訂履歴を追えない
最新版の根拠を示せない
誤製作や不具合解析の遅れが起きる
検索と最新版管理がうまくいかないと、現場は安全策として過剰な確認や二重作業を行う必要があり、さらなるムダを生んでしまいます。
紙図面のデジタル化はPDF運用で止めない

紙図面の劣化・紛失などの保管リスクを抑えるために、まずスキャンしてPDF化するケースは少なくありません。保管負荷や共有の手間を軽くできる一方で、PDF化だけでは検索性、最新版管理、関連資料の紐づけといった課題が残りやすいのも実情です。
こちらでは、その背景を整理しながら解説します。
スキャンしてPDF化するメリット
まずは、紙図面をスキャンしてPDF化するメリットを簡単に確認します。
PDF化によって得られる主なメリットは、次のとおりです。
図面の劣化を抑えられる
破損・紛失リスクを低減できる
複製・共有が簡単になる
遠隔でも同時に確認できる
待ち時間を減らし納期を短縮できる
災害時の消失リスクを抑制できる
PDF化の直接的な効果は、図面の劣化抑制と複製・共有の容易さです。原本に触れる回数が減るほど、汚れ・破損・紛失のリスクを下げることができます。
また、遠隔拠点や協力会社とも同じ図面を同時に確認できるため、「製造・品質・購買が並行して確認できる」「待ち時間が減り、納期短縮につながる」といった効果も期待できます。
さらにBCPの観点でも有効で、災害や移転によって紙図面が失われるリスクを抑えられます。全量の電子化が難しい場合でも、重要図面から優先的にPDF化し、参照をPDF中心に切り替えることで、費用対効果を高めやすくなります。
データ化しても残る課題
紙図面をスキャンしてPDF化することには多くのメリットがあります。しかし、スキャンしてフォルダに保存するだけでは、「紙の山」が「PDFの山」に置き換わるだけになってしまいます。
そのため、データ化しても現場には次のような課題が残ることが少なくありません。
図番不明や命名ゆれにより検索しづらい
改訂漏れやメール添付により版が分岐し、正本が揺らぐ
仕様書・変更履歴・検査記録などが散在し、図面と分断される
その結果、せっかくデータ化したにもかかわらず、探す時間が増えたり、誤製作や手戻りが発生したり、監査対応の弱さが露呈したりといった問題が生じてしまいます。
だからこそ次のステップでは、属性やキーを整備し、正本の保管場所と更新フローを明確にしたうえで、関連資料を図面に紐づけて運用できる「仕組み化」が必要になります。
図面管理を「仕組み化」するという選択肢

データ化しても「探せない」「最新版が分からない」「関連資料が揃わない」状態が残る場合、原因はPDFではなく、運用が「ファイル管理」で止まっていることにあります。次の段階では、図面を「資産」として扱い、誰が見ても同じ手順で同じ結論に到達できるよう、管理の仕組みを整えることが重要です。
仕組み化で押さえるべき要素は、大きく次の3つです。
検索:図番・案件・機種などのキーを統一します。
最新版管理:正本を一本化し、更新フローを決めます。
資料の紐づけ:仕様書や履歴を同じキーで結びます。
ただし、これらをExcelやフォルダ運用だけで維持するのは負荷が高く、更新漏れや版の分岐が起きやすくなります。図面が増えても破綻しないようにするには、運用として回せる仕組みが必要です。
そこで役立つのが、AI図面管理システムです。
AI図面管理システム「図面バンク」とは
図面管理を仕組み化するための選択肢として注目されているのが、AI図面管理システム「図面バンク」です。
図面バンクは、株式会社New Innovationsが提供するクラウド型の図面管理サービスです。
月額48,000円(※2026年2月時点)から利用でき、ユーザー数・図面保管数は無制限。図面が増えても追加課金を気にせず運用できる点が特長です。
60種類以上のファイル形式に対応し、AIが図面形状を解析して類似図面を自動抽出。キーワードだけに頼らない検索が可能です。さらに、3Dデータのプレビューや関連資料の紐づけにも対応しており、図面の再利用性と検索性を大きく向上させます。
- 【対応ファイル形式】PDF、TIFF、JPEG、DXF、DWG、STEPほか
- 【料金】月額 48,000円~(税別) ※ユーザー数 / 図面保管数:無制限
OCR+全文検索機能
図面や関連資料を登録するだけで、AIが自動的に内容を解析し検索対象にします。
これにより、従来フォルダ内に眠っていたPDFや書類も、キーワードで瞬時に引き出せる資産になります。手入力のタグ付けに頼らず、必要な図面や資料へ迅速にアクセスできるため、検索時間の大幅短縮に寄与します。
CAD・ファイルプレビュー機能
図面バンクは60種以上のファイル形式(2D/3DCADやPDF、Excel、画像など)に対応し、専用ソフト不要でブラウザ上から直接閲覧できます。
形式の違いに悩むことなく図面や資料を確認できます。多様な拡張子対応で、社内外との共有・レビューもスムーズになります。
AI類似形状検索機能
従来のキーワード検索に加えて、図面の形状そのものをAIが解析し、類似図面を候補として提示します。
テキスト情報が不完全な場合でも、形状ベースで過去の関連図面を素早く見つけられるため、見落としや探し直しの時間を大幅に削減します。

案件・版管理機能
図面データと一緒に見積書・契約書・技術文書・不具合記録などの関連資料を紐づけて管理できる機能です。
さらに、図面の改訂履歴も保持し、最新版を明確に管理できます。これにより、部署間での情報共有と追跡性が向上し、誤ったバージョンの図面によるミスを防止します。

権限・フォルダ管理機能
ユーザーごとにアクセス権限を設定できるため、閲覧・編集・管理の役割を明確に分けられます。また、フォルダ構造により案件ごとの整理が可能で、部門やプロジェクト単位での整った運用が進みます。
セキュリティリスクを下げつつ、現場の運用ルールに合わせた管理が実現できます。
おわりに
本記事では、紙図面の劣化・紛失、検索の非効率、共有の遅れといったリスクを紹介しました。次に、属人化を減らし「探せる・最新版が分かる・根拠が揃う」状態を再現するための「仕組み化」を紹介しました。
「仕組み化」は関連資料を図面に紐づけて資産として運用していくことを目指します。それを実現するために有効なのがAI図面管理です。
中でも優れたコストパフォーマンスで人気の「図面バンク」は検索・最新版管理・資料の紐づけ・権限設定までを一元化し、図面を資産として活かす環境づくりを支援します。
「図面バンク」の導入をご検討の方は、ABKSSまでご相談ください。
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